レンジ相場の値動き&関連用語の意味と解説まとめ

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FXの「もみ合い」とは?

もみ合いとは、為替取引において小幅な値動きが続いて、値動きに方向感がない相場状態のことです。

上下どちらに行くのかはっきりしない様子を指して「ヨコヨコ」と呼ばれることもあります。

FXでは「もみ合い」と「保ち合い」が区別されずに曖昧に使われているケースが目立ちますが、実際に正確な定義が存在するわけではないため、いずれも慣用的に使われているのが実情だといえます。

これは私案ですが、強いて分類するならば「もみ合い」は値動きの状態を指し、「保ち合い」はチャートに現れる形を指すものと考えることが出来るでしょう。

例えば、為替相場のトレンド中に現れた狭いレンジは「保ち合い」であり、そこでは「もみ合い」が起こっている──と見立てるのが現実的だと考えられます。

FXの「保ち合い(もちあい)」とは?

保ち合いとは、値動きがなくレートが上下どちらにも動かないか、動きがあったとしても狭い値幅の範囲での値動きしかない状況のことです。

見た目は静かですが、保ち合いの中では売り買い双方の激しい攻防が行われていることがあるため、保ち合いが発生した相場状況をしっかり観察する必要があります。

例えば、上昇トレンドのなかで起きた狭いレンジやトライアングル(三角保ち合い)は、為替相場における典型的な保ち合いの状況です。

これら保ち合いの中では、次のような思惑を持ったFXトレーダーたちによる激しい売買が行われており、次なる値動きへ向けてエネルギーをため込んでいる状態だといえます。

  1. 上昇トレンド初期からポジションを持っていたFXトレーダーによる決済の売り。
  2. 上昇トレンド中に逆張りを仕掛けていた売りトレーダーによる損切り撤退の買い。
  3. 買いエントリーしそびれていたFXトレーダーによる新規の買い。
  4. この保ち合いを契機に反転下降すると想定しているFXトレーダーによる新規の売り。

こうした様々な思惑の売買注文が保ち合いの中で交錯しているため、狭い値幅で上下しているだけだといって無視したり漫然と傍観するのではなく、次の動きにしっかりと対応していくことが大切です。

保ち合いはいずれ解消されて、為替相場は新たな値動きへと展開していきます。

これを「保ち合い放れ」といい、トレード戦術としてはこの保ち合い放れに素直に追随していくことが基本になります。

ちなみに株式相場で保ち合いといえば、「買いたいトレーダー達はほとんどポジションを持っており、決済しよう(売ろう)とする者も乏しく、結果として狭い範囲の値動きを繰り返したり停滞したりする状態」を指します。

関連用語 レンジ相場三角保ち合いフラッグ

FXでの「横ばい」の値動きとは?

横ばいとは、FX取引のチャートにおいて、為替レートが上りも下がりもせず、横方向へ這うように動いている状況のことです。

ひとことで横ばいと言っても、横ばいに至る為替相場の状況は多種多様なため、しっかりと区別してトレードしていくことが大切になります。

為替市場が閑散相場になった結果として値動きが乏しくなった状態も横ばいですし、激しい売り買いの攻防によって保ち合いになった状態も横ばいです。

同じ保ち合いによる横ばいにも、三角保ち合いフラッグブロードニング・フォーメーションなど、色々なパターンがあります。

トレンド中に現れた横ばいと、方向感のない大きめのレンジ相場の中で現れた横ばいとでは、そのトレード方法は異なってきます。

為替トレードにおいては、チャート上の見た目だけで判断するのではなく、それが形成されるに至った値動きの経緯を読み取り、それに応じた対応をする必要があるわけです。

それによって無駄なエントリーを避け、不要な負けトレードを排除していくことが可能になりますので、トータルの成績向上につながるでしょう。

「ヨコヨコ(横々)」の値動きとは?

ヨコヨコ(横々)とは、FX取引において為替レートが上にも下にも動かず、横に動いているとしか言いようがない相場状況のことです。

小幅な値動きが続いてレートの動きに方向感がない状態のことで、横ばいとも呼ばれます。

大きな時間足チャート(日足や4時間足など)でヨコヨコになっていた場合は、その中の小さな時間足(15分足や5分足など)では小さなトレンドが発生していたり、大きな上下幅のレンジ相場になっていたりする場合があります。

為替相場がヨコヨコになっている場合は、まず第一に様子見をしておくことです。

ヨコヨコに至った相場の値動きの経緯に応じて、次の値動きの変化に注目することが大切になってきます。

市場参加者が少なくなっている結果として閑散相場になっているなら、そのヨコヨコ相場では無理にトレードする必要はないでしょう。

しかし政策金利発表や非農業部門雇用者数などの重要指標の発表を控えてヨコヨコになっているなら、指標発表後の値動きを想定してチャート上でシナリオを検討するのが望ましいでしょう。

FXの「レクタングル」とは?

レクタングルとは、いわゆるレンジ相場のことを指します。

レクタングル(Rectangle)とは「矩形(長方形)」を意味する単語であり、レンジ相場の見た目が長方形に見えることからこう呼ばれます。

下の為替チャートは、ユーロドルのレクタングルの例です(クリックすると拡大します)。

レクタングル(レンジ)のチャート

レクタングルは、チャートを見る視野(範囲・スケール)の違いによってその捉え方が変化します。

上の為替チャートの場合、大きめのスケールで捉えると、赤い枠で囲ったサイズのレクタングルが認識できます。

また、小さく捉えると水色の枠で囲ったレクタングルを認識することが出来ます。

大きなレクタングルの中には小さなレクタングルが入っているという、いわゆる「フラクタル構造」がそこに見て取れるのが分かります。

もちろんこうしたことは、チャートの時間軸を変化させることでも同様に見られる傾向です。

日足でレクタングルが形成された部分を1時間足や15分足に切り替えてみると、その中に複数のレクタングルがあることに気づきます。

抽象的に考えると、FXチャート上のあらゆる値動きは、巨大なレクタングルの中での上下動なのだということが見えてきます。

過去の歴史的高値と安値の間を、為替レートがトレンドを描きながら上下に行き来しているという風に捉えられるわけです。

この考え方を用いると、トレンドの反転可能性のあるチャートポイントに意識を向けやすくなります。

関連用語 レンジ相場チャートパターン保ち合いもみ合い鯨幕

FXの「ナローレンジ」とは?

ナローレンジとは、レンジのなかでも値幅が特に狭いもののことを指します。

為替相場(FX)におけるレンジの幅については、絶対的な指標があるわけではないので、あくまでも相対的なレンジ幅の比較になります。

ナローレンジになっている背景要因は様々ですが、主に考えられる相場状況としては「深夜の時間帯で相場参加者が少ない」「米雇用統計や政策金利発表といった重要指標の発表前で模様眺めになっている」「サマーホリデーやクリスマス休暇で機関投資家や大口トレーダーがいない」といったものが挙げられます。

ナローレンジは値幅がとても狭いため、通常のレンジ相場でのトレード手法が通用しにくい傾向があります。

例えばユーロドルの5分足チャートで、10pips少々のナローレンジになった場合、レンジ上下限からの逆張りをするには高い技術を要します。

かといってブレイクアウト狙いをするにしても、ダマシの可能性が高まっている状況ですし、そのまま膠着状態が続く確率が高いため、リスクばかりが高まります。

このようにナローレンジの状態は、一般的にトレードには向かず、余程経験や検証を積んでいない限りは、様子見(スルー)しておくことが望ましいと考えられます。

関連用語 レンジ相場、スクイーズ

「凪相場(なぎそうば)」とは?

凪相場とは、FX相場のレートの動きが乏しくなっている状態のことです。

凪とは、海風が吹かず波がない静かな状態の海面のことで、「凪相場」という言葉は、そんな静かな無風状態だということを表しているのです。

よく似た言葉に「閑散相場」や「薄商い」がありますが、これは相場参加者の人数が乏しいことを表した言葉です。

閑散としていても値動きがあるケースはよくありますし、そういう場合はチョッピーな値動きになりやすいです。

凪相場の場合、相場参加者が多くても起こり得ます。

注目される経済指標の発表待ちなど、多くの相場参加者が模様眺めをしている結果、値動きが全く無くなってしまうことがあります。

凪相場になると、狭いレンジ状態(ナローレンジ)や三角保ち合いになる傾向があります。

凪相場になったらどうトレードするか?

「凪相場になったらどうトレードするか?」と質問されて、あれこれエントリー方法を検討したり悩んだりし始めたとしたら、黄色信号が灯っていますので注意してください。

まず一番最初に思い描かないといけないのは、凪相場で無理にトレードする必要は無いのだということです。

勝ち組トレーダーや凄腕トレーダーは、どんな相場状況でも売ったり買ったり自在にトレーディングできるから勝ち組なのではありません。

実際のところは、自分が勝てる相場状況でしかトレードしないから勝ち組トレーダーでいられるというのが現実の姿だといえます。

つまり「自分が勝てる(確率的に勝ちやすい)値動きやチャート状態をしっかり把握できている」ということですし、そのために数多くの過去チャート検証と実戦経験を積んでいるのです。

そのような積み重ねの上で、「凪相場でこういう値動き(チャートパターンやプライスアクション)が表れたら優位性のあるトレードが可能だ」という結論に至ることはあります。

ですが、検証も経験も不足しているFX初心者が凪相場に手を出しても、ポジポジ病に陥って無用な損失を重ねてしまうのがオチでしょうから、気を付けてください。

皮肉なことに、凪相場を始めとして、値動きが乏しい相場状態にリアルタイムで向き合っていると、小さな値動きの中で低いリスクでちょろっと利益をかすめ取れそうな気になってくるものなのです。

これは多くのFXトレーダーが体験する心理状態なのかもしれませんが、ほとんどの場合、ここでのトレードは高い授業料を支払う結果になります。

どうせ支払わなくてはいけない授業料なのであれば、出来るだけ少額に抑えたロットサイズ(ポジションサイズ)でトレードしておくに越したことはありません。

有名なアドバイスの一つに「安定的に勝てない内は、ロットサイズを大きくしても損失が大きくなるだけ」というものがありますので、この言葉を忘れずにFXで生き残っていきましょう。

関連用語 レンジ相場ちゃぶつくヒゲ毛虫動く時間帯

以上、レンジ相場の値動き&関連用語の意味と解説まとめ──についてお伝えしました。

執筆者プロフィール

fx-monoロゴ名前:mono(モノ)
FX歴13年の為替トレーダー。

FXトレードで収益を上げながらIT系の事業経営もしています。20年以上取り組んできた心理学と脳科学の専門知識(アドラー心理学、NLPなど)を活かして《トレード技術の上達法》を研究し実践してきました。

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