FXの「トレードスタイル」とは?
トレードスタイルとは、トレードする時間帯や通貨ペアの種類、損失と利益のバランスの取り方、リスクへの対応方針といったもののことです。
具体的にはトレードする期間の違いによって、以下のようなスタイルの分類が可能です。
また、オセアニアタイムから東京タイムでトレードするスタイルや、ニューヨークタイム以降の深夜時間帯にトレードするスタイルなど、時間帯でも分類できます。
さらには、損失と利益のバランスによって、以下のような分類がなされます。
- 小さな損失を重ねながら大きな利益を狙う、損小利大トレード。
- 大きな損失を許容しつつ小さな利益を積み重ねていく、損大利小トレード。
- 利益と損失を同程度にして利益を重ねる、損小利小(損大利大)トレード。
他にも、資金管理の方法によって、以下のような分類が可能になります。
- 破産確率を徹底的に下げてトレードの維持継続を最重要とする、低リスクなトレードスタイル。
- 常に一定のリスク%を維持して、複利で利益を増大させていくトレードスタイル。
- 口座の破綻を前提に、少額の資金を短期的に複利で増大させていく、超積極的なトレードスタイル。
これらのトレードスタイルには、絶対的な良し悪しというものはありません。あくまでも、それを用いるトレーダーごとの目的や、向き不向きといったものが重要になってきます。
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関連用語 トレード手法
「裁量トレード」とは?
裁量トレードとは、トレーダーが自らチャート分析(テクニカル分析)をおこない、エントリーや決済の判断と注文執行をしていくトレードスタイルのことです。
これは、トレード判断のすべてを自動でおこなう自動売買(システムトレード)とは、正反対のトレードスタイルになります。
裁量トレードの結果には、トレード手法の優位性だけではなく、トレーダーごとの判断力や経験の違いも反映されるので、初心者FXトレーダーと熟練FXトレーダーとでは獲得利益やドローダウンに大きな差が生じます。
つまり、裁量トレードに熟練すればするほど、結果は向上していく可能性があるということです。
これは、スポーツや職人の世界に通じるものがあり、然るべき練習を重ねていくことで上達していけるということですし、トレード練習・トレード訓練によって身につけたトレードスキルは、一生ものの財産だといえるでしょう。
とはいえ誰でも簡単に裁量トレードのスキルが身につく訳ではありませんし、向き不向きもあります。
ですが他のプロフェッショナルな職業と同様の熟達プロセスを経ることで、FXという為替相場の世界で、裁量トレーダーとして独り立ちしていける可能性があります。
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FXの「デイトレード」とは?
FXのデイトレードとは、エントリーしたポジションの決済をその日の内におこなうトレードスタイルのことです(イントラデイ・トレードとも呼ばれます)。
為替レートの値動きを監視して、チャンスがあれば適宜エントリー&決済をすることで、一日の間に利益を何度も繰り返し重ねていくことを目指します。
昔の個人の売買取引の手数料が高く、取引回数が多くなるデイトレードだと利益よりも手数料が上回ってしまい、余程の優位性をもった相場取引でなければ利益が出せませんでした。
これは特に株式相場で顕著に見られたもので、FXも初期の頃は今ほどの低スプレッドではありませんでした。
当時はコンマ数Pipsの単位は無く、ドル円でも2pips以上は当たり前の状況でした。
しかし現在では手数料は低価格に抑えられており、FXではわずかなスプレッドを支払うだけで済むため、実質的に無料で為替取引が行える環境が整えられています。
もともとは株式相場において、一日の取引時間の終わりである「大引け」までに手持ちのポジションを決済するという意味で「日計り商い」と呼ばれていたものがデイトレードでした。
この呼び方がFXでも用いられるようになったのです。
FXの場合は世界中で24時間為替取引が行われていますので、FXでデイトレードという場合は、そのトレーダーの一日が終わるまでにポジションが決済されるトレードを指す場合が多いです。
夜間(睡眠中)もポジションを持ち続けるトレードは、「オーバーナイト」と呼ぶことがあります。
決済タイミングを選択する必要があるケース
デイトレードでは、相場状況によっては決済が出来ないまま夜を迎えるケースがあります。
この場合、時間によって強制的に決済してしまうか、オーバーナイトしてホールドし続ける(ポジションを持ち続ける)かの選択を迫られることになります。
夜中のニューヨーク市場やオセアニア市場でレートが急変するリスクを避けて、あらかじめ決済しておくのも妥当な選択です。
他にも、損切りと利益確定のOCO注文を出してホールドしておくのもまた一つの選択です。
大切なのは事前に統計に基づいた検証とリスク管理を行い、確率思考に則って、定めたトレードルール通りに同じエントリーと決済の判断を繰り返すことです。
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FXの「スキャルピング」とは?
スキャルピングとは、わずかな利幅を狙って、短時間のあいだにエントリーと決済をくり返す、超短期売買のトレードスタイルのことです。
スキャルピングとは「皮を剥ぐ」という意味で、文字通り、相場の薄皮をはぐように、わずかな利幅を短時間で狙っていきます。
狙う値幅が小さいため、一般的にはレバレッジの高い状態で利益を積み重ねていこうとするものです。そうなると、当然リスクが高まるため、初心者にはおすすめできないトレードスタイルです。
短時間で何度もエントリーと決済をくり返すため、エキサイティングなゲーム感覚で夢中になるトレーダーも多いです。しかし、レバレッジの高い状態でトレード頻度を増やすと、それだけ損失が増えていくのも早くなるため、リスク管理を徹底させることが必須です。
その語源は、昔インディアンが戦果として頭(スカル)の皮を剥いでいたことと言われています。しかし、実際にはインディアン固有の習慣というわけではなく、古代ヨーロッパにも存在していました。
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FXの「スイングトレード」とは?
スイングトレードとは、エントリーしてから数日~1週間以内に決済するトレードスタイルのことで、一般的には短期売買の一種とされています。
スイングトレードでは、デイトレードと同じようにテクニカル分析によって相場を判断して、ポジションを保有します。
よく見られるスタイルとしては、執行時間軸を1時間足や4時間足にして、日足と週足で方向感をつかんでいくものがあります。
仮に、エントリー判断を1時間足や4時間足の終値で行うなら、チャートのチェックを1時間もしくは4時間ごとに行えばよいため、トレーダーの時間的な負担は軽減されます。
スキャルピングやデイトレードの場合は、ずっとチャートの前に居続ける必要があります。
しかし、一般的なスイングトレードではその必要がないということもあり、時間に制約のある兼業トレーダーが取り組みやすいトレードスタイルという側面があります。
週をまたぐことのリスク(窓開け・ギャップのリスク)について
FX取引(為替市場)は24時間可能ですが、週末の土日は取引が休みとなります。
そのため、土日の間に為替レートに影響を及ぼす何らかの出来事や事件などがあると、週末の終値と週明けの始値とが大きく異なる状態が発生します(これを「窓開け(ギャップ)」といいます)。
ポジションを週末もホールドしていた場合、窓開けによって損切りで設定したレートを大きく超えてしまうと、月曜の早朝の時点で想定以上の損失を被ってしまうことになります。
このような損失リスクを避けるため、スイングトレーダーのなかには週末をまたいでポジションをホールドせず、必ず週末の時点で決済してしまうトレーダーが一定数存在します。
実際、日本時間の金曜深夜の値動きを観察してみると、それまでのトレンドとは逆方向への値動き(調整の値動き)が発生するケースが散見されます。
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「専業トレーダー」とは?
専業トレーダーとは、トレードを職業としてその収益で生計を立てているトレーダーのことです。
トレードがメインの職業ではなく他の職業やビジネスをもっていたり、サラリーマンをしながらトレードをしている人は、兼業トレーダーや副業トレーダーといいます。
株式相場や商品先物の世界では、専業トレーダーのことを「相場師」と呼んだりもします。これは、伸るか反るかの大勝負をするイメージから生まれたものと考えられます。
ビジネスの世界のエグゼクティブにも多種多様な人物・スタイルがあるように、専業トレーダーにも多種多様な人・スタイルがあり、そのトレードスタイルや日常生活スタイルは一概には語れません。
専業トレーダーに掛かる資金面でのプレッシャー
専業トレーダーは収入がトレードの収益のみであること、そしてその収益がそのまま運用資金でもあることから、資金面でのプレッシャーが常に掛かります。
調子を崩してその月の収益がマイナスになると、次の月は減少した運用資金でトレードしていかなければならず、以前の資金量まで回復させることにも困難を伴います。資金が50%減少した場合、それを回復させるには100%の利益が必要になるのです。
専業トレーダーが資金管理を最重要視する傾向があるのは、運用資金の減少がそのまま廃業の危機に直結しているからです。
その点、兼業トレーダーは、給料や他の事業収入という別のキャッシュフローによって、運用資金の損失補填がおこなえるため、これ自体がひとつの優位性になっています。
見方を変えると、専業トレーダーはある種のハンディキャップを背負ってトレードをしている、と言えるかもしれません。
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関連用語 兼業トレーダー
「投機」とは?
投機とは、短期的なレートの変動による価格差から利益(差益)を得るトレードのことです。
FXの場合は、短期的な為替レートの変動で売買をおこない、為替レートの価格差から利益(為替差益)を得ようとするトレードのことです。
投機は、現在と将来の価格の「差額」を得ることが目的なので、資金を投じる対象の価値が上昇することを期待する「投資」とは異なった資産運用の方法とされます。
また「投機はゼロサムである」ともいわれます。
ゼロサム(総和がゼロ)だとされる理由は、短期的な為替レートの変動による価格差を利用したトレードであることから、あるFXトレーダーの利益は必ず誰かの損失であるためです。
投機とは「タイミングの違いを価値に変える行為」ということができます。
これは、安いときに買っておき高くなったら売ることで利益を得る、というアプローチに例えられるでしょう。
天気が良い日に安くカサを買っておいて、雨が降ったら高く売ってその差額で利益を得るわけです。
このように売買のタイミングの違いによって、同じカサでも値段が変わるということです。
なお、外国為替取引(FX取引)をする相場参加者について、外貨が必要もしくは日本円に換金するために取引する個人や機関のことを「実需筋」と呼び、投機目的の「投機筋」とは区別されます。
関連用語 投資、投機筋、実需筋
「アルゴリズム取引」とは?
アルゴリズム取引とは、コンピュータが自動的に売買の注文を出す取引のことです。
コンピュータ・プログラムの仕組みやその手順のことを「アルゴリズム」というため、コンピュータを使った取引のことをアルゴリズム取引と呼んでいます。
アルゴリズム取引では、テクニカル分析や出来高が主に判断材料として扱われ、さらには、市場で流れるニュースや情報のキーワードなどに反応するシステムが組み込まれていることもあります。
近年ではハイフリーケンシー・トレーディング(HFT)という、ミリ秒(1/1000秒)単位で為替市場に売買注文を出す、超高速&高頻度の取引が主流となっています。
アルゴリズム取引は、リーマンショックの要因の一つにもなった
あらかじめ決められたプログラムによって、自動的に売買をおこなうため、想定外のできごとが起こったときには、思わぬ結果を招く可能性があります。
例えば、2008年にアメリカで起こったリーマンショックでは、機関投資家たちが運用していたアルゴリズムによって「売りが売りを呼ぶ展開」に陥り、大暴落を招きました。
これは、アルゴリズム取引の仕組みである「フィードバック・ループ」が暴走状態となってしまったためと言われています。
フィードバック・ループとは、自分の注文によって市場でどういう反応が起きたのかという「フィードバック情報」を踏まえて、次の取引行動を判断する仕組みのことです。
リーマンショックではこの仕組みが原因になり、アルゴリズムが「売りを執行した市場反応がこうなら、売り続けるしかない!」と判断してしまったといわれています。
アルゴリズム取引の市場での全体像は誰にも分からない
現在では「アルゴリズム取引」という言葉が独り歩きして、過剰・過大なイメージを抱かれている印象があります。
そもそも為替市場や株式市場では、これまでにも機関投資家らの自動システムによる売買取引は行われてきました。
そのテクノロジーとノウハウが急速な技術発展によって先鋭化し、ついにはミリ秒を争う自動売買システムが市場を席巻するに至ったという経緯があります。
このような自動システムの歴史や発展、そして機関投資家同士の激しい競争を経て、ついには複雑かつ高速なアルゴリズム取引という形で姿を見せるようになりました。
こうした「アルゴリズム取引の実体」や「アルゴリズム取引の全貌」は、もはや誰にも分からないといっても過言ではなく、だからこそアルゴリズム取引の暴走というトラブルは起きるべくして起きたといえます。
アルゴリズム取引を使った不正事件
このような自動アルゴリズムを使用した取引は、相場操縦を目的とした不正にも利用されています。
法律の抜けを突く形でアルゴリズム取引が用いられていることもあり、多くは民事問題として扱われているようです。
そしてその後を追いかけるようにして法律が整備されています。
こうした不正取引問題が起きやすいのも、実体が分かりにくいアルゴリズム取引ならではといった感があります。
以下の引用は、実際に海外と国内で起きたアルゴリズム取引(HFT)による相場操縦事件の一例です。
英国金融行為規制機構(FCA)が初めてHFTを利用した相場操縦を摘発した事件として、2013年7月、FCAが米国の投資家マイケル・コシア氏との間で、同人による欧州のエネルギー商品先物市場における石油先物など3つの商品に係るHFTを使用したレイヤリングにつき、90万米ドル超の民事制裁金を課す内容の和解を行った事例
これに続き、同月、米国商品先物取引委員会(CFTC)が、上述のコシア氏及び同人が代表を務めるエネルギー先物取引会社パンサー・エナジー・トレーディング・エルエルシーによる18種類の商品先物に係るHFTを利用したスプーフィングにつき、140万ドルの民事制裁金の支払いと140万ドルの不当利得吐出しを命じた事例
米国証券取引委員会(SEC)がアルゴリズム高速取引による相場操縦を最初に摘発した事件として、2014年10月、SECが米国ニューヨークを拠点とするHFT業者アシーナ・キャピタル・リサーチ・エルエルシーによるアルゴリズムを利用した終値関与形態の相場操縦につき、100万米ドルの罰金を課した事例
(アルゴリズム高速取引の相場操縦事例として公表されたものではないが、我が国での関連事例として)2014年9月、証券取引等監視委員会がアルゴリズムをツールとして利用して見せ玉の発注等を行ったシンガポール在住の個人による長期国債先物に係る相場操縦につき33万円の課徴金勧告を行った事例 等
引用元:『アルゴリズム取引とは?アルゴリズム高速取引の実態と規制動向』より
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関連用語 自動売買、流動性
「ハイ・フリーケンシー・トレーディング(HFT)」とは?
ハイ・フリーケンシー・トレーディングとは、ミリ秒(1/1000秒)単位で為替市場に売買注文を出す、超高速&高頻度の為替取引のことで、アルゴリズム取引の一種です。
HFTと略されますが、これは「High Frequency Trading」の頭文字を取ったものです。
独自のコンピュータ・サーバーから為替市場に注文が出され、その頻度は1秒間に1000回を超すとも言われています。
為替市場(FX取引)の売買注文の偏りや、経済指標・ニュースの解析、膨大な値動きの統計情報などを元にしてアルゴリズム取引が行われます。
高頻度でエントリーと決済を繰り返し、小さな利益を数多く重ねていくのが、このハイ・フリーケンシー・トレーディングの特徴です。
常に膨大な量の注文が飛び交うことになるので、為替市場(FX取引)に大きな流動性をもたらしてくれるメリットがあるものの、予期せぬ事態に売買アルゴリズムが過剰に反応した結果、為替レートの急変をもたらすリスクもはらんでいます。
2010年にニューヨーク市場で起こった「ダウの瞬間的な暴落(フラッシュ・クラッシュ)」は、ハイ・フリーケンシー・トレーディングが原因だったとされています。
このときは、わずか数分でダウ平均株価が1,000ドルも下落しました。
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「日計り商い」とは?
日計り商いとは、一般的にはデイトレードと同じ意味で、一日の取引時間内で売買取引を繰り返すことです。
為替取引(FXトレード)においては、為替市場が24時間取引可能なため、一日の為替レートの変動を捉えてトレードをおこない、夜をまたぐこと(オーバーナイト)をしない取引形態を指します。
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以上、FXのトレードスタイル関連用語まとめ──についてお伝えしました。