「リスクヘッジ」とは?
リスクヘッジとは、「リスク回避(Risk Hedge)」を意味する相場用語で、資産運用のリスクを減少・低下させるための行動のことです。
単に「ヘッジ」とも呼ばれます。
FX取引での代表的なリスクヘッジの方法としては、現在もっているポジションとは反対方向へポジションをもつ方法があげられます(両建てもこれに含まれる)。
こうすることで値動きによるリスクを回避することが出来ますが、利益を得るチャンスも回避してしまうことになります。
他の代表的なリスクヘッジの方法としては、分散投資と呼ばれる手法が有名です。
株式にだけ運用資金を投じるのではなく債権や商品先物などにも投資することで、株式の大きな評価額の変動によるリスクを中和させて回避することが可能になります。
リスクヘッジのイメージとしては、ハイリスク・ハイリターンな投資・投機を、ミドルリスク・ミドルリターンやローリスク・ローリターンな投資・投機に移し変えるもの──という風に捉えることが可能です。
言い方を変えると、相場でのリスクを下げたり回避したりすることは、同時に利益も下げたり回避したりすることにつながるということです。
そのため、資金運用のスタイルに応じたリスクヘッジを選択して実践することが大切になります。
FX会社もリスクヘッジを行っている
為替市場でリスクヘッジを行うのはFXトレーダーばかりとは限りません。
相対取引の相手であるFX会社も、大小のリスクを回避するために様々なリスクヘッジを行っています。
例えばよく目にするものとして、経済指標の発表時にFX会社がスプレッドを拡大させるのは典型的なFX会社側のリスクヘッジです。
また、低スプレッドを提示したり各種特典を用意するなどして、顧客となるトレーダーを数多く招き入れようとするのも、FX会社の資金確保とリスク分散の上で重要なヘッジとなっています。
「リスクマネジメント」とは?
リスクマネジメントとは、あらかじめトレードのリスクを想定しておき、そのリスクが現実のものとなった場合でも、投資資金への影響を抑えてトレードが続行できるようにしておくことです。
リスクマネジメントは一般的には「リスク管理」と呼ばれます。
為替取引(FX)の場合は、トレードを余裕資金の範囲内で行うことや、トレードのレバレッジの認識、証拠金に対するトレードごとの損失の割合(リスク%)を決めること(いわゆるポジションサイジング)などがリスク・マネジメントに当たります。
他にも、米雇用統計や政策金利発表などの重要な経済指標の発表前には大きなポジションを持たないことや、月曜の窓開けによる突発的な為替レートの変動リスクを避けるために、金曜の市場オープン時間のうちにポジションを決済しておくこと等があります。
さらには、体調が悪い時にはトレードをしない、日中にストレスの多い仕事をした日の夜はトレードをしない、夕食でアルコールを飲んだ時はトレードをしない──というような自己管理に関するものも、FXにおけるリスクマネジメントの要素になります。
総じて、投資資金に余計な危険を及ぼすものは可能な限り想定しておき、それを排除していくこと──これがリスクマネジメントだと言うことが出来るでしょう。
関連記事 FXのリスク。初心者必見、危険への対策と解決方法10記事
関連記事 FXで損切り注文を入れないリスクとは?その危険さと対策方法について
関連記事 FXで失敗しない方法とは?チェックリスト編。緊急時のパイロットに学ぶ
関連記事 飛びつきエントリーの恐怖。FX初心者あるある「つかんだレートが最高値」
「リスクオン・リスクオフ」とは?
リスクオンとは、リスクの高い投資対象へ資金を振り向けて積極的に利益を追求することや、そうした積極的にリスクを取る投資行動が好まれる相場状況になっていることを指す相場用語です。
投資家や投機家たちが高いリスクを好んで選ぶ様子から「リスク選好」とも呼ばれます。
リスクオフはその反対で、リスクを下げた投資行動や、そうした行動が選ばれやすい相場状況や市場ムード(センチメント)を指します。
リスクオフは「リスク回避」とも呼ばれます。
為替取引(FX)でリスクを選好することは、リターンが大きくなる可能性と共に、損失が大きくなる可能性も高まることを意味します。
為替相場のセンチメントがリスクオンになるきっかけは、経済指標によって景気の大幅改善が明らかになったり、金融不安の解消や金融危機の収束したりするなどして、為替市場に楽観論が強まることが大きな要因となります。
具体的には、欧米などの主要先進国の経済状況が好転し景気が上向いている場合には、比較的高リスクな株式などに投資資金が向かいやすくなります。
それに加えて、リスクが高い新興国の株式や高金利なマイナー通貨にも、ハイリターンを狙った投資資金が向かっていくのが特徴です。
反対にリスクオフの相場局面においては、投資家たちが資金を守ろうとするため、リスクの低い投資対象へと投資資金が移動していくことになります。
具体的には、主要先進国の経済状態が悪化して景気が下向いている場合には、新興国の株式から資金が引き上げられたりマイナー通貨が売られるなどします。
そうして引き上げた投資資金で避難通貨(安全通貨)が買われたり、低リスク(ローリスク・ローリターン)の米国債券や日本債権が買われたりする傾向が見られます。
以上、リスクヘッジ・リスクマネジメント関連用語の意味と解説──についてお伝えしました。