- 「FXでがっつり稼ぐぞ!」
- 「副業としてやってみよう」
あなたもそう思ってFXを始めたものの、なかなか上手くいかなくて、「ちゃんと勉強しないとダメだ……」と気づいた一人かもしれません。
勉強が必要だと気づいたこと自体は、損を出して負けていく多くの人たちとは違って望ましいことですが、気をつけないとその勉強が無意味になってしまうかもしれません。
今回は、FX初心者が勉強に取り組むときに気をつけて欲しいことや、大切な心構えのこと、聖杯探しの罠について解説していきます。
今後のトレード結果にもかかわる重要なポイントですので、もしあなたがFXを学び始めたばかりなら、特にしっかりと読んでください。
「FXの勉強をしよう」と思うのは良いことだけど……
多くのFX初心者は、FXという「お金を稼ぐチャンス」を手に入れると、いきなり資金を口座に入れてリアルトレードを始めてしまう傾向があります。
そしてビギナーズラックがあったり無かったりする中で、思わぬ損失を出して“痛い目”にあってしまい、「これはちゃんと勉強しないと駄目だ……」と気づくのが定番の流れです。
リアルトレードを始める前に「FXの勉強が必要だ」ということに気づく人もいますが、それは少数派です。
さて、そうやって「FXの勉強をしよう」と思ったら、恐らく多くの人はFXブログでトレード手法の解説を見て回ったり、FXのテクニカル分析書籍を読んだりして、様々な情報を集めようとするでしょう。
実は、そのとき《どういう姿勢でFX情報を集めるか》によって、あなたのFXの成功確率は大きく異なってきますし、思わぬ罠にハマってしまう可能性もあるのです。
「自分を勝たせてくれる人」を探そうとしていませんか?
FXの勉強のために情報収集をすること──これ自体は何の問題もありません。
しかしこのとき、「自分を勝たせてくれる人」を探すような気持ちで情報収集をしていないか、よく考えてみて欲しいのです。
表面的な気持ちとしては、「この情報は役立ちそうだ」とか「この本は分かりやすそうだ」と思いながら情報を集めていたとしても、その思いの“根っこ”の部分で、次のようなことを考えていないか注意してみて下さい。
- 「これをすれば絶対に大丈夫!という方法はないかな?」
- 「これを書いている人は、正しい勝ち方を教えてくれるかな?」
- 「どこかに、自分を勝たせてくれる人はいないかな?」
あなたもお気づきのように、これは「依存心」です。
言い換えるなら「自分の成功を誰かに保証してもらいたい気持ち」だといえます。
依存心が招いてしまう「望まない未来」
こうした依存心があると、残念ながらいくらFXを勉強しても勝てるようにならない可能性があります。
FXで結果を出すためには、《現状把握力》《観察力》《問題解決能力》《実践力》など、様々な能力が求められます。
これら能力は、いうなれば自分から対象に働きかける「能動的な力」です。
これらは必ずしも高度なレベルでなくても大丈夫ですが、依存心があるとそうした能力を著しくスポイル(台無し・無力化)してしまうのです。
そうなってしまうと、自分を高めるために勉強をするのではなく、「今のままの自分で勝てる方法」を探そうとし始める可能性が出てきます。
その先にあるのは《聖杯探し》という、FXで勝つことから最も遠い「望まない未来」であり、これはFX初心者に待ち受ける大きな罠です。
「聖杯探し」の底なし沼
FXの必勝法や秘術といった“情報”さえ知ることが出来れば、今の自分のままで勝つことが出来るはず──そう考えてしまう先にあるのが《聖杯探し》です。
これだとトレードの勉強をする努力は必要ありませんし、自分を変える苦労もいりませんから、とても魅力的に見えます。
西に「○○手法が良いらしい」と聞けば手に入れて試し、東に「△△システムが凄い」と聞けばまた手を出してみる。
しかし連敗したり数回負けたりしたら「これもダメだ」といって、また次の「□□技法」を試し始める……。
そして「世の中にあるトレード手法は偽物ばかりだ!」といって憤慨したり、勝っている人がトレード手法のアドバイスをしても「それはダメだった手法だ」といって聞く耳を持たなくなってしまいます。
そういう気持ちが余計に「本物のトレード手法」を求める欲望をかき立ててしまい、「どこかに本物の秘密の手法があるはずだ」と、さらに聖杯探しの底なし沼へと沈んでいってしまい、その罠から逃れられなくなるのです。
「ゼロか1か」「信じるか信じないか」も依存心の現れ
一見するとそれが聖杯探しだと気づき難いものとして、「オール・オア・ナッシング(ゼロか1か・全てか無か)の考え方」でFXの情報を集めたり勉強したりするというものがあります。
例えば、色々なテクニカル分析の情報を集めてはみるものの、そこに矛盾点があったり整合性が取れていない部分を少しでも見つけると、「これは間違っている、嘘のFX情報だ、役に立たない」といって捨て去ってしまうのです。
これは完璧主義の悪いパターンともいえ、「どこかに完璧な方法や理論があるはずだ」という聖杯探しの罠に他なりません。
結果として「信じるか信じないか」の二者択一になりがちですし、「信じるに値するもの」を探し求めているという点で、依存心の現れだともいえるでしょう。
依存心が高いと「コピートレード」の誘惑も
聖杯探しが上手くいかない場合や、そもそも最初から「人に何とかしてもらおう」という依存心が強い場合は、コピートレードの誘惑に負けてしまう傾向があります。
そしてこのコピートレードも、姿を変えた聖杯探しの罠だという点に注意が必要です。
さてコピートレードとは、Twitterや掲示板などのSNSに書かれた「エントリー情報」を、そのまま真似してトレードすることです。
例えばTwitterでは、実力のあるカリスマトレーダーが自分のトレードを実況するツイートをしていたりします。
そうしたFXトレーダーをフォローしておいて、「先程、○○の為替レートでエントリーしました」というツイートがあったら、すぐ同じようにポジションをもつわけです。
一見すると、何の努力もなく楽に凄いトレードが出来そうに見えますが、そこには落とし穴がたくさんあるのです。
ポジションのホールドに耐えられない
コピートレードだと、エントリー直後に大きな逆行があったり、含み益が出てもなかなか利食いしなかったりすると、メンタル的に耐えられなくなる傾向が強くなります。
コピー元のカリスマトレーダーはホールドし続けているのに、「利益だからいいか」といってチキン利食いをしたり、ちょっとした含み損に耐えられず損切りしてしまう結果、あとで悔しい思いをすることになります。
カリスマトレーダーのエントリーを信じてコピーしたはずなのに、いざトレードが始まると疑心暗鬼になってしまい、中途半端に自分の考えを持ち込んでしまうわけです。
損切りが受け入れられない
コピートレードをして頑張ってホールドしていたのに、最終的に「損切りしました」というツイートを目の当たりにしたとき、その時点の損失額が大きいと損失を受け入れられず、そのまま塩漬けにしてしまう(含み損のまま損切りせずホールドし続ける)可能性があります。
カリスマFXトレーダーが好成績を出せている要因のひとつは、的確な損切りにあります。
その肝心の損切りをしっかりコピーしなければ、プロスペクト理論によって自ずと損大利小になり、トータルの成績はかけ離れたものになってしまうため、コピートレードではなくなってしまいます。
そして、そもそもが依存心から始まったことなので、損失が増えていったり思ったような結果にならないと「ダマされた、裏切られた」という気持ちを持ってしまいがちで、最終的には苦しい思いをしてしまう可能性があります。
先ほど「コピートレードも聖杯探しである」とお伝えしたように、コピートレードが上手くいかないと、「他に本物のFXトレーダーがいるはずだ」といって別のカリスマトレーダーを探し、同じことを繰り返してしまう危険性があるので注意が必要です。
FX初心者が勉強をするときのポイント
このように「FXでは依存心は大敵だ」というならば、どんな気持ち(心の姿勢)で取り組んでいけばいいのでしょうか?
FX取引の世界に安楽・安易な方法はないと心得よう
まず最初に、大前提としてあなたに受け入れてもらいたいことは、次のことです。
- 「誰かが全部教えてくれて、それだけをやっていれば大丈夫」──なんてことは決してない。
FXに限らず、相場の世界では「これだけをやれば誰でも勝てるようになる」というものはありません。
よくネット上で「FXでこれだけをやればOKというものは何ですか?」という質問を目にしますが、そういったコストパフォーマンス感覚では成功するのは難しいと言わざるを得ませんし、どんな人でも簡単に勝てるようになる教材やカリキュラムといったものも存在しません。
幸いなことに、現在では相場の本質的な理解を助ける本やネット情報、教材といったものも少数ながらあります。
しかしそれらを活かして結果を出すには、少々の努力程度では不可能だということを理解しておいて下さい。
自転車や竹馬などに乗れるようになるのと同じ
こう聞くと、何だかFXはとんでもなく難しく厳しい世界のように感じるかもしれません。
しかし見方を変えると、結果につながる本質的な学びと実践を重ねていけば、FXで成功できる可能性が生まれるということでもあります。
そうした経験を積めば必ず成功できるわけではありませんが、そもそもそうしなければチャンスを得ること自体が叶わないので、ぜひしっかりと自分なりに努力をしていきましょう。
このときに思い出して欲しいのが、あなたも既に参考になる成功体験をしているはずだということです。
それは自転車や竹馬、一輪車、そして大人になって自動車の免許を取ったという経験です。
あなたは自転車に乗って近所に出かけるとき、次のようなことを考えたり感じたりしますか?
- 「突然コケたりしないだろうか」とドキドキする。
- 「ちゃんと家に帰ってこれるだろうか」と不安になる。
- 「誰かについて来てもらわないと怖くて走れない」と思う。
こんな風にならないのは、自転車に乗ることに自信をもっているからですし、しっかりした自信をもっているからこそ、もはやその自信を自覚する必要すらないわけです。
そこにあるのは、自転車に乗れる自分への確固とした《自己信頼》です。
FXで継続して勝ち続けているトレーダーも、同じような自己信頼をもっているものです。
あなたが淡々と自転車をこいで目的地へ向かうように、優れたFXトレーダーも淡々と自転車に乗るようにトータルプラスのトレードを重ねているのです。
たまにはトラブルにあったり、バランスを崩してコケそうになることもあるでしょうが、そうした問題にもその場で対応できる自信をもっています。
FXで勝てるようになることは、こうした経験と同様だといえるので、あなたの過去の成功体験を再現するつもりで行動することによって、FXで結果を出せる確率も高まるといえるわけです。
確かに最初はみんな初心者だけど……
さらにその上で覚えておいて欲しいことがあります。それは「自分が初心者だという意識を早く手放すこと」です。
何か新しいことを始めたときは、誰でも最初は初心者からスタートします。
「自分には出来るかな?」「難しいのかな?」と色々不安に感じるでしょうし、みんな初めは「何も出来ない・分からない」状態から始まるのは避けられない現実です。
どんな小さな行動でも、自分に出来るかどうかは文字通り「やってみないと分からない」わけです。ですから、まずは自分の足で小さな一歩を踏み出してみることが大切になります。
例えば目の前に階段が10段あったとしたら、スタートする前だと三段目はとても遠くて高く見えるものです。
しかし一段目に足を掛けて何とか上ってみると、そこから見た三段目は下から見たときとは違って見えるものです。
「もっと高いと思っていたけど、何とか上れそうじゃないか?」とか「下からでは気づかなかったけど、楽に登れる方法があるじゃないか」と気づいたりするわけです。
だから、スタート地点であれこれ悩むのではなく、少しでも「今より高いところ」へと歩みを進めていきましょう。
FXの世界では初心者だからといってハンデはもらえない
スポーツやゲームの世界だと初心者にはハンデが与えられるのが普通です。しかしFXではそんなハンデはありません。参加者全員が同じ舞台で戦っています。
それはつまり、ボクシングのヘビー級チャンピオンと初心者が同じリングに立ったり、羽生名人と将棋を指したりするようなものです。
FXの世界では「私は初心者なので手加減して下さい」という話は通用しないですし、そんな甘えた考えを持ち込むとボコボコにされて終わりです。
いい初心者ほど早く「初心者」から「未熟なプロ」へと脱皮していく
この事実に気付くと、主体性や自主性のあるFX初心者は「早く初心者から脱しよう!」と考えるようになります。
そして自分がどれだけ実力不足なのだとしても、このFXの世界では対等なプロとして扱われるのだ──そう考え、自分のことを「未熟だが一人のプロフェッショナルなのだ」と自覚するようになるのです。
この意識変革・マインドの変化は、トレードの学習や質を大きく左右するものであり、FXで生き残って利益を手にするための重要なポイントになってきます。
あなたも少しでも行動を起こして、初心者としての甘えを手放し、「未熟なプロFXトレーダー」として真剣に学習とスキルアップに取り組むようにして下さい。
答えはチャートにある。たくさんのチャートを見て検証しよう
最後に、FX初心者のあなたにお伝えしたい大切な言葉のひとつは、『答えはチャートにある』というものです。
トレードで疑問をもったとき、どうすればいいか分からなくなったとき、その答えはすべてチャートの中にあります。
これらの答えはチャートの中にあります。
「こういう場合は、こうしておくと利益が残りやすい」というあなたなりの答えを、自分の手で過去チャートから見つけ出していくことが大切であり、これが《検証》と呼ばれるものです。
検証によって見つけ出す答えというものは、必ずしも「誰も知らないこと」でもなければ「複雑で難解なこと」でもありません。
往々にしてその答えはシンプルなものですし、チャートを見れば誰もが気づくようなことだったりします。
大切なのは、検証によって自分なりの答えというもの見つけ出し、それを心の底から納得して受け入れるプロセスを経ることです。
多くのトレーダーは、そうした《答えへの信頼》が足りない結果、トレードが曖昧であやふやになってしまい、感情に揺さぶられ、プロスペクト理論の通りに損失を重ねていってしまいます。
具体的な検証方法とその注意点については、下の記事で詳しく解説していますので参考にして下さい。
初心者がFXを勉強する時の心構え~まとめ
FXの勉強を始めるときは、「勝たせてくれる人」ではなく「進む道を示してくれる人」を選ぶ気持ちで、本やブログ、教材などを見るようにしましょう。
そして、その道を歩くのは他でもない《あなた自身》であることを、最初にしっかりと肝に銘じておくことが大切です。
FXで勝ち続けるためには、高いレベルの自己信頼と自己規律が必要になります。これらを磨いていくとき、そこに依存心があると上手くいきません。
「誰かが勝ち方を教えてくれるはずだ」「どこかに勝つ方法があって、それを見つければ何とかなる」という気持ちは、あなたに強い依存心があることを示しています。
そうした依存心があると、トレード技術を身につけたり経験を積んでいくことが出来ず、延々と聖杯探しを続けてしまうことにもなりかねません。
あなたを勝たせることが出来るのは、あなたしかいません。FXで自己信頼を築いていくには、数多くの過去チャートを観察し検証していくことが王道です。
相場の世界には必勝法はありませんし、チート(いんちき)も通用しません。ぜひ正しい道を歩んでいって下さい。
以上、聖杯探しの罠を避ける方法とは?初心者がFXを勉強する時の心構え──についてお伝えしました。
関連記事 FXのメンタル関連用語の意味と解説まとめ