FXでの「見送り」とは?
見送りとは、エントリーできると思われるトレードチャンスがあったものの、何らかの条件や裁量判断によってエントリーしなかったことを指す言葉です。
また、エントリーだけではなく、決済やポジション調整のタイミングを(何らかの条件や裁量判断によって)先送りすることも「見送り」と呼ぶことがあります。
よくあるケースとして、例えば次のようなものがあります。
このように見送りとは、冷静な判断の結果としてトレードを見送ることである点に注意が必要です。
本来エントリーすべきだったのに「感情的な葛藤」「躊躇い」「不注意」によってエントリー出来ないという、いわゆる「見逃し」とは大きく異なるものです。
損切りしなければいけないタイミングで、どうしても感情的に決済できなくてズルズルと為替ポジションを持ち続けてしまうことは、決して見送りではないということです。
見送りのもう一つの意味
ここまで解説してきた内容は、FXトレードにおける一般的な「見送り」の意味でしたが、相場の世界全般では「見送り」にもう一つの意味があります。
取引材料となる指標発表やニュースなどが無く取引が手控えられた結果、値動きがほとんどない状態のことも「見送り」と呼ばれています。
これは株式市場を中心に「見送り商状」と呼ばれているもので、「模様眺め」や「様子見」とほぼ同じ意味を指しています。
関連用語 見逃し
FXからの「退場」とは?
退場とは、運用資金が底をついてしまったり、メンタル的にトレードを継続できなくなるなどして、相場(FX取引)の世界から離れていくことです。
FX初心者の多くは、無謀なリアルトレードによって証拠金を大きく減らしてしまい、追加資金がなくてそのまま退場するケースが目立ちます。
追加資金があってFX口座へ追加入金できたとしても、結局は同じようにマイナスが続いてしまうため、退場になるのも時間の問題となってしまいます。
FX初心者に見られる別のケースとしては、何回かの損切りによって「自分のお金が減ってしまう」という現実を目の当たりにした結果、その恐怖からトレードが続けられなくなって退場してしまう──というものがあります。
これらの理由によって退場してしまわないためには、FX取引への計画的な参入が必要になります。
しかし、多くの初心者FXトレーダーは準備不足のままリアルトレードを始めてしまうため、早期の退場が後を絶ちません。
退場しないためには、まずは、しっかりとした情報収集と学習から始めましょう。
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関連用語 初心者あるある、悪い癖、メンタル崩壊、追証(おいしょう)
「高値づかみ・安値づかみ」とは?
高値づかみとは、為替レートが上昇を続けていて、高値を更新している状況で買いポジションを持つことをいいます。
安値づかみはそれと反対に、レートが下降を続けていて、安値を更新している相場状況で売りポジションを持つことをいいます。
一般には、レートが上昇継続中という状況で買いポジションを持ったあと、すぐにレートが下降し始めた際に「高値づかみをしてしまった!」といって後悔する、そんなメンタル的なネガティブ表現として使われる傾向があります。
高値づかみのなかでも、後から見て(直近の期間における)ほぼ最高値の為替レートで買いポジションをもってしまうことを、特に「天井づかみ」と呼びます。
為替チャートでは、時折とても長い上ヒゲや下ヒゲのローソク足が出来上がります。
そのヒゲの先端には、その為替レートでポジションを持ったFXトレーダーが確実に存在しており、彼らはまさに「高値づかみ・安値づかみ」をしてしまったのです。
ちなみに、高値や安値をブレイクアウトしたタイミングで、積極的にブレイク方向へエントリーしていくトレード姿勢のことも「高値づかみ・安値づかみ」いうことがあります。
しかしこのエントリーは、一般的には「飛びつきエントリー」とか「飛び乗りエントリー」といった呼び方をされることが多いようです。
「飛びつきエントリー」はメンタル面での問題をはらんだトレードとして、また「飛び乗りエントリー」は意図的に敢えてそのタイミングでエントリーするスタイルとして捉えられます。
関連用語 天井づかみ
FX相場での「模様眺め」とは?
模様眺めとは、売買の判断材料が不足していて相場予測が立てられないため、市場参加者たちの多くが取引を手控え、相場の成り行きを見守っている状態のことです。
米雇用統計や政策金利発表など、重要な経済指標の発表前にも模様眺めの状態になることがあります。
為替市場の参加者自体が少なくなってしまう「閑散相場」とは異なり、模様眺めでは虎視眈々と次のチャンスを狙っているトレーダーたちが存在している点に注意が必要です。
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FXでの「様子見」とは?
様子見とは、為替相場の値動きの判断がつかず、取引が手控えられ、為替レートの動きの成り行きが見守られている様子のことです。
米雇用統計や政策金利発表、米小売売上高などの重要な経済指標の前や、レンジ相場や保ち合いで膠着状態になった相場状況などでよく見られます。
為替市場の参加者自体が少なくなってしまう「閑散相場」とは異なり、様子見では文字通り「様子を見ながら虎視眈々と次のチャンスを狙っているFXトレーダーたち」が存在している点に注意が必要です。
また、自らのトレードにおいて、為替相場の値動きの判断がつかないときに静観してチャンスを伺っておくことも「様子見」といいます。
例えば、1時間足チャート以下の小さな時間軸では売りが優勢に見えても、日足チャートなどの上位時間軸では強固なサポートラインが控えている相場状況の場合、小さな時間軸チャートのテクニカル分析に従った安易な売りエントリーはリスクが高まります。
この場合の最善の選択肢の一つが「様子見」です。
上位時間軸のサポートラインが機能したことによる強い反発上昇の流れに乗るトレードも、小さな時間軸チャートの状況によっては優位性のあるエントリーとなり得ます。
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関連用語 模様眺め、薄商い、チョッピー、閑散相場、動く時間帯
「塩漬け」とは?
塩漬けとは、含み損になったFXのポジションを、「いつか建値に戻ったら決済しよう」と考えて、保有し続けることをいいます。
また、塩漬け状態になっているポジションのことを、「塩漬けポジション」といいます。
よくあるケースとしては、FXのスキャルピングやデイトレードでエントリーしたポジションを、含み損をになった時点でスイングトレードに切り替え、そのままホールドして塩漬けにするというものがあります(これは、FXでは典型的なコツコツドカンのパターン)。
含み損は、まだ実現していない仮の損失なので、一見すると塩漬けには何のマイナスも無さそうにみえます。
しかし実際には、含み損のポジションによって証拠金が拘束されているため、エントリーチャンスが訪れても証拠金が足りず、小さなポジションでのトレードしか出来なくなってしまいます。
FXでの塩漬けポジションは、レートの動きによってはその後、追証を求められ、さらに維持証拠金を下回れば強制的に決済(強制ロスカット)されてしまい、損失が強制的に確定してしまいます。
FXでの「投げ売り」とは?
投げ売りとは、FXでロングエントリーしていた買いポジションを、損失(損切り)になるのを承知で決済して売ってしまうことです。
反対に、売りポジションを損切り承知で決済することを「踏み上げ」といいます。
トレードルールに則った冷静な損切りというよりも、メンタル的に狼狽していて、早くポジションを決済して楽になりたいという「逃げるのに必死な損切り」を表しています。
買いポジションを持っていた為替相場の参加者たちの諦めやパニックによる損切り決済がなされている状況なので、売り注文が売り注文を呼ぶ「投げ売りの連鎖」が起きやすくなります。
投げ売りの連鎖が起こると、その後はセリング・クライマックスになる可能性が出てきます。
「売り抜け」とは?
売り抜けとは、為替相場が下がる前に、保有している買いポジションをタイミング良く決済することで、別名「売り逃げ」ともいいます。
例えば、エリオット波動の第5波と思われる上昇など、まだ市場全体のムードが過熱しているなかで、既にもっていた買いポジションを利食いすることが、ひとつの売り抜けのパターンといえます。
一般的には、大きなトレンドが終わってから、後日談として「あのときは上手く売り抜けられた」という風に表現されて使われるケースが多いように思われます。
関連用語 決済注文
FXの「値ごろ感」とは?
値ごろ感とは、トレーダーが「このレートなら買っても(売っても)いい」と思う感覚のことです。
FXでは、このような値ごろ感でトレードすると、不利なレートでポジションをもつことになりがちなので注意が必要です。
こうした根拠のない感覚や感情によるトレードは、まぐれ当たりのような一時的な成果にはなったとしても、長期的には好ましい結果をもたらしません。
大きな時間足で下降トレンドが続いている状況にもかかわらず、「これだけ下落したのだから、もうそろそろ上昇するだろう。ここで買うのはお得だ」といって買いポジションをもつのが、典型的な「値ごろ感によるトレード」といえます。
そのトレードの結果はいうまでもなく、確率的にはさらに下降トレンドが継続していき、買いポジションは大きな含み損に見舞われることになるでしょう。
早めに損切りが出来れば傷口は小さくて済みますが、値ごろ感でトレードしてしまうトレーダーは、そもそも損切りのルール(撤退・決済ルール、出口戦略)をもっていない場合が多く、強制ロスカットによる口座破綻という最悪の結末になりがちです。
「ニュートラル」とは?
ニュートラルとは、中立的な相場判断を示す言葉です。
チャートに対して売り目線でも買い目線でもなく、中立的な姿勢で為替相場を静観し観察している状態のことを指します。
実際に為替取引(FXトレード)を行っているときには、ニュートラルを維持しつつチャートを観察してテクニカル分析をすることは、心理的に困難とされています。
どうしても「上がる(下がる)に違いない」という心理バイアスが掛かった状態に陥りやすく、焦りの気持ちからエントリーしてポジションを保有してから「なぜエントリーしてしまったんだろう……」と後悔するFXトレーダーが跡を絶ちません。
ちなみに、似た相場用語に「マーケット・ニュートラル」がありますが、こちらは株式相場の用語です。
買いと売りのポジションを同等のロットサイズにすることで、相場変動の影響を抑える戦略のことを指します。
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FX取引での「見逃し」とは?
見逃しとは、本来であればエントリーすべきタイミングにおいて、何らかの理由でエントリーできなかった状態のことです。
またエントリーだけではなく、決済やポジション調整のタイミングを先送りしてしまうことも「見逃し」と呼ぶことがあります。
FX取引でよくある見逃しのケースとして、次のようなものがあります。
このように「見逃し」とは、感情的になったり集中力が切れたりすることによって、想定や意図に反した結果を呼び込むものです。
冷静な判断に基づいた「見送り」と一見同じような行動に見えても、その内容は大きく異なるものだという点に注意が必要です。
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FXでの「悪い癖」とは?
悪い癖とは、トレーダーを破滅へ導く「悪いトレード習慣」のことです。悪い癖を放置しておくと、FX口座はいずれ深刻な損失を被ってしまう可能性があります。
悪い癖の中には、頭ではそれが良くないと分かっていても止めることが出来ないものと、そもそも悪い癖であることに気づかず放置されたままになっているものとがあります。
悪い癖の具体例について、いくつか挙げてみます。
- トレード手法を持たずに思い付きや感情でトレードする。
- ポジションサイズが大き過ぎて、いつも過剰なリスクを負っている。
- お酒を飲みながらトレードをしている(これは飲酒運転と同じ)。
- 一度トレードを始めると、負けるまで続けてしまう(良い意味での勝ち逃げが出来ない)。
- 損切りになったらムキになって、すぐに途転(ドテン)をする。
- 含み益になると、ちょっとした逆行でもビビって利食いしてしまう(チキン利食いの習慣化)。
- 想定外の含み損になると、大きな時間足のチャートポイントを損切りラインにしてホールドし続けてしまう(デイトレードとしてエントリーしたのに、スイングトレードに切り替えてしまう)。
- 常に「ここで反転するのでは?」と考えて、いつも逆張りトレードばかりして損失を出している。
- 含み損になると、建値に戻ることを期待して無限ナンピンをしてしまう。
- 連勝すると気持ちが高ぶってしまい、調子に乗って大きなポジションのトレードをしてしまう(ユーフォリアの一種)。
- 一日のトレードを終えたとき、感情的に後悔はしても、理性的に反省をしない。
- メンタル崩壊してしまう。
まだまだ他にもありますが、こうした悪い癖をもったままでは、長期的に安定した利益をFXで上げていくことは極めて難しいといえます。
いつかは真剣にこうした課題と対峙していく必要がありますので、早いうちに腹をくくって行動に移していくことをおすすめします。
参考記事 FXのリスク。初心者必見、危険への対策と解決方法10記事
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関連用語 初心者あるある、行動ファイナンス理論
以上、FXのトレード判断や行動の相場用語まとめ──についてお伝えしました。