あなたはFXで負けトレードになったら、「ムッ!」とイヤな気もちになりますか?
もしそうなら、安定して勝てているFXトレーダーの「心の中」を知ることで、そのイヤな気もちが減るかもしれません。
今回は、安定して勝っているFXトレーダーが大切にしている、稼ぐことより大事な「ある考え方」について解説していきます。
あなたのトレードの「目的」は?
あなたのトレードの目的は、なんですか?
「もちろん、FXで儲けること、FXで稼ぐことです!」という答えが返ってきそうですが、それが間違いのもとだと聞いたら、どう思いますか?
とはいえ、「FXで稼ぐ!」という気もち自体は、成功へ向けたモチベーションとしてとても大切なものですから、この気もちを無視したり、「ダメな考えだ」といって排除する必要はありません。
ただ、「FXで稼ぐ!」という気もちは、長期的な目標・ビジョンを設定するときに意識するもので、決して目の前のトレードをしているときに意識するものではないのです。
「今、お金が欲しい!」という短期的欲求にとらわれてはダメ
今チャートに向き合ってトレードをしているときに、「稼ぎたい!」と思っているということは、「今すぐお金が欲しい!」という短期的欲求にとらわれているということです。
短期的欲求にとらわれた状態だと、人は理性的な判断ができなくなり、感情的な行動をしがちになります。
これは脳科学的にも証明されていて、人間が生き延びるための基本的な仕組みのひとつなのです。
そしてプロスペクト理論が証明しているように、こうした感情的な行動をすると、FXでは痛い目にあうようになっています。
その結果「稼ぎたい!」という気もちは満たされず、不満とストレスを抱えることになるのです。
簡単にいうと「人は得をするよりも、損をしたくない思いの方が強い」ということ。
これにより、利食いは早く、損切りは遅くなり、利益を逃して大きな損失をこうむるケースが自然なものとなってしまい、相場参加者の多くが負ける原因になっている。用語解説 行動ファイナンス理論
「正しい行動をとること」を目的にする
FXでは「稼ぎたい!」と思いながらトレードしてはダメだというなら、どうすればいいのでしょうか?
それは、目の前のトレードの目的を「稼ぐこと」から「正しい行動をとること」に変えることです。
つまり、そのトレード結果の勝ち負けにかかわらず、自分がとるべき行動をしっかり行えたかどうかに注目するわけです。
目の前のトレードで勝てたとしても、自分がとるべき「正しい行動」の結果によるものでなければ、それは「ダメなトレード」です。
反対に負けトレードに終わったとしても、「正しい行動」をした上で負けトレードになったなら、それは「良いトレード」なのです。
「正しい行動」とはなにか?
では、その「正しい行動」とは何でしょうか?
それは、「自分のトレードルールに則った行動」のことです。
チャートのどういう場面で、どういうテクニカル分析をして、どういうタイミングでエントリーをして、どういう状況になったら利益確定や損切りをするのか、それを決めたルールに従うこと──それが「正しい行動」です。
ドライブ旅行に例えてみると
FX取引を「ドライブで旅行に行くこと」に例えてみましょう。
ドライブの目的は、目的地の観光地へ行って現地で存分に楽しむことです。
しかしあなたの心は「早く目的地へ行って遊びたい!」という気もちでイッパイで、自動車の運転中もソワソワしています。
「とにかく速く走れば、それだけ早く目的地に着ける!」と思っているので、車のスピードを可能な限り速くしようと、アクセルをガンガン踏み込みます。
すると、どうなるでしょう?
いずれ他の車や歩行者とぶつかって事故を起こして、大変な事態になってしまいます。
他にも、ガソリンが少なくなっていたことに気づかず、エンストして立ち往生してしまうかもしれませんし、タイヤの空気圧が低くなってパンクしてしまうかもしれません。
もちろんスピード違反で警察に捕まってしまう可能性も十分にあります。
「とにかく早く目的地へ!」と感情的になっていると、普段なら気づけることにも気づけなくなってしまい、自らトラブルを引き寄せてしまいます。
「正しい行動」でドライブ旅行をすると?
では「正しい行動」でドライブ旅行をすると、どういう風になるでしょうか?
あなたの大きな目的は「目的地へ着いて観光を楽しむこと」です。
しかし運転中はそのことを忘れて、とにかく「交通ルールに従って運転すること」に集中します。
それが車を運転する「正しい行動」だからです。
交通ルールには「運転前点検」の義務がありますから、出発前にはボンネットを開けてオイルやブレーキ液のチェックをしたり、タイヤの空気圧などを確認します。
もちろんヘッドライトやブレーキランプが、ちゃんと光るかも確かめないといけませんね?
ハンドルを握ったら、信号や標識に従ってひたすら安全運転に努めます。
途中、運悪く何度も赤信号に引っかかりますが、「こんな運転では目的地に着けない!」とイライラすることなく、「ちゃんと赤信号に従ったからOK」と考えて運転に集中します。
確かに「早く目的地に着きたい」という思いはありますが、大事なのは「正しい行動をしているか?」ですので、今はそれだけに集中します。
そして無事に目的地に着くことができ、観光地を満喫することができたのでした。
優れたトレーダーは「交通ルールに従って安全運転すること」を目的に行動している
ドライブ旅行のお話でお分かりのように、安定して勝てているFXトレーダーは、目の前のトレードの勝ち負けではなく、自分のトレードルールに従うことを重要視しています。
その結果、気がつけば利益が積み重なり、「稼ぐ」という大きな目的が達成されるのです。
つまり「交通ルールに従って安全運転を続けることで、結果として目的地に無事に着くことができる」ということを、FX取引のなかでも実践しているのです。
「ポジションの損益の数字が気になりだしたらマズイ」──こう語るFXトレーダーは多いですし、私も同感です。
損益の数字が気になりだした時点で、行動の正しさではなく、目の前の利益と損失にフォーカスしてしまっていますから、それは「長期的には勝てない思考パターン」です。
気にすべきことは、「自分の思考や行動がルールから外れていないか?」であり、そのことに気づくスキルを磨くことです。
この「自分の思考や行動に気づくスキル」は、FXで長期的に勝ち続けるためにはとても大切なスキルです。
詳しくは、以下の記事で解説していますので、参考にして下さい。
プロのFXトレーダーが大切にしている考え方~まとめ
安定して勝ち続けている優れたFXトレーダーは、目の前の1回のトレード結果を気にしていません。
「正しくトレードルール通りの行動を取れたかどうか」だけが重要であり、負けたとしても、正しい行動をとった結果なのであれば「ナイストレード!」なのです。
なぜなら、そういう「ナイストレード!」を繰り返してさえいれば、利益が積み上がっていくことを、心の底から理解しているからです。
このことを別の角度から解説した記事がありますので、ぜひ参考にして下さい。
もし「そもそも『正しい行動』となるトレードルールがない……」という場合は、基礎から体系的に学ぶことから始めることをおすすめします。
こういうときこそ「急がば回れ」です。
ムダにトレードを繰り返して心もお金も消耗するのではなく、じっくり腰をすえて学びの時期を過ごすことが必要なのではないでしょうか?
未来から振り返れば、きっと「あのとき勉強に集中しておいて良かった」と思うはずですし、私自身も、そういう学びの時期を長く過ごした経験があります。
以上、プロのFXトレーダーが大切にしている考え方とは?稼ぐことより大事なことについて、お伝えしました。
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