「抜ける」とは?
抜けるとは、高値や安値、テクニカル指標などのチャートポイントを、レートが超えていくことです。「ブレイクアウトする(突破する・急変する)」とほぼ同義の言葉です。
基本的にこのような形で用いられます。
「ブレイクアウト」とは?
ブレイクアウトとは、為替市場で注目されているチャートポイントを、レート(価格)が抜ける(突破する)ことです。
一般には、シンプルに「ブレイク」と略されて呼ばれることが多いです。
注目されるチャートポイントの例としては、高値や安値、サポートライン、レジスタンスライン、トレンドライン、ネックライン、テクニカル指標のライン(例:200期間の移動平均線)などがあります。
細かいものだと、ローソク足の高値や安値も「ブレイクアウトするかどうか」を注目する対象となり、ローソク足のブレイクはプライスアクション・トレードでよく用いられます。
FXで注目されるチャートポイントでは、売り買いそれぞれの注文が溜まっている可能性が高いため、そのチャートポイントを抜けることで一方向への値動きが発生することが想定されます。
そのため、注目ポイントをレートがブレイクアウトする値動きには注意を払う価値があります。
FX取引のトレード手法のなかには、ブレイクアウトが起きるであろうチャートポイントを特定したり、ブレイクアウトが想定される相場状況での判断とエントリー方法を扱ったものが多く見られ、これらを総称して「ブレイクアウト手法」と呼びます。
また、ブレイクアウトしたと思ったものの、そこから元のチャートポイントまで為替レートが戻ってしまったり、戻ってさらに反対方向へとブレイクアウトしていくことがあります。
これをダマシの値動きと呼びます。
「ラインブレイク」とは?
ラインブレイクとは、サポートラインやレジスタンスライン、トレンドライン、ネックラインなどのチャートポイントをレートが抜けること(ブレイクアウトすること)をいいます。
為替取引(FX)のチャートポイントでは、売り買いそれぞれの注文が溜まっている可能性が高いため、チャートポイントをブレイクすることでそれら売買注文が一気に約定される結果、一方向への値動きが加速することが想定されます。
そのため、ラインブレイクには注意を払う価値があります。
チャートにラインを引いて、そこをブレイクしたらトレードするという手法を「ラインブレイク手法」と呼び、シンプルなプライスアクショントレードのひとつとして人気があります。
どうなったらラインブレイクしたと見なすのか?
ラインブレイクをFXトレードに取り入れる際に問題となるのが、どのような値動きになったらラインブレイクしたと見なすのか、というものです。
最も早い判断タイミングは、終値が確定するのを待たずに為替レートがラインを少しでも超えたところになります。
しかしこれは、その後ヒゲになってしまい、典型的なダマシのブレイクに終わる可能性があります。
一般的に知られている方法としては、監視している時間足チャートにおいて「確定した終値で抜けたらラインブレイクと見なす」というものです。
例えば監視している為替チャートが1時間足だった場合、1時間足が確定した段階で終値がラインのレートを上回って(下回って)いたらラインブレイクと捉えます。
終値確定時点でのブレイクを用いると、一定数の市場参加者が「抜けた」と判断するだろうと思われますので、これは妥当な考え方といえます。
さらに確実性を求めるなら、ローソク足の実体の全体がラインを超えた位置で確定したら、ラインブレイクだと判断するというものもあります。
これはまず、ローソク足の終値の段階でラインを抜け、さらに次の足の終値もラインを超えた位置で確定したら、ラインブレイクと見なすというものです。
つまり「1本のローソク足の実体(始値と終値の範囲)がラインのレートを上回る(下回る)状態」を確認するということです。
これらの判断方法は、ローソク足を1本ずつ注目して判断するという、いわゆるプライスアクションに注目した判断方法ですが、もっとざっくりとラインブレイクを判断する方法もあります。
それは、単純に視覚的に「誰が見ても抜けた」と思えるような状況になるまで待つ──というものです。
つまり、もう誰に聞いても「まだラインブレイクしていない」とは言わない状況になって初めて、抜けたと判断するということです。
テクニカル分析にはどれが正解かはありませんので、過去チャートの検証作業を通じて各FXトレーダーが判断して決定する必要があります。
「レンジブレイク」とは?
レンジブレイクとは、それまでレンジの中で動いていたレートが、上下どちらかのラインを抜けて(ブレイクして)突破し、上昇もしくは下降していくことです。
ブレイクした側のラインを背にしてエントリーしていたトレーダーたちの損切りによって、一気に大きく値が動く傾向があるため、レンジブレイクの値動きはトレードチャンスとなります。
レンジブレイクでの基本的なトレード方法
レンジブレイクでのトレード方法は、ブレイクの初動から飛びついてしまうのではなく、その前後の動きを見極めて「リスクを限定できるポイント」でエントリーすることが有効です。
レンジブレイクの基本的なパターンをいくつか紹介します。
上の図は、レンジブレイクの前に買い勢力がレンジの下限を押し上げているケースです。
それまで売り勢力もレートを押し下げていて、それによって一定の値幅のレンジが形成されていたわけですが、その力関係が不均衡になり、いよいよ売り勢力が不利になってきたことが見て取れます。
こうした状況では、それまでのレンジ上限をブレイクしたところでエントリーするか、押し上げられて新しく出来たレンジ下限付近から早めにエントリーするのがセオリーです。
ただしブレイク前にエントリーする場合は、依然としてレンジが継続しているという前提を忘れず、想定違いとなったときには迅速な損切りをすることが求められます。
次の図は、レンジブレイク後に再び小さなレンジが形成されるケースです。
この図の小さなレンジの下限は、ブレイクしたレンジ上限のレジスタンスラインがロールリバーサルしていますが、実際には元のレンジに食い込む形になることも多く見られます。
この小さなレンジの中では、最初のレンジブレイクでの利益確定をする買い方(買い勢力)や、新規の買い方、損切りをして逃げようとする売り方、最後の抵抗を見せる新規の売り方が入り乱れており、ここだけを見ると決着はまだついていないと言えます。
しかし、それまでのレンジは既にブレイクしていますし、もしもレンジブレイクの方向に何らかの優位性がある場合(トレンドの継続方向である等)は、更なるブレイク方向への値動きへと発展しやすい傾向があります。
ですからこうした状況では、新たな小さなレンジの上限をブレイクしたところでエントリーするか、小さなレンジの下限付近からエントリーするのがセオリーになります。
関連用語 ブレイクアウト
「底割れ」とは?
為替トレード(FX取引)における「底割れ」とは、為替市場の参加者のコンセンサスとして「これ以上は下げないだろう」と思われていたレートを下抜けてしまうことです。
一般的には、下降トレンドが続いていた相場でついに底堅い状況があらわれ、ダブルボトムなどのパターンも形成された場面でさらに安値を割り込んでいくことを、「底割れした」「底が割れた」と表現します。
底割れすると、大抵はパニック売りが続いて、大きな下落につながっていきます。
こうした値動きは、市場心理から見れば当然の反応だといえ、底割れするまでの値動きの内容によって、パニック売りや投げ売りの程度は変わってきます。
下のユーロドル4時間足のチャートでは、下落してきた為替レートが一旦はサポートラインを形成する形で底堅い相場展開を見せました。
しかしそこから高値更新して上昇へ転じていく値動きには至らず、むしろ上昇の値動きの勢いが徐々に弱まっていき、ついにはサポートラインを下抜けてしまい、文字通りの底割れとなりました。
※チャートをクリックすると拡大します。
青い線で引いたサポートラインの上での売り買いの攻防を細かく追っていくと、徐々に買い勢力のムードが悪くなっていく様子が見て取れます。
底堅い状況の最初のあたりで、強い上昇を全戻しするように押し下げる値動きが、二度繰り返されています。
思ったよりも売り勢力が強いことを示唆していますが、ここではまだ先は分からない状況です。
しかしその後、その強い上昇の高値を目指して買い勢力は頑張りますが、小さなレンジを形成するばかりで、なかなか高値が切り上がっていきません。
この値動きは、買い勢力に嫌なムードを感じさせるのに十分だったでしょう。
買い勢力が強いなら、遠からず高値と安値は切り上がっていき、重要な高値を抜けていきます。
そのような値動きの実現が遅れれば遅れるほど、反対側の勢力を勢いづかせることになります。
特に今回のケースのように、勢いよく下落してきて出来た「底堅い値動き」は、結果的に「更なる下落トレンドの継続」までの調整期間だったというケースがよくあります。
今回のユーロドル4時間足チャートは、目の前のチャートよりも大きな時間軸のチャートを分析する大切さや、大きな流れを把握する大事さがよく分かるチャートだといえます。
「保ち合い放れ」とは?
保ち合い放れとは、狭い範囲の値幅で推移して「保ち合い」となっていた値動きが、上下どちらかへと再び動き出すことです。
相場の格言に「保ち合い放れにつけ」という言葉があるように、この保ち合い放れの値動きを捉えてトレードすることは重要な手法の一つといえます。
レンジやフラッグ、三角保ち合いが、それまでのトレンドの継続方向へとブレイクアウトしていく動きは、典型的な保ち合い放れです。
また、ダブルボトムやトリプルトップ、ヘッドアンドショルダーといった反転パターンが成立して新たなトレンドへ移行していくことも、これら反転パターンを大きなレンジと見ることで「保ち合い放れ」と捉えることが出来るでしょう。
「乱高下」とは?
FXトレード(為替取引)における「乱高下」とは、短時間で為替レートが激しく上下することです。
その通貨ペアの値動きの方向性が定まらない不安定な状況を示しており、大抵はボラティリティも大きくなる傾向があります。
為替相場で乱高下が起きる要因は様々で確かなことは分かりませんが、機関投資家や大口トレーダーといった投機筋(短期筋)による仕掛けとその決済によって起きるものが多いと見られています。
例えば、米雇用統計や政策金利発表などの重要な経済指標の発表によって大きく為替レートが動いた後、その利益確定の注文(反対売買)によって一気にレートが反転し始め、それを見た他のトレーダーたちもパニック的に追随していきます。
そこから再び、出遅れたトレーダーたちによる新規エントリーが始まり、為替相場は錯綜していき、乱高下の値動きが形成されていくものと考えられます。
乱高下の影響は時間を追って波及していく
また、乱高下は最初は小さな時間軸から始まり、それが徐々に大きな時間軸へと波及していく傾向があります。
例えば重要経済指標の発表を契機とした乱高下の初動の値動きは、1分足や5分足での長大線や長いヒゲといったローソク足の形(プライスアクション)で現れます。
その後、1分足や5分足チャートでは乱高下から極短期のトレンド状態やレンジを形成し、その頃には15分足や1時間足といった上位のチャートでも大きなローソク足(長大線)や長いヒゲを示し始めます。
上位時間軸のチャートでも突発的で大きな値動きとして観察されるようになると、そこから遅れて乱高下に参入してくるトレーダーや、乱高下に影響を受けてやむを得ず決済を強いられるトレーダーなどの売買注文が加わります。
こうした市場参加者の行動の結果、乱高下は幅広い時間軸に影響を及ぼしていきます。
関連用語 行って来い
「暴騰・暴落」とは?
暴騰とは、為替相場のレート(価格)が急激に上昇することで、暴落とは、同じく急激に下降・下落することです。
「暴」という漢字からも伺えるように、暴騰・暴落は尋常ではない値動きを指しています。
為替相場(FX)においては、以下のような要因で暴騰・暴落が生じる傾向があります。
- 米雇用統計を始めとした重要な経済指標の発表時における、ポジティブサプライズやネガティブサプライズの結果として。
- 為替介入による市場コンセンサス(売買の動意)の激しい偏り。
- 大きな時間足(週足や月足)レベルのサポートラインやレジスタンスラインを抜けて、損切り注文が大量に執行された。
- etc…
いずれの要因にせよ、暴騰・暴落が起きている相場状況というのは、パニックや混乱の渦になっているということですから、無闇にポジションを持とうとはしないことです。
そもそも、FX会社のリスクヘッジの結果、顧客の注文は入り難くなったりスプレッドが大きく拡大しますから、まともなエントリーや決済を行うことは困難になります。
なお、暴騰よりも暴落の方が頻度は多く見られ、暴落の値動きは速くなる傾向があります。
参考記事 『ロング・ショート』とは?その意味と由来が表すFXの値動きの特徴
関連用語 リーマンショック、スイスフランショック、バイイング・クライマックス、セリング・クライマックス、ブラック・スワン
「ガラる」とは?
ガラるとは、FX相場で大暴落が起きたことを指す、ネットスラング(俗語)です。語源は「ナイアガラの滝」で、水が激しく落下する様子が、大暴落に例えられています。
下のチャートは、典型的なガラの様子をあらわした、ドル円の4時間足チャートです。
まるで怒涛のように流れ落ちる濁流のごとく、放物線を描いて一気に為替レートが下落していく様子が見て取れます。
※クリックすると拡大します。
レートが大きく下落することを「暴落」といいますが、ガラは、それよりも更に激しい下落を表現したものです。
相場参加者たちが恐慌に陥っている様子を示しており、まさに「売りが売りを呼ぶ阿鼻叫喚の状況」になっているのが分かります。
こうした大暴落の状況に巻き込まれて想定外の損失に陥らないためにも、万が一のための損切りの逆指値注文は、必ず入れておきたいものです。
「バイーン」とは?
バイーンとは、為替相場(FX取引)における、突発的かつ短時間での急激なレートの変動を表した、ネットスラング(俗語)のことです。
一般的には暴騰(急上昇)を指しますが、暴落(急下落)でも用いられます。
バネが勢いよくはじけた様な、短時間での急激な為替レートの動きを表す擬音語が「バイーン」の語源といわれています。
実際の値動きよりも、バイーンを目の当たりにした相場参加者たちの心理状態が反映されて「バイーン」が用いられる傾向があります。
以上、ブレイクアウトや急騰急落の値動きの意味と解説まとめ──についてお伝えしました。