「FXトレードで利益を上げたいなら、正しく負けること」
あなたは、こんな格言を聞いたことがありませんか?
今回は、この格言が意味することを解説しながら、「FXで利益を上げるために、あなたが信じるべきもの」についてお話していきます。
こんなFXトレード、してませんか?
FXトレード中は、自分の意識をどこへ向けているか(何にフォーカスしているのか)が、とても大事です。
これからしようとしているトレードの利益ばかりに意識を向けてしまうと、目の前の為替チャートの状況に対して、「なんとか利益を得られないか?」という目線で見始めてしまいます。
すると、「1時間足ではエントリーチャンスが無いから、15分足チャートにしてみよう」といって、なんとかエントリーできるパターンはないかと、どんどんチャートの時間軸を小さくしていってしまいます。
最後には「1分足ならエントリーチャンスがある!」と思って、狭い視野で細かいエントリーと決済を繰り返すことになります。
そんなトレードの結果はどうなるかといえば、典型的なダマシの動きにやられてしまい、いわゆる「往復ビンタ」になって損失を重ねることになり、減ってしまった証拠金を見て、「なんというトレードをしてしまったんだ……」と自己嫌悪に陥るハメになります。
このように、目の前の1トレードでの利益にフォーカスしてしまうと、値動きに「期待」してしまい、その結果「裏切られる」ことになってしまいます。
この「期待と裏切り」の悪循環に陥ってしまっていては、FXトレードで利益を上げることは困難です。
なぜ「この1回のトレードで儲けたい!」と思ってしまうのか?
元々、だれでも「勝ちたい」と思ってFX取引の世界に入ってくるのですから、そもそも「絶対に負けたくない」と、深層意識(無意識)の本音の部分では思っているものです。
ですから、いくら頭で「負けてもいい、負けても仕方ない、負けるのは当然のことだ」と考えていても、負けはイヤだし苦痛に感じてしまうのです。
いうなれば「お金が減るのが怖い!」という強い感情を抱いているから、決して負けたくないのです。
「このトレードでお金が手に入る!」と思わないと、怖くてエントリーできないから
では、なぜ「この目の前の1回のトレードで必ず利益を得たい」と思ってしまうのでしょうか?
その理由は、逆説的に聞こえるかもしれませんが、「今すぐ儲かる!」という感情がないと、怖くて、とてもエントリーできないからなのです。
継続的にトータル損益で勝ち続けているFXトレーダーは、検証によって優位性が確認された「優れたトレード手法」と、長年の相場経験によって磨かれた「テクニカル分析のスキル」を持ち、日々のトレードを繰り返しています。
しかし、そうした「トレード手法とテクニカル分析スキル」を持たない多くのFXトレーダーは、どのタイミングでエントリーすればいいのか全然わからない「不安な心理状態」のなかでチャートと向き合っています。
こうした不安のなかで「お金が減るのが怖い!」という感情に打ち勝ってエントリーするには、どうすればいいでしょう?
そのためには「必ず儲かるはず!」「今がチャンス!」「これを逃したら、もったいない!」という、欲望の感情の勢いを借りるしかないのです。
「エントリー恐怖症」は、この感情の勢いがなくなってしまった状態のこと
FX取引で大きな損失を出したり、連敗が続いたりした結果、トレードするのが怖くなってしまい、エントリーできなくなることを「エントリー恐怖症」といいます。
これは、損失や連敗によって、「絶対に儲かる!」という感情の勢いがなくなってしまい、FXトレードの怖さだけが感じられるようになってしまった結果、起こるものだといえます。
負けトレード(損切)によって自分の資金が減ってしまう恐怖は、とても大きなものです。
なにせ、命の次に大切なお金が減ってしまうのですから、人間の本能レベルでのリスク──身の危険を感じてしまいます。
この恐怖に打ち勝てるだけの感情や根拠がなければ、そもそもエントリーは難しいといえるのです。
「トレードルールに従っているか」に意識を向ける
「目の前にある1回のトレードの勝敗結果に意識を向けてはいけない」というなら、何にフォーカスすればいいのでしょうか?
それは「トレードのプロセス(過程・流れ)」です。
具体的にいうと「トレードルールに従っているか」ということに、常に意識を向けるということです。
FXトレードで勝つためには、まず「トレードルールを決める」、そして「決めたルールに従う」という行動が必要です。
つまり、目の前の利益や勝ちトレードという「結果」にフォーカスしてトレードするのではなく、「自分のルール」に従った行動をとることを一番に考える、ということです。
決めたトレードルールに従うには、正しく負ける必要がある
「決めたトレードルールに従い、状況に応じてルール通りに行動する」──この行動は、目の前のトレードで勝つことばかりに意識を向けていては、決して取ることができません。
なぜなら、どんなトレード手法でも、必ず負けトレードが発生するので、一回一回のトレードの勝敗を気にして感情的になっていては、ルールに従い続けることはできないからです。
決めたルールに従うためには、損切りに終わった負けトレードを「確率的に起こり得る、当然の結果」として受け入れることが必要であり、これが「正しく負けること」なのです。
ですから、見かけ上、ちゃんと損切りができていても、「クソッ、損した!」といってイヤイヤ損切りをしていたら、それは「正しい負け方」ではありません。
これは、損切りをしているのではなく、損切り”させられている”のであり、結局それは「いま勝ちたい!」と思っている表れですし、そうした感情的な不満は、いずれ大きな反発を招きます。
正しい負け方とは、「今回は、確率的に起こり得る当然の負けトレードになっただけ」と、素直に受け入れて損切りをすることです。
こうして正しく負けることによって、ルールに従い続けることが可能になります。
トレードルールへの信頼が生まれると、正しく負けられるようになる
では、正しく負けるためには──確率的に起きる負けトレードを、当然のものとして受け入れられるようになるには──どうすればいいのでしょうか?
答えからいうと、「自分のトレードルールに従って行動すれば上手くいく」という信頼を、自分自身に対して築くことです。
そうすると、エントリーに感情の力を借りる必要もなくなっていきますから、トレードのストレスも大きく下がります。
ここで質問ですが、あなたは自分がしているトレードを信用していますか?
自分とまったく同じコピー人間がいたとしたら、その「コピーされた自分」がするトレードを信用して、お金を預けられますか?
質問を変えると、あなたはどれだけの根拠を提示されたら「コピーされた自分」がするトレードを信用できますか?
この答えを明らかにして、トレードルールへの信頼を築いていくことで、あなたも正しく負けられるようになっていきます。
トレードルールへの信頼については、こちらの記事でも解説しています。
トレードルールへの信頼があれば、エントリーに感情は必要なくなる
自分のトレードへの信用を築くというのは、つまり「過去チャートでトレード手法の優位性を検証し、そのルールでトレード練習を何度も繰り返した」という、その経験を蓄積していくことです。
その具体的な第一歩は、シンプルなローソク足だけのチャートを、過去数年分にさかのぼって、たくさん観察することから始まります。
FXの為替レートの値動きというものを、この目で観察して、その動きの傾向を自分なりに把握してみるのです。
そうすることで、あなたが空を見上げて「あ、雨が降るかも」と思えるのと同じように、チャートを観察して分析できる可能性がでてきます。
こうした経験を重ねていくことで、いずれ良い意味で「吹っ切れた心境」に到達するものです。
すると、「稼げるかも!」といってエントリーに飛びつくことも自然と無くなっていきますし、そもそもエントリーに感情のちからを借りる必要が無くなりますから、結果的に確率的な負けトレードを受け入れられるようにもなっていきます。
損切りになっても、そのエントリー判断がルールに従ったものなら、「ナイス損切り!」と思えるようになってきます。
これが「トレードルールに従うこと」に意識を向けるということであり、「正しく負けられる」ということなのです。
FXトレードで利益を上げるための正しい考え方~まとめ
FXトレードで利益を上げ続けるには、正しく負けることが必要です。
損切りで強いネガティブな感情が生まれるのは、本音の部分で「負けてもいい」とは思えていないからですし、目の前の1トレードで必ず利益確定したいと思っている表れです。
「負けてもいい、目の前の1トレードで勝てなくてもいい」と思えるためには、そのエントリーに優位性があると信じられなくてはいけません。
言い換えると「自分のトレードを、自分自身が信用しているか?」ということです。
その「自分のトレーディングへの信用」は、何度も過去チャート検証とトレード練習をすることで、徐々に築いていくことが可能です。
自分に対して「信頼に足る実績」を積み上げることで、深層意識のレベルで「負けは確率的に当然なこと」と思えるようになり、正しく負けられるようになっていきます。
このとき、同時にあなたは「予想すること」や「確実さを求めること」という考えを、手放せるようにもなっているでしょう。
以上、FXで正しく負けてますか?利益を上げるための正しい考え方について、お伝えしました。
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