マルチタイムフレーム分析で優位性のある値動きを早期発見する方法

FXの手法&テクニカル分析

マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間足チャートを総合的に分析してエントリーや決済の判断をする、テクニカル分析手法のことです。

この記事では、マルチタイムフレーム分析を使って「優位性のある値動きを早期発見する方法」について、詳しく解説していきます。

※マルチタイムフレーム分析の基本的な使い方とFX手法については、下の解説記事をご覧ください。

解説記事 『マルチタイムフレーム分析』とは?やり方とコツ、FX手法を解説

マルチタイムフレーム分析を「値動きの早期発見器」として使うやり方

マルチタイムフレーム分析を使うと、相場状況全体を俯瞰的に観察して分析できるため、現在が売りと買いのどちらかに優位性のある状況かどうかを、的確に判断できるようになります。

これがマルチタイムフレーム分析の大きなメリットなわけですが、この他にも有益な使い方があります。

それが「値動きの早期発見器」としてマルチタイムフレーム分析を使う方法です。

ローソク足が確定する前の「途中の値動き」を捉えるという手法

マルチタイムフレーム分析では、大小それぞれの時間足チャートはお互いにズームインとズームアウト(拡大と縮小)の関係にあります。

1時間足チャートは、1時間が経過しないと1本のローソク足は完成(確定)しません。

しかしその1時間の間に、5分足チャート上では12本のローソク足が確定し、1分足チャートでは60本ものローソク足が確定します。

そして5分足や1分足チャート上では、何らかのプライスアクションやチャートパターンが形成されている可能性があるのです。

つまり、ある時間足チャートを小さな時間足に切り替えていくと(ズームインしていくと)、より細かな値動きを早期に読み取れるのです。

例えば、1時間足のローソク足が確定する前に、その現在の1本のなかで起きている値動きを「下位の(より短期の)時間足チャート」で観察することによって、より早いタイミングで優位性のあるエントリーをすることが可能になります。

これが、マルチタイムフレーム分析による「値動きの早期発見器」という手法です。

マルチタイムフレーム分析で値動きを早期に発見する実践例

では具体的なチャートで実践例を見ていきましょう。

下のチャートは、広めの値幅を狙うデイトレードを想定した30分足チャートです。

値動きの早期発見器の例。ドル円30分足チャート

高値「A」を付けた後、しばらくレンジ状態(上昇トライアングル)になった後、上へブレイクアウトし、新たな高値「B」を付けてから押しの値動き(緩やかな下落)を形成しました。

相場状況としては上昇トレンドが継続していると見られるため、素直に買いポジションを持つのが優位性のあるトレードだと考えられます。

そしてこの場合、「C」のポイント(高値「B」の上抜け)が、この30分足チャート上でのシンプルな高値ブレイクによるエントリーポイントとなります。

ここで考えて欲しいのは、階段状に上昇トレンドが継続しているという状況下で、ダブルトップやスパイクといった反転下降を示唆するパターンも現れていないのであれば、高値「B」からの緩やかな下落は「押しの調整」である確率が高いという点です。

つまり確率的には、いずれ早い段階で「反転して上昇を再開する可能性」があると想定されます。

であるならば、その「反転して上昇を再開する値動き」を早期に捉えることができれば、有利な買いポジションを持つことができるはずです。

そこで30分足よりも下位の(ズームインされた)チャートである5分足チャートを「早期発見器」として使い、30分足チャートでは見えない反転上昇の値動きを捉えてみましょう。

値動きの早期発見器の例。ドル円5分足チャート

この5分足チャートでは、30分足チャートの上昇トライアングルを上抜けた直後からの値動きが示されています。

押しの値動きによって徐々に値を下げてきたレートは、ダブルボトムを形成しました(二つの緑丸)

そしてネックラインとなる高値「A」を長めの陽線の連続で一気に抜けていき、高値「B」をつけました。

この時点で「反転上昇パターン(ダブルボトム)の形成」が成立しており、あとは高値「B」をブレイクしていけば、5分足レベルではダウ理論的にも明確な上昇トレンド成立となります。

ですので、このブレイクのポイント「C」が、水平線を分析基準とした場合、優位性のある妥当な買いエントリーのタイミングとなり得ます。

このエントリーポイントに至る値動きは、30分足チャートでは確認することが出来ないものです。

これが早期発見器として下位の時間足チャートを用いるメリットです。

以上が、エントリーする時間足よりも下位の時間足チャートを「値動きの早期発見器」として使うマルチタイムフレーム分析の具体例になります。

FXの値動きのフラクタル構造について

マルチタイムフレーム分析をこのように使える背景には、為替レートの値動きが持つ「フラクタル構造」という性質があります。

フラクタル構造とは、簡単にいうと「ある物体の小さな一部分が、その物体全体と同じ形をあらわしている構造」のことで、自己相似と呼ばれるものです。

具体例としては、雪の結晶やブロッコリーが有名です。

雪の結晶のフラクタル構造 フラクタル構造のブロッコリー

例えば雪の結晶の先端を拡大してみると、そこには、結晶全体と同じ形をした小さな結晶が集まっていているのが分かります。

こうしたフラクタル構造は、複数時間足のチャートの値動きにも同じように見られる特徴的な構造なのです。

例えば、日足でダブルトップのチャートパターンが形成されているとき、そのなかでは1時間足や5分足レベルでもダブルトップが形成されているものです。

フラクタル構造について理解することで、マルチタイムフレーム分析への理解はより一層深まりますので、詳しくは下記の記事をご覧ください。

解説記事 『フラクタル構造』とは?FXで複数時間足チャートを使いこなす方法

マルチタイムフレーム分析による「値動きの早期発見器」のデメリット

さて、マルチタイムフレーム分析による「値動きの早期発見器」には、メリットだけではなく当然デメリットもあります。

ズームインされた「下位の時間足チャート」を使うと、本来であれば目にすることのない「目先の細かい値動き」が目につきやすくなってしまいます。

ですので、しっかりと自分のトレード手法通りにシナリオを立てておかないと、値動きに翻弄されて無用なエントリーを重ねてしまいやすくなります。

例えば大きな時間足が上昇トレンド中に、本来であれば押し目買いを狙っていたはずなのに、小さな時間足でヘッドアンドショルダーが出来たのを見て、焦って売りエントリーをする──などというのは典型的なケースです。

また、本来のエントリー用の時間足上ではまだ決着がついていない(優位性がはっきりしていない)段階でエントリーするわけですから、上位足のトレンド方向に沿っていたとしても、あっさりと反転して損切りになってしまう可能性も十分にあります。

そのため、早期発見器の手法を用いる際には「損切りラインの設定ルール」と「再エントリーのルール」を明確にしておく対策が大切になってきます。

対策のアイデアとしては、「値動きの早期発見器」による早期エントリーの回数を制限する方法や、早期エントリーは1回だけとした上で、本来の時間足でのエントリーも併せて執行するという方法などが考えられます。

こうした対策は、事前に過去チャート検証とトレード練習によって明確にしておきましょう。

マルチタイムフレーム分析で優位性のある値動きを早期発見する方法~まとめ

マルチタイムフレーム分析では、大小それぞれの時間足チャートはお互いにズームインとズームアウト(拡大と縮小)の関係にあります。

そのため、ある時間足チャートを小さな時間足に切り替える(ズームインする)ことによって、より細かな値動きやチャートパターンを読み取り、優位性のある値動きを早期に把握することが可能になります。

以上、マルチタイムフレーム分析で優位性のある値動きを早期発見する方法──についてお伝えしました。

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