『マルチタイムフレーム分析』とは?やり方とコツ、FX手法を解説

マルチタイムフレーム分析のイメージ画像 FXの手法&テクニカル分析

マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間足チャートを用いてチャート分析を行う、テクニカル分析手法のことです。

現在の為替レートが置かれている相場状況を的確に把握できることから、「環境認識」とも呼ばれます。

マルチタイムフレーム分析は、FX取引では必須のスキルと呼ばれるほどポピュラーな分析手法です。

あなたのFXトレードにマルチタイムフレーム分析を導入することで、トレードの精度が増し、損益結果の向上が望めます。

しかし実際には上手く使いこなすのが難しく、やり方を何となく理解したまま使っているFXトレーダーも多いことでしょう。

この記事では、マルチタイムフレーム分析の基本的なやり方から具体的なトレード手法の解説、様々なコツまで、詳しくお伝えしていきます。

この記事で解説している内容は、著者 mono の経験に基づく個人的見解を含んでおり、一般的な内容とは異なる部分もありますので、その点ご留意ください。
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── Contents ──
  1. マルチタイムフレーム分析(環境認識)の基礎知識
    1. マルチタイムフレーム分析の基本的な流れ
    2. 基本的なマルチタイムフレーム分析(環境認識)のやり方
    3. マルチタイムフレーム分析によって得られるメリット
    4. マルチタイムフレーム分析では「値幅の錯覚」に注意
    5. マルチタイムフレーム分析で使用するチャートの組み合わせ
  2. マルチタイムフレーム分析を使った「水平線トレード手法」の解説
    1. 水平線トレード手法のルール(セットアップ)
    2. 上位時間足チャート(4時間足)のマルチタイムフレーム分析のやり方
    3. 中期時間足チャート(30分足)のマルチタイムフレーム分析のやり方
    4. 短期時間足チャート(5分足)のマルチタイムフレーム分析のやり方
    5. 総合的にチャート分析をして優位性の判断をする
    6. 水平線トレード手法でのエントリー方法(トリガー)について
    7. プライスアクションによるトリガールール
  3. マルチタイムフレーム分析を「値動きの早期発見器」として使うやり方
  4. マルチタイムフレーム分析の重要な注意点
    1. 上位時間足チャートのトレンド方向に囚われ過ぎないようにする
    2. 全ての時間足でトレンド方向が揃うのを待つ必要は無い
    3. 上位時間足のトレンドに執着してホールドし過ぎたり、損切りを遅らせたりしない
  5. MT4で引いたラインを各時間足に同期表示させる方法
  6. マルチタイムフレーム分析(環境認識)のやり方~まとめ
    1. こちらの記事もおすすめです

マルチタイムフレーム分析(環境認識)の基礎知識

マルチタイムフレーム分析では、大きな時間足チャートから小さな時間足チャートまでの複数の為替チャートを使用して、それぞれのチャートでの分析結果を統合してエントリーや決済の判断をしていきます。

このように聞くと難解に思うかもしれません。

しかし実際には各時間足のチャートに対して、基本的には同じテクニカル分析を繰り返していくことになるので、慣れてしまうと実はシンプルな分析手法なのだと分かります。

まずはマルチタイムフレーム分析の基礎について理解していきましょう。

マルチタイムフレーム分析の基本的な流れ

  1. まず大きな時間足(上位足)で相場環境認識を行い、上昇トレンドか下降トレンドか横ばい(レンジ相場)かを判断し、チャートポイントを特定します。
  2. 次に小さな時間足(下位足)でエントリーポイントを探します。上位足と同じ方向に取引するのが基本です。
  3. 使用する時間足はトレードスタイルによって異なります。スキャルピングなら1時間足と5分足と1分足、デイトレードなら日足と4時間足(1時間足)と30分足(15分足)などが目安です。

これらの項目について、詳しく見ていきましょう。

基本的なマルチタイムフレーム分析(環境認識)のやり方

ここでは、ローソク足チャートのみを使った、最もシンプルなマルチタイムフレーム分析のケースで解説していきます。

一般的なマルチタイムフレーム分析では「長期時間足のチャート」「中期時間足のチャート」「短期時間足のチャート」の3種類のチャートを用いて分析を進めます。

※各時間足の組み合わせについては、後で説明します。

長期時間足チャートの分析のやり方

まず長期時間足チャートで、トレンドの有無と主要な高値&安値を特定し、サポートラインやレジスタンスラインを引いたり、トレンド方向やレンジ範囲の特定といった分析をおこないます。

マルチタイムフレーム分析における長期時間足のチャート分析のコツは、相場状況全体を俯瞰しながら「攻防が起きる可能性のあるラインと現在レートとの位置関係」を見ることです。

チャートの時間軸が大きい程、レートは大きな振幅の波を描く傾向があり、日足ともなると一つの波が長期間に及びます。

そのため、トレンドと反対方向への値動き(調整の値動き)が何日も続くことが起こります。

マルチタイムフレーム分析に取り組み始めた最初の内は、どうしてもトレンド方向にこだわってしまいがちです。

しかし実際のトレードにおいて長期時間足で見るべきなのは、「売りと買いの攻防が起きる可能性のあるレート(ライン)」だということを覚えておいて下さい。

中期時間足チャートの分析のやり方

続いて中期時間足チャートに移り、同じように主要な高値と安値を特定し、サポートラインなどを引いて、トレンドとレンジの分析をおこないます。

マルチタイムフレーム分析における中期時間足チャートの分析では、長期時間足チャートで明らかになった各要素(高値&安値や各ラインなど)と現在レートとの位置関係に注目します。

例えば、現在の為替レートが長期時間足のレジスタンスラインの真下に位置しているなら、その事実は大切な分析情報として扱います。

つまり「長期時間足チャートのなかの、どんな場所に現在レートがあるのか」を確認するということです。

短期時間足チャートの分析のやり方

そしてマルチタイムフレーム分析の次のステップとして、短期時間足チャートの分析に移ります。

ここでも同様に主要な高値と安値の特定などをおこないますが、中期時間足チャートで分析したときと同様に「現在のレートは長期と中期の時間足チャートの高安値に対して、どんな位置関係にあるのか」に注意して分析します。

例えば「中期時間足チャートのサポートライン上で何度も反発して、短期時間足チャートでは横ばいの値動きが続いている」といった具合です。

他によくある例は、長期足のラインと中期足のラインがほぼ重なるような状態になっているケースです。

このようにラインが重なるということは、その高値・安値がより多くのトレーダーたちに注目されていることを意味しますので、そのラインの方へ向かうトレードは安易にしてはいけません。

各時間足チャートの分析を総合的に判断する

マルチタイムフレーム分析の最後に、各時間足チャートの分析結果を統合して、全体的なトレード判断をおこなっていきます。

とはいえ、最初は特に難解なことを考える必要は無く、次のようなコツに従って分析をすれば大丈夫です。

マルチタイムフレーム分析のコツ
『マルチタイムフレーム分析とは、「縮尺の異なる複数の地図」を使って現在地の状況を把握することと同じ』

例えば、長期時間足チャートは「世界地図」、中期時間足チャートは「日本地図」、短期時間足チャートは「市街地図」だと思ってみて下さい。

このコツを理解するために、ひとつの例え話をお伝えしましょう。

マルチタイムフレーム分析の重要性とコツが分かる例え話

あなたは突然、世界のどこかにワープしてしまったとします。

見知らぬ土地に放り出されたあなたは、何とかして日本へ帰って来なければなりません。

手元にあるのは、何枚かの「異なる縮尺の地図」と「GPS(位置情報の確認装置)」です。

そこでまず世界地図で確認してみると「現在はアフリカ北部のエジプトにいて、西側には砂漠が広がっている」という情報が得られました。

次にエジプトの地図を見ると「現在はアスワンという街にいて、近くにナイル川が流れている」ことを知ります。

最後にアスワンの街の地図を見て「現在は市街地の東側の外れにいて、鉄道の駅はここに、ホテルはあっちにある」という情報を得ました。

このように縮尺の異なる地図を使うことで、現在地の全体像がよく分かってきます。

もし大きな地図での確認を怠って小さな地図だけを見て移動していたら、砂漠に迷い込んで大変な目にあっていたかもしれません。

そもそも今アフリカ北部にいることを知らなければ、昼と夜の寒暖差の激しさにやられて体を壊していたかもしれません。

それに、何とかアスワンの駅にたどり着けたとしても、そこからどこへ向かえばいいのか分からなかったでしょう。

反対に、世界地図だけを見ていても、この街の道をどこへ歩けばいいのかは全く分かりません。

このように複数の縮尺の地図を使って調べていくことで、現在地がどんな場所で、どこへ向かうとどうなっているのかが総合的に(俯瞰的に)把握できるわけです。

マルチタイムフレーム分析によって得られるメリット

FXのマルチタイムフレーム分析も、上記の例え話の地図と同じものだと考えてみて下さい。

  • 大きな時間足チャートを見て「現在レートのすぐ下に何度も意識されたサポートラインがある」ということが事前に分かれば、知らない内に砂漠地帯に迷い込むようなトラブルにあわずに済みます。
  • 中期時間足チャートで上昇トレンドが発生しているのが観察できたなら、鉄道に乗って移動するように買いポジションを持つことも可能になってきます。
  • 短期時間足チャートで突発的なレンジブレイクが起きても、そのすぐ先に大きな河が流れていて易々とは渡れないのを知っていれば、様子見をして「ダマシのブレイクのシナリオ」を検討することが出来ます。

このようにマルチタイムフレーム分析を使ってチャート全体を俯瞰的に捉えることで、今どのようなトレードをすることに優位性があるのかが明瞭になってくるのです。

その結果、トレードの精度が上がり、無駄な損失トレードが減り、損益の安定&向上が期待できます。

グーグルマップを使っていれば分かると思いますが、マウスホイールを回して縮尺をズームイン&ズームアウトすることによって、調べたい場所とその周辺の様子が立体的に把握できるのを実感しているはずです。

複数の時間足チャートを自在に切り替えながらおこなうマルチタイムフレーム分析でも、経験を積むことでそれと同じことが出来るようになります。

マルチタイムフレーム分析では「値幅の錯覚」に注意

ちなみに地図とチャートには、共通して起きてしまう「錯覚」があります。

それは「縮尺の違いによる距離感の錯覚」です。

日本地図と市街地図のサイズが同じだったとしても、地図の縮尺が異なるため単位当たりの距離は大きく違います。

日本地図上では近い距離にあると感じていた場所が、市街地図で確認してみると一枚の地図に収まらないほど遠い場所だったりします。

同じように、日足チャートで見ると小さなローソク足わずか数本先にある高値が、15分足チャートでは遥か彼方だったりするわけです。

このような「値幅の錯覚」のせいで、実際には上位時間足のラインまでの値幅は十分あるにも関わらず、ラインへ向かう方向へのトレードシナリオを過剰にためらうケースが生じてきます。

このような錯覚の弊害は、マルチタイムフレーム分析に慣れてきた頃に多く見られるものですので、慣れてきた時こそ、チャート上で具体的な数値で値幅を確認するようにしましょう。

マルチタイムフレーム分析で使用するチャートの組み合わせ

マルチタイムフレーム分析で使用するチャートの組み合わせについてですが、これには決まったルールやパターンがあるわけではありません。

FXトレーダーそれぞれが持つトレード手法とその検証結果によって、様々な組み合わせが用いられています。

しかし大まかな傾向や合理的な組み合わせパターンがありますので、それを解説します。

6~8倍の比率で組み合わせるパターン

長期、中期、短期、それぞれのチャートの時間足の比率を6から8倍で揃えるという方法が、ポピュラーなマルチタイムフレーム分析チャートのスタイルとされています。

例えば、エントリーと決済を行う際に用いる短期の時間足を「30分足」とした場合は、以下の通りの組み合わせになります。

  • 長期時間足チャート:日足
  • 中期時間足チャート:4時間足
  • 短期時間足チャート:30分足

それぞれの時間足の比率が6倍もしくは8倍になっているのが分かります。

狙う値幅が短めのデイトレードの場合、長期時間足チャートを4時間にして、短期時間足チャートを5分足にするスタイルもあります(5分足と30分足の比率は6倍)。

4倍前後の比率で組み合わせるパターン

もうひとつのポピュラーなスタイルが、4倍前後の比率で揃えてマルチタイムフレーム分析をする方法です。

  • 長期時間足チャート:4時間足
  • 中期時間足チャート:1時間足
  • 短期時間足チャート:15時間足

ご覧の通り、上記の組み合わせでは時間足の比率が4倍に揃えられています。

長期時間足チャートを日足にして中期時間足を4時間足にした組み合わせ(ここは6倍)も、スイングトレーダーやデイトレーダーに広く好まれています。

また、長期時間足チャートに週足を選択し、日足と4時間足を組み合わせるパターンも、スイングトレーダーによって用いられています(週足と日足で5倍の比率)。

狙う値幅が短めのデイトレーダーには、長期時間足を1時間足として、15分足と5分足の組み合わせスタイルもよく目にします(3~4倍の比率)。

スキャルピングの場合、15分足と5分足、それに1分足という組み合わせが考えられます。

注目度が高いとされている時間足を組み合わせるパターン

あまり比率にはこだわらず、一般的に注目度が高いとされている時間足チャート同士を組み合わせてマルチタイムフレーム分析をする方法もあります。

この場合、週足、日足、1時間足、15分足、5分足の中から自由に選択するケースが多いようです。

特に、日足と1時間足は世界的に注目度が高い時間足チャートとされています。

おすすめの時間足の組み合わせパターンは?

私の過去の検証やトレード経験からいうと、比率が4倍未満の組み合わせにすると、かえってマルチタイムフレーム分析が難しくなる可能性が生じます。

その理由は、チャート上でのパターン認識において、各チャート間の差異が生じ難い傾向があるため──つまり「特徴的な高値と安値のレートが似通ってしまうため」です。

そこでマルチタイムフレーム分析の初心者には、6~8倍の比率で揃える組み合わせをおすすめします。

ちなみに私も初期のチャート検証では、4時間足を長期時間足チャートとした6~8倍比率のスタイルでマルチタイムフレーム分析を行っていました。

その後はさらに検証と実践を重ね、日足以下6つの時間足から適宜選択するスタイルを身に着けましたが、あなたは最初から多くの時間足を対象にすることは避けてください。

いずれ「この値動きの状況だと、この時間足チャートの値動きも考慮した方がいい」という選択眼が育ってきますので、それまでは3枚のチャート(多くても4枚まで)で練習と検証を重ねることをおすすめします。

マルチタイムフレーム分析を使った「水平線トレード手法」の解説

それでは、ここからはマルチタイムフレーム分析を使った「水平線トレード手法」について解説していきます。

具体的な分析とトレードの流れを追っていくことで、自然にマルチタイムフレーム分析を理解することが出来るでしょう。

今回想定しているトレードスタイルは「5分足でエントリーと決済をおこなうデイトレード」です。

マルチタイムフレーム分析に使用する為替チャートは、4時間足、30分足、5分足の3枚です。

今回の水平線トレード手法で使用するテクニカル分析は、シンプルで分かりやすいように水平線(サポートラインとレジスタンスライン)だけです。

チャート上にはMACDやストキャスティクスなどのインジケーターはおろか、移動平均線すらも表示させてありません。

その理由は、マルチタイムフレーム分析を理解して実践できるようになるためには「水平線による分析」が一番の近道であり、本質の理解につながると考えているからです。

参考記事 チャートに水平線を引く方法とその意味とは?ラインの引き方を徹底解説

水平線トレード手法のルール(セットアップ)

このトレード手法は、サポートラインとレジスタンスラインでの値動きの優位性を利用しており、比較的低リスク(エントリーと反対方向へレートが動いていく確率が低い状況)でポジションを持てるのが特徴です。

シンプルにいうと、大きな時間足のトレンド方向(継続方向)へ「押し目買い」や「戻り売り」をする、基本的で王道スタイルのルールになっています。

基本ルール(セットアップルール)

  • 下記の条件が満たされているかマルチタイムフレーム分析をおこなって確認する。
  • 長期時間足は、トレンド状態、もしくはトレンドが停滞してレンジになった状態である。
  • 中期時間足は、長期時間足のトレンド方向(長期足がレンジの場合はトレンドの継続方向)に沿ったラインを背にしている状況、もしくはトレンド方向へラインを抜けていく状況である。
  • 短期時間足は、長期時間足のトレンド方向(長期足がレンジの場合はトレンドの継続方向)に沿った「長期か中期足のライン」を背にしている状況、もしくはトレンド方向へラインを抜けていく状況である。
  • ラインを抜けていく状況の場合は、短期時間足でそのラインのロールリバーサルが確認できること(抜けたラインを新たに背にしていること)。
  • トレードしようとする方向の近くに長期や中期のラインがある場合は様子見し、改めてそのラインを抜けていく値動きを待つか、背にできるラインまでレートが戻って来るのを待つ。

ここに挙げたトレードルールは「セットアップ」と呼ばれるもので、優位性がある相場状況を絞り込むためのルールです。

マルチタイムフレーム分析によって、これらセットアップルールの条件が満たされたことを確認したら、今後は「トリガー」と呼ぶエントリールールを用いて実際のエントリーを行います。

上位時間足チャート(4時間足)のマルチタイムフレーム分析のやり方

では、セットアップルールに従ってマルチタイムフレーム分析を実際に進めていきましょう。

上位時間足チャートの分析では、まず左側(過去)からレートの推移を追っていき、現在レートに近い範囲の以下の高値と安値に水平線を引いていきます。

  1. 「何度か反転した高値や安値(ロールリバーサルを含む)」
  2. 「押し安値や戻り高値」
  3. 「直近の最高値と最安値」
  4. 「ダブルボトムやダブルトップのネックライン」

イメージとしては、現在レートの位置がどの波の中にあるかを捉え、その波の上限と下限にラインを引く感じです。

上記のポイントは、他の時間足チャートでも順に同様に見ていき、必要に応じてラインを引いていきます。

それでは実際のチャートを見ていきましょう。

下のチャートは、上位時間足チャートのドル円4時間足です。

太めのグレーのラインが交差している場所が「現在の為替レート」だと思って、以降の解説を読み進めてください。

ドル円4時間足チャート

高値と安値を切り上げながら上昇トレンドを形成していましたが、現在は停滞してレンジ相場となっているのが分かります。

セットアップルールの『トレンドが停滞してレンジになった状態』に該当しますので、今後はトレンドの継続方向である「買いエントリー」を想定して分析していくことになります。

さて、レートは高値「A」を上抜け、その後はロールリバーサルしてサポートラインとなっています(安値「B」「C」で下げ止まっている)。

このロールリバーサルしたラインは現在のレート位置とも近く、マルチタイムフレーム分析に影響を及ぼすことが想定されますので、しっかりマーキングしておきます。

それと合わせて、レンジ上限となる可能性のある高値「D」にもラインを引いておきます。

現在のレート位置を見てみると、レンジの下限近くで停滞を続けていることが分かります(同じ価格帯でローソク足が10本ほど横並びになっている)。

現在レートより上では、高値「D」のレジスタンスラインまで値幅がある状況で、そのラインまでの間に抵抗となるラインは確認できません(レンジ上限までは値動きの余地がある)。

詳しくローソク足を見ていけば、他にも色々な注目ポイントが見つかりますが、今回は基礎編ということで割愛して、シンプルに高値と安値に注目しながらマルチタイムフレーム分析を進めていきます。

中期時間足チャート(30分足)のマルチタイムフレーム分析のやり方

続いて中期時間足チャートのドル円30分足を分析していきましょう。

ドル円30分足チャート

上位時間足の4時間足チャートの分析と同様に、注目すべき高値と安値にラインを引いていきます。

パッと見ると、4時間足チャートとは目に見える値動きが大きく異なるため、マルチタイムフレーム分析に慣れない内は混乱しそうになるかもしれません。

でも先ほどの「地図の例え話」を思い出して下さい。

この30分足チャートは、4時間足チャートの直近二日分の値動きを拡大した(クローズアップした・ズームインした)ものだと思ってください。

例えば30分足チャートの左半分の短期的な下降トレンドの値動きは、先程の4時間足チャートの高値「D」から安値「C」までの約10本のローソク足の値動きを、拡大して細かく表したものに相当します。

ダブルボトムを構成する安値と高値が意識されている

さて、30分足チャートを詳しく見ると、高値「A」をネックラインとした小さなダブルボトムが形成されていて、一旦はネックラインを下抜けるものの再度上昇し、ネックラインが意識されながらレンジ状態になった形跡が見られます(「F」で下げ止まっている)。

ですので高値「A」にラインを引いておき、高値「D」も「E」で意識されていることから、こちらにもラインを引いておきます。

仮に現在レートから上昇していく際には、高値「D」のラインで売買の攻防が起きる可能性があると想定されます。

ダブルボトムの右ボトムの安値「B」が、安値「C」で明確に意識されているので、この安値「B」にもラインを引いておきましょう。

現在レートに至る状況を分析する

現在のレートがどのような状況になっているかを分析していきましょう。

直近では、一旦はネックラインを勢いよく下抜けましたが、すぐに同じ勢いで元のレンジ内(ネックラインの上)に戻してきていることから、買いの勢いが強いことが伺えます。

そのため、今後もしばらくはネックラインはサポートとしての機能を果たす可能性があります。

そしてこの30分足の状況は「4時間足のサポートラインを背にした状況下で生じている」という点が重要です。

つまり安値「C」の強い反発上昇は、上位時間足のサポートラインが機能した結果だと見て取ることが可能でしょう。

であるならば、安易に売りエントリーすることはリスクが高く、売りは優位性に乏しい選択だと判断できます。

これはセットアップルールの『長期時間足のトレンド方向に沿ったラインを背にしている状況』に該当します。

短期時間足チャート(5分足)のマルチタイムフレーム分析のやり方

続いて、短期時間足チャートのドル円5分足を分析していきましょう。

ここでもマルチタイムフレーム分析のやり方は、基本的にこれまでの時間足チャートと同じです。

ドル円5分足チャート

安値「A」がロールリバーサルして高値「C」となって意識されているのが分かりますので、ここにラインを引いておきます。

ある程度レンジ状態が続いた場所の高値である「B」にもラインを引いておきます。

ちなみに高値「B」は、過去の「戻り高値」と呼ばれる注目に値する高値でもあります。

高値「B」をつけた後しばらくレンジを形成したことから、高値「B」が今後も意識される可能性が考えられます。

実際、現在レートの直前の値動きでは、高値「B」に迫ったところで上ヒゲを多数出して小さく反転してきていることからも、高値「B」が意識されていることが伺えます。

現在レートに至る状況を分析する

30分足のライン上で安値「D」をつけて勢いよく反発上昇し、一旦は高値「B」付近まで戻してきました。

これはセットアップルールの『長期時間足のトレンド方向に沿った「長期か中期足のライン」を背にしている状況』に該当します。

そして30分足のダブルボトムのネックライン「E」を背にする格好で一旦下げ止まっているのが、現在レートの置かれている状況です。

この後もレートが下げ止まり続けるなら、これも先程と同じセットアップルールに該当することになります。

総合的にチャート分析をして優位性の判断をする

ここまではマルチタイムフレーム分析によって、各時間足チャートでセットアップの条件が満たされているかどうかを確認してきました。

以下に、マルチタイムフレーム分析で明らかになった分析結果をまとめておきます。

この分析結果を読むことで、この水平線トレード手法への理解が深まると思います。

  • 大きな流れは、4時間足レベルの上昇トレンドからレンジへ移行していて、前回高値ラインがロールリバーサルしてサポートラインとなって機能している(基本的には上昇トレンド継続の可能性が残っているという相場状況である)。
  • そのサポートライン上で30分足ではダブルボトムが形成され、ボトムの高値と安値が意識されて、その高安値ラインで強い反発上昇も発生している。
  • 今のレート位置からレートが下げていく際には、強い抵抗が予想されるラインが複数あるため、売り勢力の強さが認められるような値動きが今後現れない限りは、短時間で下落していく確率は低いと考えられる。
  • 現在レートより上の価格帯には、売りと買いの攻防が発生する可能性のあるレジスタンスラインはあるものの、そのライン上には強い反転下落が起こり得ることを示唆するようなエビデンス(過去の値動き)は見当たらない。
  • これらの状況から「売りよりも買いに優位性がある相場状況」だと判断できる。

今回の例では、トレード手法の土台となる優位性の判断ルールを「セットアップ」としてまとめました。

トレード手法におけるセットアップの位置づけとその詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

解説記事 『セットアップ』とは?その意味とFXトレード手法の重要部品の作り方

水平線トレード手法でのエントリー方法(トリガー)について

さて、セットアップルールの条件が満たされて、上位時間足のトレンド方向(トレンド再開方向)への押し目買いや戻り売りにふさわしい優位性が確認できたなら、次は5分足チャートの値動きを見て、エントリー専用ルールである「トリガー」に従ってエントリーと決済をしていくことになります。

大前提として、セットアップルールによって一定以上の優位性が確保されている状況下では、トリガールールは複雑なものでなくても問題ありません。

むしろシンプルなものの方が値動きに対する即応性も高くなり、判断の迷いも抑えられる傾向があります。

繰り返しますが、これから解説するエントリー方法が機能するかどうかは、マルチタイムフレーム分析によるセットアップルールで優位性の有無を見極めておくことが大前提になります(トリガールールだけでは目立った優位性は得られません)。

今回の場合はセットアップルールによって、複数時間足のサポートラインを背にした買いエントリーに優位性があると判断できていますので、以下のエントリー方法で問題ありません。

プライスアクションによるトリガールール

エントリー方法は次の二つ内のいずれかです。

  1. 「包み足」のローソク足の高値抜け(売りの場合は安値抜け)でエントリー。
  2. 安値の切り上げ(売りの場合は高値の切り下げ)のタイミングでエントリー。

「1」のトリガールールは単体のローソク足で判断するルールで、「包み足」とは1つ前のローソク足の高値と安値を上回る(包み込んでいる)ローソク足のことです。

包み足が確定して、その高値(売りの場合は安値)を抜けたタイミングでエントリーします。

キーリバーサル(包み足)

「2」のトリガールールは安値の切り上がり──つまり直近の高値抜けのタイミングでエントリーします(売りの場合はその逆)。

今回の例では、5分足チャートの現在レートから3本後に「陽線の包み足」が現れましたので、この包み足の高値を上抜けたタイミングがトリガールール「1」に該当します。

損切りポイントについて

エントリーをする際に最重要となるのが「損切り」です。

事前に明確な損切りポイントを設定しておかなくてはいけませんし、そのためのトレードルールを定めておくことが必須です。

その上で今回はシンプルさを優先し、以下の3つのラインの内、現在レートに最も近いラインを選択するルールとします。

  1. 現在レートの下(売りの場合は上)にある短期時間足のラインの下抜け(売りの場合は上抜け)。
  2. 「押し安値」ラインの下抜け(売りの場合は「戻り高値」ラインの上抜け)。
  3. 背にしている中期時間足か長期時間足のラインの下抜け(売りの場合は上抜け)。

今回の例では、現在レートのすぐ下に30分足チャートのネックラインがありますので、このラインの下抜けが損切りポイントとなります。

利益確定ポイントについて

利益確定は、目標レートへの到達で決済することとします。

目標レートは、現在レートより上にある「中期時間足もしくは長期時間足のライン」とします(売りの場合は現在レートより下にあるライン)。

今回の例では、30分足チャートの高値「D」に引いたラインが目標となります。

リスクリワード比による見送りルール

損切りポイントと利益確定ラインが決まったら、リスクリワード比を算出します。

算出といっても難しい計算は必要なく、単に「現在レートから損切りまでの値幅よりも、目標ラインまでの値幅が大きいか」を確認すればOKです。

もし損切り幅のほうが大きい場合は、そのエントリーを見送って様子見をして、背にするラインにレートが近づくのを待つか、新たなセットアップ条件が整うのを待つことになります。

今回の例では、明らかに目標ラインまでの値幅のほうが大きいので、エントリータイミングが訪れ次第ポジションを持つことになります。

リスクリワード比の確認について
「安値の切り上げ・高値の切り下げ」のトリガーの場合は、事前に明確なエントリーポイントが分かるので、事前にリスクリワード比を確認しやすいはずです。
しかし「包み足の高値抜け・安値抜け」のトリガーは、包み足が確定してからでなければ値幅を調べられないので、最初は困難を感じるかもしれません。
明らかに想定利益幅のほうが大きいと思っていても、包み足が一気に大きくなって確定することもありますので、注意が必要です。

以上が、基本的なマルチタイムフレーム分析を使ったシンプルな水平線トレード手法です。

くれぐれも、いきなり実戦で試すようなことはしないで下さい。

必ず事前に、過去チャートを使ってマルチタイムフレーム分析を繰り返し練習し、最初はデモトレードや練習ソフト上でトレードするようにして下さい。

マルチタイムフレーム分析を「値動きの早期発見器」として使うやり方

マルチタイムフレーム分析を使うと、相場状況全体を俯瞰的に観察して分析できるため、現在が売りと買いのどちらかに優位性のある状況かどうかを、的確に判断できるようになります。

これがマルチタイムフレーム分析の大きなメリットなわけですが、この他にも有益な使い方があります。

それが「値動きの早期発見器」としてマルチタイムフレーム分析を使う方法です。

詳しくは、下の記事で解説しています。

解説記事 マルチタイムフレーム分析で優位性のある値動きを早期発見する方法

マルチタイムフレーム分析の重要な注意点

重要な注意点について

ここまでは、マルチタイムフレーム分析の具体的なやり方について解説してきました。

さて、マルチタイムフレーム分析を実践するにあたっては、以下の「重要な注意点」に気を付ける必要があります。

その注意点の中には、一般的に「マルチタイムフレーム分析の正しい使い方」だと思われているものが、実はそうではないというものも含まれますので、しっかり読んでもらえればと思います。

上位時間足チャートのトレンド方向に囚われ過ぎないようにする

これはマルチタイムフレーム分析に取り組み始めたばかりのFX初心者に多く見られるケースですが、上位時間足が上昇トレンドだからといって、エントリーを執行する時間足では売りエントリーをしてはダメなわけではありません。

同様に、上位時間足が上昇トレンドだからといって、どこでもかしこでも買いエントリーすればいいというわけでもありません。

FX初心者が「今は買いエントリーに優位性がある」と考えていると、どうしても目の前の値動きがどれも買いのチャンスに見えてしまいます。

しかし、上位時間足チャートの相場状況はあくまでも「大きな波の流れの状態」を示すものであり、その中では反対方向への強い波が起きることもありますし、長時間に渡って反対方向の波が続くこともあります。

そうした状況下で無理に買いエントリーを繰り返すと、あっという間に損切りの山になってしまうでしょう。

上位時間足チャートの値動きというものは、やがては重要なチャートポイントが争点となって売買の攻防が起き、大きな流れへと回帰していく傾向が見られるものです。

ですからマルチタイムフレーム分析における上位時間足チャートでは、値動きの方向(トレンド方向やレンジに至った方向)を把握した上で、「争点となり得るチャートポイント」──つまり水平線を始めとした重要な高安値に注目することが大切になります。

上位時間足のトレンド方向を台風に例えてみる

ひとつ例え話をしましょう。

台風が近づいてくると「南東の風」が強く吹いてきます。

この強風の方向が「上位時間足チャートのトレンド方向」だと思ってください。

海上や平野部では、ストレートに南東の風が吹き抜けていきますが、山間部だと場所によって風向きが変わりますし、街中だとビルや建物に当たって風が弱まる場所が出てきたり、乱気流が発生したりします。

こうした地域の地理状況が「中期時間足チャートの状況」にあたります。

そしてあなたが立っている場所で感じる「風の勢いと方向」が「短期時間足チャートでの値動き」ということになります。

台風のトレンド方向とその場の風向きの関係

台風の中、ビルが立ち並ぶ道路を歩いていると、猛烈な南東の風が吹くときもあれば、突然風が弱まる瞬間があったり、それまでとは全く異なる方角から風が吹き寄せたりします。

台風の中、森の中を歩いていると、どこからも風が吹いてこない場所に出くわすことがあります。

そして見通しのいい開けた場所に出ると、再び南東から強風が吹き寄せてくることでしょう。

これらのどの状況でも「台風のトレンド方向」は「南東の風」であることに変わりはありません。

ただし、風が弱められたり、向きを変えたり、乱気流になったりする「特徴的な地形や建物」の存在によって、「南東の風」は中短期的には方向や勢いが変化するわけです。

トレンドに影響を及ぼすチャートポイントが重要

つまり「台風のトレンド方向」が重要なのはもちろんですが、それと同様に重要なのが「風向きに影響を及ぼすものの存在」だということです。

FXのマルチタイムフレーム分析も同様で、台風の風向きだけに囚われるのではなく、その風向きが影響を受けるであろうチャートポイントを特定し、現在レートとの位置関係を把握することが重要なのです。

このことが腑に落ちると、例え大きなトレンド方向に沿っていたとしてもエントリーを避けるべき状況が見えるようになりますし、逆に、上位足のトレンドに逆らった短期的な強い値動きに乗っていくことも可能になってきます。

全ての時間足でトレンド方向が揃うのを待つ必要は無い

続いての重要な注意点は、マルチタイムフレーム分析への誤解ともいうべき使用方法についてです。

『マルチタイムフレーム分析においては、すべての時間足が同じ方向のトレンドになった状態が最高のチャンスだ』

──こんな言葉を目にしたことがあるFXトレーダーは多いかもしれません。

確かにある一面においてはその通りなのですが、言葉通りにこの状況でエントリーすると、負けトレードを量産してしまう結果に陥る可能性があります。

その理由は、マルチタイムフレーム分析において長期から短期まですべての時間足チャートのトレンド方向が揃う相場状況というのは、中期~長期時間足では「伸びきった場面」と呼ばれる状況になっている傾向が強いためです。

その結果、短期時間足チャートではエントリー後に調整の反転に巻き込まれるケースが多くなり、損切りした後にトレンドが再開するという残念なパターンにもなりやすいです。

マルチタイムフレーム分析は単なる足し算ではない

そうした「伸びきった場面」でこそ、先程の台風の例え話のように「この先に風向きが変わるようなポイントはないだろうか?」と上位や中期の時間足チャートを分析して、チャートポイントを把握し、優位性のある有利な場面が訪れるのを待つべきです。

マルチタイムフレーム分析は、単なる足し算ではありません。

各時間足チャートがどれも同じサインを出したらOKというものではないのです。

どのようなルート(買いと売りの攻防)を経て現在のレート位置にやってきたのか、その道筋をズームインしながら辿って明らかにしていくことが、マルチタイムフレーム分析の要諦です。

「すべての時間足がトレンド状態になっていて、その方向が揃った状態が最高のチャンス」という言葉に惑わされることなく、各時間足での値動きを総合的に分析できるようになりましょう。

上位時間足のトレンドに執着してホールドし過ぎたり、損切りを遅らせたりしない

もうひとつの重要なマルチタイムフレーム分析の注意点は、これも上位時間足チャートの影響に関するものです。

マルチタイムフレーム分析のことを知り、自分なりに実践し始めた頃は、どうしても「上位時間足チャートを特別視しがち」になってしまう傾向があります(もちろん私もそうでした)。

チャート分析の段階でそのようなバイアス(心理的な偏り)が生まれてしまうだけならまだしも、厄介なのはエントリーしてポジションを持っている最中に影響を受けてしまうことです。

しかもその心理的な偏りが「含み損の状態」で起きてしまうと、深刻な問題に発展しかねません。

『上位時間足が上昇トレンドなんだから、この下げも一時的なもので、きっと反転して上がっていくはず』

──そんな風にトレンドに執着してしまい、トレードルールの損切りポイントを下抜けてもホールドを続けてしまうのです。

その先にあるのは想定外に大きな損失であり、トレードスタイルやポジションサイズによっては強制ロスカットになって証拠金が吹き飛び、FXから退場という結末も待っています。

このときチャートの値動きをよく見てみれば、中期時間足でサポートラインが底抜けしてレンジブレイクとなった結果、激しい下落の真っ最中だったことが分かったりします。

もしあなたがデイトレーダーで、短期時間足チャートの値動きに従ってエントリーしたのなら、決済も短期時間足チャートに従ってルール通りに行うのが本来のあるべき姿だ──ということを忘れないようにしましょう。

MT4で引いたラインを各時間足に同期表示させる方法

マルチタイムフレーム分析をするには、複数の時間足チャートを同時に表示させる必要があります。

そのため、多くのFXトレーダーはMT4でチャートを表示させています。

MT4で複数チャートを同時に使用してマルチタイムフレーム分析をする場合にあると便利なのが、各種ラインを他の時間足チャートに同期表示するインジケーターです。

もしこのような同期表示の機能がないと、長期時間足チャートで引いたラインを中期や短期時間足チャートへ自分の手でコピーしないといけません。

MT4の場合、こうした手間を省いてくれるインジケーターが提供されているので、それを利用するのがおすすめです。

詳しくは、下の記事で解説していますのでご覧ください。

解説記事 MT4の複数時間足チャートの検証&練習におすすめのインジケーター

マルチタイムフレーム分析(環境認識)のやり方~まとめ

ここまでご覧頂いたように、マルチタイムフレーム分析に関する内容について、基礎から応用的なものまで網羅的に解説してきました。

マルチタイムフレーム分析とは、大きな時間足チャートから小さな時間足チャートまで、複数枚の為替チャートを使用して、それぞれのチャートでの分析結果を統合して環境認識をおこない、エントリーなどの判断をしていく分析手法です。

為替レートがどのようなルート(買いと売りの戦い)を経て現在のレート位置にやってきたのか、その道筋をズームインしながら辿って明らかにしていくことが、マルチタイムフレーム分析の要諦です。

水平線だけを用いたシンプルなマルチタイムフレーム分析でも、ポイントをしっかり押さえれば「現在、買いと売りのどちらが優位なのか(どちらも優位でないのか)」を判断することが可能です。

マルチタイムフレーム分析によって、大きな時間足のトレンド方向(再開方向)への押し目買いや戻り売りのトレードシナリオを立てやすくなります。

最後に、マルチタイムフレーム分析は、投資書籍のベストセラー『投資苑』の著者、アレキサンダー・エルダー氏によって一般に普及したと言われており、英語では「Multiple Time Frame Analysis」略して「MTF分析」とも呼ばれています。

以上、『マルチタイムフレーム分析』とは?やり方とコツ、FX手法を解説──についてお伝えしました。

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