「FX取引」とは?
FX取引とは、円やドルなどの通貨を売買し、差益を狙う取引のことです。
正式名は、外国為替証拠金取引といい、一定の証拠金をFX会社に預け入れ、レバレッジをかけて差金決済で売買をおこないます。
FXという単語は「foreign exchange」の略で、外国為替のことを指します。
取引の種類には、FX会社と投資家が直接取引する「店頭FX取引(相対取引)」と、取引所で取引される「取引所FX」の二つがあり、「くりっく365FX」が取引所FXにあたります。
FX取引の方法としては、長期間にわたってポジションを所有する「長期トレード」、数日から数週間のポジション保有でおこなう「スイングトレード」、エントリー後は当日中に決済を行う「デイトレード」、数秒から数分という短時間にエントリーと決済をくり返す「スキャルピング」といったものがあります。
FX取引の大きな特徴として、レバレッジを用いる点があります。
レバレッジとは、証拠金を担保にして、その何十倍もの取引をおこなう仕組みのことで、これによって資金を効率的に用いて、大きな利益を得られる可能性があります。
しかし、その一方で、レバレッジによって大きな損失を招くことも事実のため、これまで金融当局によって何度か規制が掛けられてきた経緯があります。
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「ゼロサム」とは?
ゼロサムとは、利益を得た人たちの「利益の合計金額」と、損失を出した人たちの「損失の合計金額」をトータルすると、プラスマイナスゼロになることをいいます。
FX取引では、通貨を買うときには、同じだけの通貨を売るトレーダーが、取引の向こう側に存在しています。
ですから、通貨の売買によってやり取りされているお金は、基本的に為替相場の世界で移動しているだけということになります。
ちなみにFXの世界では、あくまでも「利益と損失がゼロサム」なのであり、「勝つ人数と負ける人数」はゼロサムではありません。
つまり、多数の敗者の「大小様々な損失」が、少数の勝者の「多額の利益」となっているのが実情です。
「非ゼロサムゲーム」とは?
非ゼロサムゲームとは、参加者の利益と損失の総和(差し引き合計)が「ゼロ」にならないゲームのことです。
非ゼロサムゲームには、利益の総和がプラスになる「プラスサムゲーム」と、利益の総和がマイナスになる「マイナスサムゲーム」とがあります。
FX取引は、為替レートの変動リスクを負うことで利益を得るゲームといえますので、誰かが利益を得るということは同じ分だけ損失を出したプレーヤーがいるということになり、これは「ゼロサムゲーム」です。
それとは異なり株式相場の場合、株価の上昇に伴って新たな価値が創造されるため、相場参加者の利益と損失の損和がプラスになる可能性があり、これは「プラスサムゲーム」と呼ばれます。
「マイナスサムゲーム」の例としては、競馬などのギャンブルや宝くじがあげられます。
競馬だと、掛け金全体の25%を胴元であるJRAが回収し、残りの金額が勝者に分配されます。宝くじだと、購入金額の約50%を胴元である銀行が回収し、残りの金額が当選者に分配されます。
FX取引も、厳密にいえば「マイナスサムゲーム」です。取引ごとにFX会社に徴収されるスプレッドは実質的な手数料であり、FX市場で取引される資金は常に手数料の分だけ目減りをし続けていると考えられるからです。
しかしFX取引では、こうした手数料は無視できるレベルのため、一般的にFXは「ゼロサムゲーム」として認識されています。
FXの「レート」とは?
レートとは、FX取引で用いられる為替通貨の取引交換比率のことで、正しくは「為替レート」といいます。
価値が異なる「二つの国の通貨」を取引する際には、それぞれの通貨の価値に応じた交換比率が必要であり、この交換比率のことを為替レートと呼ぶのです。
例えば日本円を米ドルとの交換の際に1ドルが120円で取引されていた場合、この「1ドル=120円」という交換比率が為替レートということになります。
為替レートは外国為替市場(FX市場)での実際の売買取引によって常に変動しています。
私たちが目にしている為替レートは原則として、そのときの売り手と買い手が合意して取引が成立したレートです。
つまり売り手と買い手の“需給バランス”によってレートは形成されており、買い手が多い場合はレートが上昇し、売り手が多い場合にはレートが下落することになります。
需給バランスの変動が起きる要因としては、主に次のようなものがあります。
(1)のファンダメンタルズ要因としては、主に各国の通貨当局や政府機関などが発表する経済指標が用いられ、それら指標発表の結果によってポジティブサプライズやネガティブサプライズが市場関係者にもたらされ、需給バランスが変化します。
(2)のような世界的ニュースが伝わると、金融資産を安全な資産へ避難させようという動きが生じやすくなり、安全通貨や避難通貨と呼ばれる通貨が買われやすくなるため、ここで大きく需給バランスが崩れることになります。
(3)のテクニカル要因としては、多くの市場参加者が注目する為替レートを更新したりそこで反転することなどによって、一部の市場参加者の強制決済(損切り注文の発動)や新規注文(エントリー)が行われるため、それを契機として需給バランスが大きく傾く傾向があります。
「24時間取引」とは?
24時間取引とは、FX取引(為替取引)の大きなメリットを表現した言葉です。
例えば株式市場では、日中に市場がオープンしている時間だけしか取引できません。
ナイトセッションと呼ばれる時間外取引もありますが、自由な取引とはいえません。
しかし為替相場(FX取引)では、世界中の為替市場が銀行間ネットワークによって接続されているため、24時間ずっと取引売買を行うことが可能になっています。
FX取引は、株式市場のような「一つの市場」で行われているのではありません。
世界各地の市場がオープンしている時間がずれて重なり合う結果、常時どこかの地域の為替市場がオープンしている状態になっているのです。
各地で取引されている時間帯はおよそ次の通りですが、株式市場と違って為替取引には明確なオープン時間とクローズ時間はないため、いわゆる早出勢と呼ばれるディーラーによる「現地早朝からの仕掛け」も頻繁に見られます(特にロンドン市場)。
- 東京市場 9:00~17:00頃(日本時間)
- ロンドン市場 16:00~1:00頃(日本時間)
- ニューヨーク市場 21:00~6:00頃(日本時間)
- オセアニア市場 4:00~13:00頃(日本時間)
※サマータイムによって時間が前後するので注意が必要。
関連用語 相対取引、東京タイム、ニューヨークタイム、ロンドンタイム、動く時間帯
「通貨単位」とは?
通貨単位とは、FX取引で売買できる最小単位のことで、FX会社によって通貨単位の設定は異なります。
「1通貨単位」は、「1ドル」や「1ユーロ」をあらわし、一般的には10,000通貨単位が標準的といえます。
1,000通貨単位でもトレードが可能なFX会社も多く、なかには1通貨単位で取引が可能なところもあります(OANDA証券や、SBI FXトレード)。
通貨単位が小さいほど、FX取引に必要となる証拠金が少なくて済むため、少額の資金しかないトレーダーにとっては敷居が低くなります。
関連用語 ロット
「スプレッド」とは?
スプレッドとは、FX会社、銀行、マーケットメイカーなどが提示する、通貨ペアの為替レートの「買値と売値との差」のことです。
この売買レートの価格差であるスプレッドが、レートを提示する側の利益(手数料収益)となります。
スプレッドはトレーダーにとってのコストであり、また、FX会社によってスプレッドが異なるため、特に短期売買(デイトレードやスキャルピング)を行うトレーダーにとって、FX口座選びの重要ポイントになっています。
しかし、近年では多くのFX会社のスプレッドは、ほぼ横並びの状態なので、以前ほどの違いは見られなくなっています。
ちなみに、FX取引でのスプレッドは、銀行で外貨預金をする際のスプレッドと比較してとても小さいため、レバレッジ1倍の状態でポジションを持つことで、実質的な外貨預金をおこなう方法も可能です。
関連用語 FX会社、FX口座、Ask、Offer、Bid
「相対取引」とは?
相対取引とは、取引所などの市場を通さずに、売り手と買い手が当事者同士で価格や売買数量などを決めて行う取引のことです。
「OTC(Over The Counter)取引」とも呼ばれます。
為替取引(FXトレード)では、株式市場の証券取引所のような「特定の場所」での取引は行なわれておらず、当事者同士が売り手と買い手になって、「相対(一対一)」で値段や数量(ロット数)や注文方法などを決めて取引しています。
私たちトレーダーがFX会社で為替取引をする場合が、この相対取引にあたります。
FXの相対取引での注意点
例えば、ある通貨を買うときはFX会社から買うことになり、いうなれば「FX会社の言い値で買う」わけです。
そのため、FX会社の都合(リスクヘッジ)によってスプレッドが広がるなど、不利な為替レートで約定させられる可能性がある点に注意が必要です。
さらには、エントリー注文を出しても約定されないケースも発生し、これを「約定拒否」といいます。
これは相対取引ならではの問題点といえるでしょう。
FXトレーダー側がいくら「買いたい、売りたい」といっても、FX会社側が首を縦に振らなければ注文は通らない(約定されない)のです。
約定拒否の多くは、先ほど述べたFX会社のリスク回避という都合によるもので、重要指標発表直後や突発的な大事件が発生するなどして、為替市場が混乱し値動きが極めて大きくなっている相場状況(ボラタイルな状況)では、頻繁に起こり得ます。
FXトレーダー側の対策としては、許容スリッページの設定を大きくしておくことが挙げられます。
しかし当然、このときの実際の約定レートはFX会社次第ですので、広くしたスリッページ分だけ不利なレートで約定したとしても文句は言えません。
FXトレーダー側としては、そうした「FX会社にとってリスクが高い相場局面」でのトレードを避けるというのも、立派なリスク対策といえます。
相対取引ではないFX取引が可能な「くりっく365」
ちなみに、くりっく365FXは取引所での取引となるため、相対取引ではありません。
くりっく365FXのような「取引所取引」は、株式市場での取引と同じく売買注文が「板」と呼ばれる注文リスト上で公にリストアップされ、その為替レートとロット数に応じて取引をおこいます。
相対取引が「相手の言い値」が基準になって為替取引が行われるのに対して、取引所では市場の売り手と買い手全員のレートが公平に見比べられる形で取引が行われます。
つまり売買される為替レートの透明性が高いということです。
ちなみに実際には、くりっく365FXでは複数の銀行や証券会社が売買レートを提示し合う「マーケットメイク方式」が採られていますが、実質的には公平性の高い為替レートが提示されていると考えて問題ありません。
為替レートの透明性やスリッページの問題から、取引所でのFX取引にはメリットがあったのは事実ですが、くりっく365FX発足以降にあった税制改革などにより、取引所取引の魅力は大きく低下してしまったといえます。
スプレッドの面でのデメリットが目立つ結果、現在では多くの個人FXトレーダーにとって、積極的にくりっく365FXを選択する理由は乏しいでしょう。
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「差金決済」とは?
差金決済とは、証拠金(保証金)を担保にして、トレードで生じた「買いと売りの差額」だけをやり取りする決済方法のことです。
例えば、100万円分のドルを買うとき、100万円の資金は必要なく、あらかじめ一定の証拠金を預け入れていれば買うことができ、このときの購入可能金額と証拠金の比率のことを「レバレッジ倍率」といいます。
その後、ドルが値上がりして110万円になったところで売ったなら、差額の10万だけを受け取ることになり、逆に、値下がりしたところで売った場合、損失分が証拠金から差し引かれます。
差金決済を取り入れることで、少額の資金でも大きな取引が可能になるため、大きな利益が得られると同時に、大きな損失を被る可能性があります。
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「証拠金」とは?
証拠金とは、FX取引でポジションをもつために必要なお金のことで、差金決済で生じる損失を支払う能力があることを、あらかじめFX会社に示すためのものです。
文字通り、「支払能力の証拠として差し出すお金」ということです。
FX取引では、預け入れた証拠金に応じて、もつことが可能なポジションサイズが決まってきます。このとき、レバレッジの倍数によって最大ポジションサイズが決まります。
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関連用語 維持証拠金
「必要証拠金」とは?
必要証拠金とは、取引額(ポジションサイズ)に応じて最低限必要となる証拠金のことです。
証拠金とは、FX取引でポジションをもつために必要なお金のことで、差金決済で生じる損失を支払う能力があることを、あらかじめFX会社に示すためのものです。これは文字通り、「支払能力の証拠として差し出すお金」ということです。
FX会社で口座を開いてポジションをもつには、ポジションサイズに比例して必要になる証拠金──すなわち「必要証拠金」を口座に入金しておかなくてはいけません。
必要証拠金の金額を満たしてポジションをもつことが出来ても、その後に含み損になって維持証拠金を下回ってしまうと、FX会社からマージンコールという注意喚起がなされ、最悪の場合は強制ロスカットによる決済が行われることになります。
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関連用語 レバレッジ
「有効証拠金」とは?
有効証拠金とは、FX口座にある証拠金に現在保有しているポジションの評価損益を反映した金額のことです。
- 有効証拠金 = 証拠金 ± 未決済ポジションの評価損益
FX取引では、この有効証拠金から現在持っているポジションの維持証拠金を差し引いた金額(余剰金)の範囲内で、新規のポジションを持つことが可能になっています。
つまり、現在のポジションの含み益が増えれば増えるほど(利益はまだ確定していないものの)、新規に持てるポジションは大きくなるわけです。
逆にいうと、そこから含み益が減少して含み損となって、さらに維持証拠金を割り込むような事態になれば、マージンコールとなってしまうということでもあります。
「追証(おいしょう)・追加証拠金」とは?
追証とは、追加で入金が必要な証拠金のことで、追加証拠金の略です。
ポジションを維持するためには、最低限必要な証拠金の金額が決まっていて、これを維持証拠金といいます。
含み損が増えて、維持証拠金を下回りそうになった時点で、FX会社から「追加で証拠金を入金しなければ、ロスカットになる」という連絡が入ります(これをマージンコールといいます)。
このとき、ポジションを維持するために必要になるのが「追証(追加証拠金)」です。
追証をFX口座に入金して維持証拠金を上回る状態になれば、ポジションをロスカットされずに済みます。
しかし含み損がさらに拡大し続ければ、再びマージンコールとなって、さらに追加証拠金が必要になります。
追証を入金することで、その場は強制ロスカットをまぬがれますが、また維持証拠金を下回れば、FX会社から再び追証を求められることになります。
相場状況が変わらなければ、マージンコールと追証を繰り返すことになってしまい、最終的には大きな損失を出す可能性があります。
基本的に、追証を求められた時点でそのトレード戦略に問題があったということを認めて、いさぎよく損切り決済をすることが必要かもしれません。
「いちかばちか」のポジション保有は、長期的にはうまくいかないと考えられますし、精神的・肉体的にも大きな負荷が掛かり続けることになってしまいますので、おすすめできません。
「維持証拠金」とは?
維持証拠金とは、持っているポジションを維持するのに必要なお金のことです。
通常、FX口座にある証拠金が維持証拠金の額を下回ると、ポジションは強制的に決済されます(強制ロスカット)。
維持証拠金は、FX会社によって異なる金額が設定されていて、FX口座に入金してある証拠金が維持証拠金を下回ると、もっているポジションがFX会社によって強制的に決済させられることになります。
含み損を考慮した現時点の証拠金の金額と、維持証拠金との比率のことを、「証拠金維持率」といいます。
証拠金維持率が一定割合を下回ると、FX会社からマージンコールという注意喚起がなされ、追加で証拠金を入金せずにそのまま含み損が増えていった場合は、強制ロスカットによる決済が行われます。
FX取引のリスク管理の面から維持証拠金を考える
FXトレードのリスク管理の面からいえば、維持証拠金に常に注意を払わなければならない状況は、それ自体が問題だと考えられます。
小額からトレードできるのがFX取引の魅力であり強みである側面はありますが、少々の為替レートの変動でポジションが維持できなくなるようなトレードは、リスクを取り過ぎているでしょう。
恐らく多くの場合、維持証拠金を気にしなければならない状況は「ナンピン」にかかわる場面だと思われます。
そのトレードが短期トレードであれば、そもそも事前にルールとして検討されていたナンピン以外はご法度です。
厳しいようですが、そのポジションは一旦決済(損切)をして、トレードを仕切り直すことをおすすめします。
その上で、次回以降のトレードで同様の証拠金問題を引き起こさないように、しっかりとトレードプランを検討しておきましょう。
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関連用語 追証(おいしょう)
「売買手数料・取引手数料」とは?
売買手数料(取引手数料)とは、FX取引(為替トレード)においてポジションのエントリーや決済をするときに必要な費用のことです。
FX取引では、多くのFX会社で売買手数料(取引手数料)が無料となっています。
その代り、通貨ペアの買い値と売り値の差額であるスプレッドが、実質的な手数料として取引ごとに徴収されます。
また、成行注文を出した瞬間の為替レートと実際に約定した為替レートに差が生じる「スリッページ」も、一種の売買手数料(隠れコスト)と見ることが可能です。
ですから、一見するとFX会社から小さなスプレッドが提示されていたとしても、実際の約定レートを観察してスリッページをチェックしてみると、実は高コストな為替取引を強いられている可能性がありますので注意が必要です。
関連用語 約定力
「マージンコール」とは?
マージンコールとは、取引の損失を支払える証拠として預け入れたお金(=証拠金)が、現在の含み損を差し引くと一定割合以下になる状況になった場合に出される、FX会社からの警告通知のことです。
マージンコールは、強制ロスカットによって決済されてしまう直前の「最後通告」ともいえるものです。
マージンコールの計算方法や算出タイミング(通知タイミング)は、FX会社によって異なりますので、自分のFX口座がどういった仕組みになっているのか、よく理解しておく必要があります。
この通知が来たら、追加証拠金をFX口座に入金してポジションを維持するか、もしくは相場の見込み違いを認めて自ら損切りの決済(手仕舞い)をおこなう必要があります。
追加証拠金を入金してポジションを維持できたとしても、さらにレートが反対方向へと進んでいけば再びマージンコールとなって、更なる追加証拠金を求められることになります。
マージンコールを放置しておくと、いずれ維持証拠金を下回った時点で強制ロスカットされることになります。
運良くポジションが建値方向へ戻ることもあり得ますが、それを期待してズルズルと持ち続けることは傷を大きくするばかりと言えます。
基本的に、マージンコールが発生するようなポジションはそもそも大き過ぎる、もしくは思惑と反対方向への動きを許容し過ぎていると考えられますので、リスク管理のプランを立て直す必要があるといえるでしょう。
関連用語 ポジションサイジング
「ロスカット」とは?
FX取引におけるロスカットとは、含み損となっていたポジションを決済して損失を確定させることです。
これはロスカットの広義の意味であり、このロスカットのことは通常「損切り」と呼ばれます。
大切なトレード資金である証拠金が破綻してしまうことを避けるため、ロスカット(損切り)を実践していくことがFX取引ではとても重要です。
もう一つのロスカット「強制ロスカット」
またFX取引には、ポジションの含み損が証拠金に対して一定割合を超えてしまった時点で、FX会社によって強制的に決済(損切り)されるという仕組みがあります。
FX取引で「ロスカット」という用語を使う場合は、この強制的な決済の仕組みのことを指し、FX会社側が強制的に決済してしまうことから「強制ロスカット」と呼ばれます。
ポジションが強制ロスカットされるのは、リアルタイムで証拠金維持率を下回ったときです。
しかし強制ロスカットの前に、まず証拠金維持率が危険な水準に低下した時点で、FX会社から「マージンコール」が送られてきて、追証・おいしょうを求められることになります。
証拠金を入金して追加することで、その場は強制ロスカットを免れることが出来ます。
ですがマージンコールとなった段階で、トレーダー側は何かしらリスクマネジメントが上手くいっていない(リスクを取り過ぎている)ということを認識する必要があります。
なお、FX取引のようにレバレッジを利用した取引では、損失額が証拠金を上回ってしまうケースが発生する可能性があります。
もし損失額が証拠金を上回ってしまった場合は、証拠金が失われる上にさらなる損金をFX会社から請求されることになってしまいます。
損金が請求される状況はトレーダーとFX会社の双方にとって負担となるため(支払いコストと請求コスト)、強制ロスカットとマージンコールという仕組みによって、事前にお互いの損失リスクを限定するようになっているのです。
関連記事 FXで損切り注文を入れないリスクとは?その危険さと対策方法について
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関連記事 飛びつきエントリーの恐怖。FX初心者あるある「つかんだレートが最高値」
関連用語 ストップ・ロス・オーダー
「変動為替相場制」とは?
変動為替相場制とは、為替レート(通貨の交換比率)を固定せずに、外国為替市場での需要と供給によって自由に為替レートを変動させる制度のことで、「フロート制」ともいいます。
多くの先進国では変動為替相場制が採用され、日々、外国為替取引が行われています。
変動為替相場制の歴史は意外と浅く、1976年にジャマイカの首都キングストンで開かれたIMF(国際通貨基金)の暫定委員会会議において、その当時の為替取引の現実(実質的な変動為替相場状態)を追認する形で変動為替相場制が正式承認され、正式にスタートしました。
「変動為替相場制」参考記事(外部リンク)
参考記事 変動相場制(ウィキペディア)
参考記事 変動為替相場制(コトバンク)
「ロールオーバー」とは?
ロールオーバーとは、FX取引で保有しているポジションを決済せずに翌日に持ち越す(繰り延べする)ことです。
本来、通常の外国為替取引(FX取引)においては、エントリーしたポジションは2営業日後に決済して清算する決まりになっています。
つまり、スイングトレードとして保有したポジションは、そのままだと2営業日後に強制的に決済されてしまうわけです。
そこで実際には、毎日一定時刻に通貨ペアの金利差(スワップポイント)の清算を行った上で、決済の期限をリセット(実質的には延長)します。
この手続きがロールオーバーです。
ロールオーバーを直訳すると「乗り換え」という意味になり、FX取引でのロールオーバーは、2営業日後の決済の前に日々新しいポジションへと乗り換えている(ポジションを作り直している)──というわけなのです。
このロールオーバーという仕組みがあるお陰で、私たち個人FXトレーダーは金融業界の取引ルールを気にすることなくポジションを保有することが可能になっています。
しかし多くのFX会社は相対取引であることから、取引ルールを柔軟に設定できるため、各FX会社ごとの具体的なロールオーバーの仕組みはそれぞれ異なっています。
一般にはスワップポイントの清算も持ち越されて、最終的な決済時にまとめて清算されるルールを採用しているFX会社がほとんどです。
こうすることでFXトレーダー側は、ポジションのエントリー時のレートや損益計算が分かりやすくなります。
「ウィーク・オーダー」とは?
ウィーク・オーダーとは、その週の金曜日、米国市場終了(日本時間の翌土曜日早朝)までを有効期限とする注文のことです。
週末の終値と月曜日の開始時点の為替レートが大きくかけ離れることを、「窓を開ける・窓開け」といいますが、ウィークエンドにポジションを保有し続けることで、こうしたリスクをかかえてしまう可能性があります。
ウィーク・オーダーは、そんなリスクを避けたいトレーダーのために生まれた注文方法です。
このウィーク・オーダーは、週内のどのタイミングで発注しても、金曜日に米国市場が終了した時点で自動的にキャンセルとなり、注文不成立となります。
関連用語 デイ・オーダー
「ノーオファー・ノービッド」とは?
ノーオファーとは、為替取引(FX)において、売買の取引相手となる売り手(オファー)がいない状態を指す言葉です。
反対に買い手(ビッド)がいない状態を、ノービッドといいます。
一般に株式や先物市場と比べて、流動性がとても高いとされるFX取引においては、通貨を取引してくれる相手(売り手と買い手)がいない状態というのは想像しにくいです。
しかし次のような相場状況では、ノーオファーやノービッドになるタイミングが発生することが稀にあります。
- 為替市場が休日である、週初めの早朝であるなど、為替市場の参加者(機関投資家や大口トレーダー)が非常に少ない時間帯の時。
- 通貨の信用不安などでオファーを出せない相場状況の時。
- 予想外の好材料や悪材料が出て為替レートが一方的に大きく動き、一時的に売り手(買い手)側が為替取引をしなくなった時。
FXでは、このような相場状況で無理にエントリーしようと成行注文を出すと、何とかポジションを持てたとしても、とても大きなスリッページが発生してしまい、非常に不利な建値のポジションを抱えることになってしまいますので注意が必要です。
「デイ・オーダー」とは?
デイ・オーダーとは売買注文の方式の一つで、取引注文を出した当日だけ有効となる注文方法のことです。
FXでは成行注文や指値注文、逆指値注文によって売買注文を出すわけですが、それらの注文の有効期限を決めておくのが、このデイ・オーダーです。
注文(オーダー)を出した日に売買が成立しなければ、その注文は自動的にキャンセルになる仕組みです。
デイ・オーダーの有効期限は、一般的にはニューヨーク時間が終わるまでとなります(午前7時。夏時間は午前6時)。これは「為替市場の一日の終わりはニューヨーク市場がクローズされたとき」という認識にもとづいています。
とはいえ、デイ・オーダーの詳細な有効期限はFX会社ごとに異なりますので、事前に取引説明書(PDFファイルなど)を確認しておく必要があります。
同じように、取引注文を出した週の終わりまでを有効期限とした、ウィーク・オーダーという注文方法もあります。
ちなみにデイ・オーダーのような有効期限がなく、売買が成立するまで、もしくは自分でキャンセルするまで無期限で有効な注文のことを、GTC(Good Till Cancel)注文と言います。
「現受け」とは?
現受けとは、FX取引において、保有していた買いポジションを、本来であれば差金決済によって取引を完了するところを、そうせずに外貨のままで受け取ることをいいます。
例えば、ドル円が100円のときに10万通貨の買いポジションを持ったとします。
その後、ドル円が105円になった場合、通常は差金決済によって50万円の利益を受け取って、この取引は完了することになります。
このとき、現受けをすると、買いポジションを持ったときの「1ドル=100円」のレートで、10万通貨のドルを受け取ることができるわけです。
その際には、FX会社へ10万通貨分の代金を支払うことになり、この場合だと1,000万円が必要になります(別途、手数料やスワップ金利が発生します)。
現受けは、銀行での交換よりも手数料が掛からないため、出張や海外旅行へ頻繁に行く個人や、輸出入で外貨を取り扱っている企業によって利用されています。
関連用語 差金決済
「ウェリントン」とは?
為替取引におけるウェリントンの意味は、オセアニア市場のひとつである「ウェリントン為替市場」のことを指しています(ウェリントンはニュージーランドの首都です)。
外国為替市場の中では、世界で最も早く(日本時間で午前5時から)スタートする都市です。
このウェリントン市場を皮切りにオセアニア市場が始まり、シドニー為替市場、東京為替市場、香港為替市場と、アジア各地の為替市場がオープンしていきます。
1日で最も遅くスタートするニューヨーク為替市場が終わる直前に、再びウェリントン市場が次の日の取り引きを開始します。
このように、FX取引は24時間休むことなく売買取引が続いていき、ウェリントンはそのスタート地点としての一種のシンボル的な意味合いがあります。
欧州やアメリカの夜間に大きな事件や政変などがあった場合、具体的な為替市場の反応があらわれるのがオセアニア市場からなので、市場参加者からの注目度が高まる傾向があります。
関連用語 動く時間帯
以上、FX(為替取引)の特徴や仕組みの解説まとめ──についてお伝えしました。