飛びつきエントリーの恐怖。FX初心者あるある「つかんだレートが最高値」

FXに役立つ話

ある日、用事をすませて帰ってきた昼下がり、私はいつものようにチャートに向かいました。

しかしそのときはまだ、その後にやってくる大ピンチのことなど、なにも気づいていなかったのです──。

今回は、私がFX初心者だった頃にあった大ピンチの実話エピソードと、そこから得た教訓についてシェアしたいと思います。

これを読めば、強いトレーダーになるためには必須の、手法や勝ち方よりも大切なリスク管理のことが理解できるはずです。

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初心者トレーダーだった私に訪れた試練

それが起こったのは2011年、東日本大震災の悲観ムードが色濃く続いていたころでした。

私は関西在住でしたので、直接の被害はまぬがれましたが、親戚が東北に住んでいることもあって、感情がザワザワした息苦しい日常になっていました。

さて、その日は市役所に用事があったので、午前中のトレードや検証作業はせず、荷物を持って市役所へと出かけていきました。

到着して窓口で手続きを進めながらも、アタマの中では午後からする予定のトレードのことが、あれやこれやと浮かんでは消えていました。

為替介入の余韻のなかで

「この前の為替介入はスゴかったけど、思ったほどの値幅は動かなかったよな」──ぼんやりとそんなことを思う私。

震災の数日後の深夜、日本勢の買いポジションの損切り注文を狙ったと思われる猛烈な売り仕掛けがあり、深夜のチャートには、クッキリとVの字にえぐりこんだ跡が残ったのです(いわゆる「行って来い」)。

あまりの投機的な値動きに政府も対応を決め、その後、為替介入がおこなわれ、2円ほどの円安になっていたのでした。

その為替介入は目の前のチャートで見ていたのですが、ビビリで弱腰だった私は、ボーっとながめるばかりで手も足も出なかったのです。

全然トレードできなかったクセに「思ったほどの値幅はなかったよな」とは、今思い返すと飛んだお笑い草です……。

そんなお笑い草な私は、市役所の窓口で「もっと円安へ戻すためにも、日銀の再度の介入は十分あり得るよな」と考えていました。

といっても、そこには何の根拠もなく、もちろん初心者の希望的観測以上のものではありません。

そう、そのときは自分でもうっすらと「なんの根拠もない希望だよな」と、気づいてはいたのです。

だから、「早く用事をすませてトレードしたいなあ」という気持ちから生まれた、ただの妄想だったのだと思います。

なのに、まさか、その後ああいう値動きを目の当たりにするとは思ってもいなかったのです。

チャートを開き、嵐の前のゆとり、そしてうぬぼれ

パソコンに向かいトレードをしている写真

市役所での用事を済ませて自宅へ戻り、いそいそとドル円のチャートを開き、監視を始めます。ニュースのヘッドラインに目を通し、なにか材料は出ていないかをチェック。

先日の為替介入のインパクトも一段落し、表面的にはいつもの動きに戻っているような印象を受けました。

「夕方のロンドンタイムまでは動きがないかな?」と思いながらも、初心者の私は少しポジポジ病が発症しかけていました。

「おっと危ない。今はチャンスなんて無いじゃないか」

そう気づくと共に、そうやって自制できる自分を自分でホメながら、ちょっといい気になっていた、そのときです。

突然の相場変動、錯綜するニュース

ドル円のレートが突然、上昇を始めました。

(ググッ、ググッ、グググッ!!)

大きな上昇を見せた直後に、ニュースが流れます。

「日銀がレートチェックをしたとの観測情報あり」──つまり、「為替介入が行われるぞ!」ということであり、いまの動きは、それを察知した機関投資家などの大口トレーダーたちが、それを見込んで一気に仕掛け始めたことをあらわしているのです。

「今度のビッグウェーブには、絶対に乗るぞ!」と、カッとなった私は、すぐさまエントリーしようとするのですが、やはり今回も、注文のクリックがどうしても出来ません。

またニュースが流れます。

「日銀総裁のコメントにより、大幅円安へ」

どうやら、さっきの値動きは為替介入ではなく、総裁のコメントによるものだったことが分かりました。

市場の熱は冷めるのかと思いきや、そのコメントが明らかな円安方向への示唆ということもあったようで、むしろ動きが一方向へと傾いていったのです。

このときの私のアタマの中では、こんな言葉がくっきりと浮かんでいました。

「うわあ、こんなの絶対に買うしかないじゃないか……」

その約定通知は地獄への入り口だった

「買うしかない!」

「買いエントリーをするべきだ!」

「いま買わずにどうするんだ!」

──カチッ……私の右手に包まれたマウスは、ついに高らかにクリック音をあげました。

約定されました」というメッセージが画面に表示されるのを、待ち構えます。

しかし表示されたのは、こんなメッセージでした。

「約定できませんでした。再注文しますか?」

「なに!? なんで約定しないんだよ! もちろん再注文だよ!」

カチッ、カチッ、カチッ……、なんど再注文しても同じ表示。

「おい、おい、おい、どうなってんだよ……! ここで注文できなきゃ儲けられないだろうが……!」

焦りと戸惑いで、手のひらと脇の下からは変な汗が出ています。

カチッ、カチッ、カチッ……。

「約定しました」

「をを! やっと約定したぞ!」

ようこそ、後悔の苦しみへ

ここで「FX初心者あるある」をひとつご紹介しましょう。

「つかんだレートが最高値」

乗り遅れたくない!という思いで飛びついたら、そこが最高値(ヒゲの先)で、あとは下がっていくばかり──というやつですね。

そのときの私も、見事にそれにハマったのでした。

やっと約定して、「さあ、これからドンドン上がっていってくれ」と思ったのもつかの間、そこでピタリと動きを止めてしまいました。

その瞬間、あれほどイケイケだった私の気もちは、冷水をぶっかけられたように一気にしぼみます。

「……あれ? なんでこんなところで買いポジションをもってるんだろう……」

そう。冷静になってみると、本当に「なんでこんなところで?」と思わずにはいられない、おかしなおかしなポジションなのです。

チャートの山の頂上でポツンと買いポジションを持ったような、バカバカしくて間抜けなポジションがそこにありました。

「こんなところで約定させやがって!」とFX会社をののしってみても、どうにもなりません。

再び手のひらと脇の下から、おかしな汗が出てきます。

私のポジションはどうなるのか?

涙を流す子供の写真

チャートからは、もう目が離せません。

レートはグズグズと横ばいを続けていて、私の目はクギづけです。冷静さを完全に失った私は、既にいつもの私ではありませんでした。

参考記事 恐怖ストレスと闘争・逃走反応。FXで勝てないのはバカになってるから?

しばらくすると、ズルッ、ズルッとレートが下がりはじめ、損益表示画面のマイナスがジワジワと増えていきます。

「FX初心者あるある」だと、このまま動けないままズドン!とレートが下がり、ドカン!と大きな含み損をかかえ、泣く泣くロスカットの注文を出すか、強制ロスカットという悲惨な結果になるのが目に見えている、そんな状況です。

私はその後、どうなったのでしょうか。

含み損に苦しむ私を助けてくれたもの

そんな、変な汗にまみれ、冷静さを完全に失った私の耳に、幸運の女神の声が聞こえてきました。

「……自分で決めた最大許容リスクに従って、今すぐにロスカットの逆指値注文を出しなさい……」

そうです、私はリアルトレードを始める際の“鉄のオキテ”として、「資金の2%を最大リスクにする」というルールを決めており、そのことを思い出したのです。

さっそく所定の-20pipsのところに逆指値の損切り注文を出し、建値には同値撤退用の指値注文を出しました。

この時の気もちは、「ごめんなさい、もうしません、許してください」──でした……。

そして、どうなったか。

案の定、調整の下落が本格的にはじまり、所定のロスカットが執行されたあと、レートはそのままズルズルと下がり、そして一気にズドン!と落ちていったのです。

あそこでロスカット注文を出していなければ、証拠金に深刻なダメージを負っていたことは、まず間違いなかったでしょう。

文字通り「生き延びられた」という安堵感につつまれた私は、しばし放心状態の中、市役所の窓口でボンヤリしていた自分を懐かしく思い出していたのでした。

大きなリスクから自分を守る資金管理の方法

お伝えしたい教訓は、とにかく「リスク管理はわが身を救う」のであり、「損切り注文バンザイ」ということです。

どんなにしっかりとトレードをしていたとしても、ちょっとした気の迷いや、不慮の(心の)トラブルはあり得ます。

そんなとき、自分を守ってくれる仕組みや習慣──資金管理の方法を身につけていれば、最悪の事態は防ぐことができます。

そして大事なのは、こういったことが自分にも起こるのだということを、真剣に受け入れられるかどうかです。

その上で出来ることを実践していけば、私のケースのようにピンチの場面で天使の手助けが得られるでしょう。

では、その具体的な方法をお教えしましょう。

自分を守る資金管理の方法

  1. 一回あたりのトレードで許容できる損失を決める。
  2. 毎回、エントリーと同時に、最大許容リスクのところにロスカットの逆指値注文を入れる。

「許容できる損失」は、証拠金の1~5%までがおすすめです。

例として、証拠金100万円で、許容できる損失を2%として、5万通貨のポジションをもつ場合を考えてみます。

まず、100万円の2%、つまり2万円の損切りが、一回のトレードで許容できる最大のロスカット金額となります。

次に、5万通貨のポジションの損切りが2万円になる損切り幅(pips数)を計算します。

この場合、5万通貨のポジションが1pips動くごとに何円増減するかがわかれば、2万円をその数字で割ることで損切り幅(pips数)を知ることができます。

計算法は下記のとおりで、答えは、5万通貨のポジションだと1pipsあたり500円となります。

それをもとに損切り幅を計算すると、2万円÷500円=40pipsだとわかります。

1pipsあたりの金額の計算法
FXでは、1通貨のポジションが1pips動くごとに、0.01円の増減が生じます。
ということは、1,000通貨だと1pipsあたり「0.01円×1,000=10円」の増減が生じることになります。
同様に、1万通貨だと1pipsあたり「0.01円×10,000=100円」の増減が、そして今回のケースの5万通貨だと、500円の増減が生じることがわかります。

100万円の証拠金で、2%を最大許容リスクだと決めたなら、5万通貨のトレードでは、エントリーするごとに40pipsのロスカットの逆指値注文を入れる──ということになります。

この損切りラインを、いわば最終防衛線として死守することで、あなたの証拠金が深刻なダメージをうけることを回避することができるのです。

最大許容リスクでのロスカット注文が我が身を救う

あのときの私も、この「最大許容リスクでのロスカット」のおかげで命拾いしました。

トレードでは、何よりも勝つ前に「大負けして退場しないこと」が大切です。

言い換えると、強くて優れたトレーダーは「退場せずに生き残っている人」なわけです。つまり「強いから生き残っている」のではなく、「生き残っているから強いのだ」ということなのです。

あなたも相場の世界で生き残るために、今回の内容をぜひ理解して、少しでも実践してみて下さい。

以上、飛びつきエントリーの恐怖。FX初心者あるある「つかんだレートが最高値」──についてお伝えしました。

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