為替相場(FX)の値動きの8割以上を占めると言われている「レンジ相場」。
そのレンジ相場をどう攻略して稼いでいくかは、あなたのFXの利益に直結する問題です。
今回は、レンジ相場の見極めとレンジのトレード方法について、レンジ相場の基礎から実戦的な応用トレード方法まで、詳しく解説していきます。
この記事は、FX初心者がレンジ相場について基礎から学べるのはもちろん、「レンジ相場のことは、もう分かっているよ」と思っているあなたにこそ読んでもらいたい内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
レンジ相場とはどういう状態か?
レンジとは、直訳すると「範囲」という意味になり、レンジ相場とは「ある値幅の範囲でレートが上下に動いている状態」のことを指します。
図のように、値動きが「特定の高値と安値」の間を行ったり来たりするのがレンジ相場の特徴で、為替相場の値動きの8割以上はこうしたレンジ状態になっているといえます。
このような形のレンジ相場のことを、その見た目から「平行レンジ」「ボックス相場」とも呼ばれ、矩形(長方形)を意味する「レクタングル」という呼び名もあります。
80%もの期間がレンジ相場になっているということは、レンジでのトレーディングの良し悪しによって「FXで稼ぐこと」が出来るかどうかが決まってくるともいえます。
積極的な売買で利益を出すことだけではなく、明確な基準をもって相場の様子見をするということも含めて、レンジ相場のトレード方法を身につけて実践していくことが大切です。
FXでレンジ相場が現れる基本的なプロセス
FXでレンジ相場が現れるプロセス(値動きの過程)は、基本的には次のようなものです。
レンジ相場が現れるプロセス
- まず高値か安値が形成され、為替市場の参加者たちに注目される。
- その高値や安値でレートが反発・反転することによって、レジスタンス・サポートラインが形成される。
- さらに反対側でも高値・安値が現れて、同様にラインが形成されレンジ相場が成立する。
一旦できた高値と安値に対してその後レートが反応(反発)するかどうかが、最初の見極めポイントになります。
トレンド状態のような、高値と安値の切り上がり(切り下がり)が続いて、売り勢力と買い勢力のどちらかが強いと分かる状況とは異なり、レンジ相場では両方の力が拮抗している(押し合う力がほぼ等しくなっている)のが特徴です。
FXのレンジ相場の基本的なトレード方法
一般的にFXのレンジ相場では、レンジ上限から売りトレード、レンジ下限から買いトレードをするのが売買のセオリーとされています。
レンジの端では、買い勢力と売り勢力それぞれの行動パターンが明確になってくるため、その行動パターンを前提にしたトレードに優位性があるということです。
例えばテクニカル分析において、レンジの「上限(上の端)」のレジスタンスラインは、それより高いレートで買おうとするトレーダーがいないことを示しています。
ですからレートがレンジ上限に近づくと、次のようなトレーダーの行動が起きます。
- 買いポジションを持ったトレーダーは、「これ以上は上がり難いのだから、ホールドしていても仕方がない」と考えて、レンジ上限で決済(売り)をします。
- 新規で売りたいトレーダーは、「これ以上は上がり難いのだから、ここから売るのが安全だ」と考えて、レンジ上限から売りエントリーを仕掛けてきます。
こうした売買行動になる結果、レンジ上限では全体的に「売り」が優勢になる(売り圧力が強くなる)ため、再びレートが下降していく傾向が強まるわけです(下限ではこの逆)。
このようにレンジ相場の上下限では、「こうなったらこうする」というトレーダーの行動が確率的に絞られるため、レンジの上下限付近でトレードするのがレンジ相場の攻略のセオリーとされているのです。
ですからテクニカル分析によって、レンジの上下限を明確化することが大切になってきます。
レンジ上下限の明確化には、ローソク足パターン(酒田五法やプライスアクション)やオシレーター系のテクニカル指標を用いて反転を捉えるのがスタンダードな方法です。
逆にいえば、レンジ相場の中央にレートが位置している状態が最もトレード判断が難しく、そこはトレードに不向きな場所だといえます。
もう一つの「優位性のあるレンジでのトレード方法」は、レンジになるまでの値動きの流れの方向に合わせることです。
例えば、それまで上昇トレンドの流れがあって、押し安値を下抜けずにレンジが形成された場合は、そのレンジの下限を背にして買いエントリーをすることに優位性があります(下図参照)。
もちろんその後、レンジが何らかの反転パターンへと変化して下落していく可能性はありますので、あくまでも確率的な傾向を示したものである点に注意して下さい。
FXでのレンジ相場の実戦的なトレード方法
さて、あなたは「FXではトレンドとレンジが繰り返されている」という内容を覚えていますか?
これはテクニカル分析の「初歩の初歩」ですが、「あれ?」という場合は下の記事を読み返してみて下さい。
解説記事 FX相場の状況をトレンドとレンジの2つに分類する方法とは?
FXの値動きが「トレンドとレンジの繰り返し」であるなら、シンプルにいえば、レンジとは「トレンドではない状態」もしくは「トレンドが不明瞭な状態」という風に表現することが出来ます。
この視点を持つことで、チャート上でトレンドが出ている状況に対しても「もしかしたらレンジ相場になるかもしれない」と早い段階から気づけるようになるため、事前に相場状況を見極め、売買シナリオを立ててトレードしていくことが可能になります。
こうしたことが出来ないと、気づかない内に次のようなトラブルを招いてしまい、うまく稼ぐことが出来なくなります。
- トレンドが続くと思い込んでしまい、無理なトレンドフォローのエントリーを繰り返して、損切りを重ねてしまう。
- (1)とは逆に、トレンドが反転することにビビッてしまい、全然トレンドに乗れなくなってしまう。
ですので、高値と安値の推移をしっかりと見極めながら、その値動きが意味するものを把握するようにしていって下さい。
まず、下の図を見て下さい。
レートは、図の左側から「トレンド状態」で上昇して来ました。
それまで順調に高値と安値を切り上げてきたレートは、「A.」で高値更新に失敗しました。
もしトレンドが継続するなら、高値と安値は切り上がり続けなければなりませんから、トレンドが続くと思っていた多くの市場参加者たちは、この高値更新の失敗を見て「あれ?」と疑問に思い、不安を感じ始めます。
※「高値と安値の切り上げ」といったトレンドの定義については、下の記事で復習しておいて下さい。
解説記事 『ダウ理論』とは?トレンドを定義して目線の切り替えをする方法
さて、最も早くレンジ相場を想定し始めるのは、この高値「A.」が現れた時点です。
依然として上昇トレンドは継続しているものの、「トレンドが不明瞭になってきた(弱くなってきた)」という見立てが出来る状況になりつつあります。
その後「B.」で、前回安値で支えられる動きを見せたなら、そこが支持線(サポートライン)として注目されるようになるわけですが、トレンドの定義から見れば、この安値「B.」も本来であれば「切り上げていくべきもの」のはずです。
ですから、このように前回安値までレートが下落してしまうのは、トレンド継続への不安要素になります。
こうなってくると、ある程度多くの市場参加者は「もしかするとトレンドは弱くて、もう終わりなのかも?」と感じ始めるため、ここからは、レンジ相場のシナリオを立てて売買することが選択肢の一つになってきます。
例えば、具体的には次のようなシナリオが立てられます。
- 安値「B.」付近にレートが到達したら買いエントリー(低リスクで無難)。
- 高値「A.」付近にレートが到達したら売りエントリー。
- レンジ内で「下げ止まる動き」が現れたら、それを背景にして買いエントリー。
(3)は、例えば次の図のようなレンジ相場でエントリーすることを想定したシナリオです。
ちなみに今回のケースのように、明確な上昇トレンドからレンジ相場へ移行する(した)と思われる場合は、(1)と(3)のエントリーが低リスクで無難です(下降トレンドからの場合はその逆)。
ここまでをまとめると、「トレンドが不明瞭になってきた(弱くなってきた)」と思われる状況では、トレンドフォローのシナリオだけではなく、レンジ相場としてトレードするシナリオを立てておくことによって、優位性のあるトレード判断をしやすくなる──ということが言えます。
このように、レンジ相場を「トレンド状態から見た視点」で理解しておくことで、トレード中に「トレンドやレンジの厳密な定義」に縛られて身動きが取れなくなることを防ぎつつ、自分なりの規律をもって柔軟にトレードしながら、レンジ相場で利益を出すことが出来るようになるでしょう。
レンジ相場のバリエーションとそのトレード方法
レンジの安値が切り上がっていく(高値が切り下がっていく)パターン
レンジ相場とは、基本的に「売り勢力と買い勢力とが拮抗している状態」なわけですが、そうしたパワーバランスの中にあっても、ある程度どちらかが優勢な状況が生まれることがあります。
そうした状況がチャートパターンになって現れたものが、「アセンディング・トライアングル」と「ディセンディング・トライアングル」です。
それぞれ「上昇三角保ち合い(もちあい)」「下降三角保ち合い」とも呼ばれます。
ここからは、アセンディング・トライアングルを例にトレード方法を解説していきますが、ディセンディング・トライアングルの場合も「売り」と「買い」を逆にすれば同様になります。
さて、アセンディング・トライアングル(上昇三角保ち合い)は、買い勢力の圧力が強いことを表していて、売り勢力は防戦一方となっている様子が伺えます。
売り勢力が押し返しても前回安値まで到達できず、安値の切り上げを許してしまっている状況です。
このようなチャート状況を様子見をしているFXトレーダーたちは、どう感じるかを想像してみましょう。
単純に「このままだと、いずれ押し上げられて上昇していきそう。時間の問題ではないか?」と思うのが自然ではないでしょうか。
実際、確率的な傾向としてアセンディング・トライアングルが形成されると、その後に上昇していく傾向があるのは事実です。
ですから基本的には「安値切り上げライン(緑のライン)」付近から買いエントリーをしていくのがセオリーです。
しかしFXの相場状況というものは、常に流動的です。
上の図のように、切り上げラインを下抜けて、局所的に高値を切り下げてくると、今度はFXトレーダーたちのムード(雰囲気)が「上げていくべき場面で上げられなかったということは、買い勢力は弱まってきているのでは?」という風に変化し始め、売り勢力が勢いづいてくる可能性が出てきます。
一見すると、現在の安値はまだレンジの始まりの安値「A.」よりも高い位置にありますから(大きな目線では、安値はまだ切り上がる可能性を残しているため)、まだ買いが優勢と見ることも可能な場面です。
しかし、人々の気分はちょっとした値動きで変化してしまうものであり、こうした「局所的に目立った下落の動き」によって心理的に容易に揺さぶられます。
その結果、安値「A.」までレートが下がって来て、シンプルな「平行レンジ(ボックス相場)」に移行したり、場合によっては安値「A.」を下抜けてしまう可能性があります。
もし安値「A.」を下抜けてしまうと、「変形ダブルトップのネックライン抜け」という天井型の反転パターンが出来上がってしまうことになります。
つまり、先程までは安値が切り上がっていて「買いが優勢」だったチャートが、次の状況では全く立場が入れ替わってしまうというわけです。
ですからFXでは、売りと買いのどちらが優勢なのか、常にチャートを中立な目線で確認しながら見極め続けていくことが大切です。
「アセンディング・トライアングルだ」という当初の判断にこだわり過ぎて、買いポジションを不必要にホールドし続けたりしないよう、注意する必要があります。
レンジの上下限が徐々に狭くなっていくパターン(三角保ち合い)
三角保ち合い(トライアングル)では、買い勢力と売り勢力、双方の圧力が強くなっています。
「相手が押してきた分だけこちらも押し返す」ということを繰り返す結果、徐々にレンジの値幅が狭くなっていくのが特徴です。
基本的に三角保ち合いのパターンでは、レンジの中で無理にトレードするよりも、切り上げ・切り下げラインを上下どちらかへブレイクするのを待つのが望ましいトレード法です。
しかし、レンジ幅の大きな三角保ち合いであれば、その中で短期的なトレードをしていくことが可能ですので、そうしたケースを詳しく見ていきましょう。
“レンジ幅が大きい”三角保ち合いパターンのトレード方法
まず前提として知っておいてもらいたいのは、FXの大きな三角保ち合いは、レンジ相場の中に小さなレンジ相場が形成される「入れ子」の状態になっているということです。
大きなレンジ相場の中には小さなレンジ相場が入っていて、その小さなレンジ相場の中には更に小さなレンジ相場が入っていて──という具合になっており、結果的にトライアングル状の大きなレンジを形成しているわけです。
このことが理解できれば、自ずとトレード方法が見えてきます。
シンプルに、三角保ち合いの中での「現在のレンジ」の上限と下限を特定して、その中で「上限付近から売り」「下限付近から買い」を行うのが基本シナリオということになります。
その小さなレンジをブレイクしても、まだ「一つ外側のレンジの中」だということを踏まえて、その「一つ外側のレンジの上下限」を利用したトレードを検討するようにします。
大きな三角保ち合いでは、ブレイクで飛びつきエントリーしてはいけない
三角保ち合いのパターンでは、切り上げ・切り下げラインをブレイクすると、そのまま大きく動き出しそうな気がするものなので、どうしても抜けたところで焦ってトレードしてしまいがちです(飛びつきエントリー)。
しかし大きな三角保ち合いでは、売り買いどちらの勢力も拮抗している上に、入れ子状態の各レンジ相場の上下限に、さらなる売買圧力が存在しているため、なかなか大きく外側へ動いていきません。
出来上がったチャートだけを見れば、いかにもレンジのブレイクでエントリーするのが得策に思えるのですが、最終的なブレイクに至るまでには数々のダマシのブレイクがあるものなのです。
下のチャートはそうしたダマシのブレイクが続いた例です。
※クリックすると拡大します。
このチャートを見ると、切り上げ・切り下げサイン(青ライン)をブレイクしても、その先のいずれかのレンジの上下限(茶ライン)で反発を見せているのが分かります。
このパターンのときの相場参加者の顔ぶれは、三角保ち合いのブレイクを狙っているFXトレーダーばかりではありません。
「入れ子のレンジ上下限」から内側へトレードしようとするFXトレーダーも大勢いることを、決して忘れてはいけないということです。
単に値動きが少なくなっただけの場合がある
レンジの上限と下限が徐々に狭くなってくると、三角保ち合いの形成と「そこからの大きな値動き」を期待しがちになります。
そういう心理状態に陥ってしまうと、「いつブレイクするか?」という目線でしかチャートを見られなくなってしまうため、客観的なチャート分析が出来なくなってしまいます。
その結果、単に相場参加者が少なくて値動きが無くなっただけの状況のなかで、買っては負け、売っては負けを繰り返し、無用なひとり相撲を演じてしまう可能性があるのです。
下のチャートは、そんな「骨折り損のくたびれ儲け」のケースです。
※クリックすると拡大します。
FXでこうしたことを避けるためには、まず、値動きが少なくなって閑散相場になる時期や、その通貨ペアが動き難い時間帯を把握しておくことが必要です。
例えばドル円やユーロドルの過去チャートを観察してみると、値動きが減少し始める時間帯が見えてくるはずです。
また、重要な経済指標の発表が控えていないか、チェックしておくことも大切な攻略ポイントです(指標発表前は、多くの相場参加者が様子見をしてしまうため)。
レンジ相場もフラクタル構造になっている
レンジ相場は、チャートを見る範囲・視野の違いによって、その見え方が変化します。
下のチャートを見ると、大小のレンジ(レクタングル)が入れ子になっている様子が分かります(クリックすると拡大します)。
上のチャートの場合、大きめのスケール(視野の広さ)で捉えると、赤い枠で囲ったサイズのレンジ(レクタングル)が認識できますし、小さく捉えると水色の枠で囲ったレンジを認識することが出来ます。
大きなレンジを拡大して細部の値動きを見てみると、そこには複数の小さなレンジが入っているという、いわゆる「フラクタル構造」があるわけです。
もちろんこうしたことは、チャートの時間軸を変化させることでも同様に見ることが出来ます。例えば、日足のレンジの部分を1時間足にして見てみると、そこには大小のレンジが含まれているのが分かります。
フラクタル構造の詳しい解説は、下の記事をご覧ください。
解説記事 『フラクタル構造』とは?FXで複数時間足チャートを使いこなす方法
FXでレンジ相場ができる理由・背景
そもそもFXでは、なぜレンジ相場が出来るのでしょうか?
そして、いつ、どのような状況でレンジ相場になるのでしょうか?
このことが理解できれば、レンジ相場が形成されやすい場面を見極められるため、いくつものシナリオを立てて柔軟にトレードしたり、トレンドフォローのポジションを早めに決済したり、といったことが可能になってきます。
理由1.大きな時間足のチャートポイントに到達したから
大きな時間足チャートの何らかのチャートポイントにレートが近づくと、その下の時間足チャートでレンジ相場が形成されやすくなります。
チャートポイントとは、支持線や抵抗線、押し安値、戻り高値といった「注目されている高値と安値」を筆頭に、トレンドラインやネックライン、移動平均線などのポピュラーなテクニカル指標のラインなどを指します。
大きな時間足のチャートポイントでは、その時間足以上のチャートでトレードしている参加者たちによる激しい攻防が始まるため、その値動きが下の時間軸でレンジ相場となって表れるのです。
つまりFXでは、大きな時間足のチャートポイントをチェックしておくことで、事前にレンジ相場になる可能性をつかんでおくことが出来るということです。
レンジをどちらへブレイクしていくかは事前には予想できませんので、値動きをよく観察して「その後の動き」をトレードするのが基本になります(どちらかへレンジブレイクする確率が高まる“サイン”が表れる可能性はあります)。
5分足や15分足だけを見てトレンドフォローをしていると、大きな時間足のチャートポイントに気づかないまま、思わぬレートの乱高下や停滞に巻き込まれてしまいますので注意しましょう。
理由2.大きな時間足で新たな「押し安値・戻り高値」を探っているから
大きな時間足がトレンド状態になっていて、そこで一時的な調整の値動きになっているとき、その値動きがトレンド方向へと回帰していく場面で、下の時間足にレンジ相場が現れやすい傾向があります。
これは、大きな時間足で「次の押し安値・戻り高値」を探っている状況です。
このとき、下の時間足で形成されたレンジ相場は、大きな時間足のトレンド方向へブレイクしやすい傾向があります。
しかし、あくまでも傾向ですし、青の点線矢印のように、さらに深く調整が続いていくことも当然あり得ますから、決め打ちでトレードすることはおすすめ出来ません。
ちなみにこのケースでは、下の時間足チャートで目立ったレンジが出来ないまま、一気に反転~トレンド再開していく場合もあります。
これは、大きな時間足がトレンド状態だというコンセンサスがあるため、多くの相場参加者が「いつトレンドが再開するか?」と待ち構えていることが原因です。
そのため、何かきっかけがあれば、雪崩のようにトレンド方向へ動いていくわけです。
理由3.値動きが一服(一休み)しているから
これは、先程の「理由2」と似ているのですが、こちらは「レンジ相場ができる場所」についてではなく、「レンジ相場ができる時間」に関するものです。
トレンド中だった値動きが、いつの間にか静かになり、気が付けばレンジ相場になっている──FXではこうした場合、その多くは「時間的な要因」か「材料不足」によるものです。
「時間的な要因」とは、相場参加者が少なくなる時間帯や、重要指標の発表を控えてみんなが様子見をしている時間帯のことです。
こうした時間帯になると自然と値動きが少なくなり、結果的に上下どちらにも動き難いレンジ相場となります。
「材料不足」とは、指標発表などのニュースが乏しく、「上だ!」「下だ!」という明快なコンセンサス(共通した見解)が生まれ難い状況のことです。
また、トレンドが発生したものの、そこでポジションを持ちたいトレーダーがみんなエントリーしてしまい、逆張りをして含み損を抱えていたトレーダーが損切りし終えてしまうと、そこで値動きが止まってしまう傾向が見られます。
これも「材料不足」と呼ばれるものの一つで、これは値幅の狭いレンジ相場になりやすい傾向があります。
この状態になると、何らかのきっかけで新規の売買が呼び込まれないと、なかなか動いていかなくなってしまいます。
下のチャートは、そうした「値動きが一服しているレンジ相場」の例で、時間的要因と材料不足が重なった、FXでは典型的に見られる「狭いレンジ相場」になっています。
※クリックすると拡大します。
レンジ相場の意味とトレード方法~まとめ
レンジ相場とは、売りと買いそれぞれの勢力が拮抗して、一定の値幅で攻防が行われている状況のことです。
レンジ相場で稼ぐには、大きな時間足の流れ(トレンド)やチャートポイントを考慮して、複数のトレードのシナリオを立てて攻略していくことが大切です。
FXでレンジ相場のパターンが形成されていく理由・背景を理解することで、目先の動きに惑わされない、大きな視点をもった「レンジ内トレード」を実践することが可能になっていきます。
以上、『FXのレンジ相場』とは?その意味とパターンごとのトレード方法を解説──についてお伝えしました。
「レンジ相場」関連情報(外部リンク)
参考情報 レンジ: 定義、発生時期、使用方法および例(英語)
参考情報 レンジ内取引とは何ですか? 戦略の定義と仕組み(英語)