「経験者から学ぶ」のは、何かに上達していくための重要項目です。FXで勝てるようになる確率も、経験者から学ぶことでグッと高まると実感しています。
今回は、昔、友人が私に実践して見せてくれたトレードのお話です。
口数がそれほど多くないその友人。「FXで勝つためのポイントはシンプルだし、限られてもいるのだ」と、実際に私の目の前で実践して教えてくれました。
その友人は、FXでちょっとした財産を築いていた
友人との関係は、当時わたしが引っ越しをしたこともあって、数年ほど疎遠になっていました。そこへ、他の知り合いづてに、その友人が「FXでかなり稼いだそうだ」という話を耳にします。
プロフィールにも書きましたが、当時は金銭的に苦しい状況にありましたから、その話を聞いて「その手があった!」とばかりに、私もFXを始めたのです。
最初は、よっぽど彼から直接アドバイスをもらおうとか、あわよくばトレード手法を教えてもらおうとか、いろいろ頭をよぎります。しかし変なプライドや見栄が邪魔をして、素直に行動できませんでした。
まあこれは、今にして思えばそうしなくて良かったなと感じています。
彼は、彼にあった方法でFXで成功していったのですし、それをそのままマネしても上手くいくものではありません。
ましてや彼は、人を指導したり教育したりした経験もなく、一匹狼でやってきた人間です。なおのこと無理なことだったと思いますし、無理に教えてもらっていたら、二人の関係がマズいことになっていた可能性もあったでしょう。
久しぶりに友人と会う
さて、そうして半年ほど経ったころ、あるイベントで久しぶりに彼と会う機会がありました。そして、昔話に花を咲かせる中、自然と我が家でゆっくり会うことになりました。
後日、私の家にやってきた彼とあれこれ楽しく話をしながら、話題は自然とFXのことになっていきます。
そのなかで、彼が実際にしていたトレード内容についても詳しく聞くことができ、「そういうことだったのか」と腑に落ちることになったのです。
当時の彼のトレードスタイル
当時の彼は、MT4をつかったシステムトレードをしていました。
といっても、EAをつかった自動売買ではありません。独自にプログラムしたインジケータにサインを出させ、それに従って自分で発注するスタイルを身につけ、4時間足を執行時間軸にしたスイングトレードを行っていました。
エントリーのフィルターとしてRSIをつかいながら、数日ほどポジションをもつトレードを、週に数回くり返す感じで、その日もひとつユーロドルのポジションをもっていました。
「週末をまたいでポジションをもったとき、一度ひどい目にあったから、金曜には絶対にポジションを決済する」と聞いたとき、当時リスク管理にこだわっていた私は、「やっぱりそうなんだ」と強く納得した覚えがあります。
さらに彼は、MT4でいろいろなトレード手法を研究していて、少数のインジケータを組み合わせて統計を出すことをくり返していました。
「その手法のプロフィットファクターが〇〇以上だと、カーブフィッティングしている可能性があるから、あまりに成績の良すぎるものは、本番トレードでは使わない」と語る彼の様子からは、経験に裏づけられた方法論が身についているのが伺えました。
私のトレードを見て友人が言ったこと
当時の私は、FXを始めて半年程だったので、まだまだ試行錯誤の最中でした。
ちょっと手応えを感じては、もっと良さそうなものに手を出して──と、そんなことを繰り返していた状況でした。
「少し前までは、こういうふうにトレードしていて、今はこんな感じでトレードしている」
そういって私は自分のトレード記録(チャート画面)を見せながら、トレードの説明をはじめました。
「これが、過去〇〇日のアベレージ・トゥルーレンジ(平均値幅)で、当日に、そのレンジの23.6%(フィボナッチ数)をブレイクアウトしたらエントリーして云々……」
それに対して彼はひとこと、こういいます。「そのレンジブレイクに、どれだけのトレーダーが注目しているかが問題だな」
例えば「前日の高値・安値」のレートは、世界中のトレーダーが注目しているポイントであり、そのブレイクには大勢のトレーダーが反応を示します。
しかし私が設定したレンジとそのブレイクには、果たしてどれだけのトレーダーが注目しているというのでしょうか?
彼は、相場の集団心理の重要性をしっかりと理解しており、彼なりの表現で「集団心理に則ったシンプルな判断を心がけることの重要性」について教えてくれたのです。
友人は目の前でトレードをして見せてくれた
「ところで、MT4はつかってないの?」
そういって彼は、ササッとメタクオーツの公式サイトからMT4をダウンロードして、私のパソコンにセットアップを始めました。
「こうすれば自分でプログラムして検証もできるし、デモトレードも簡単にできるよ。お前もプラグラムが組めるんだから、やってみたら?」
そんなことを言われながら、彼はその場でデモトレードのアカウントを取得して、チャートを設定しながらトレードをはじめました。
トレードルールはとてもシンプルだった
彼が開いたのは1分足チャートで、そこに20MAだけを表示させました。
彼はいいます──
「1分足にしたのは、一番早くチャートが進むからというだけ。実際のトレードでは、ちゃんと検証して時間軸を決めないとダメだから」
「で、ルールは、このMAより上だったら買い、下だったら売りね。支持線や抵抗線に近かったら、そこから離れるまで様子見するということで。あと、利食いと損切りは○○pipsで固定して決済」
──そして彼はすぐにエントリーして、トレードを始めました。
勝っても負けても、同じように何度もエントリー
「はい、損切り。で、MAより下だから、つぎは売り」
そんな風にして、サクサクとトレードを繰り返していきます。
ときにはレンジになって、グズグズといつまでも横ばいが続くこともあります。だからといって何をするわけでもなく、ただひたすら利確か損切りのラインに到達するのを待ちます。
「これはどう見ても上昇していく場面だけど、ルールでは売りの状況だから、売りでエントリーする」
そういって売りのポジションをもち、案の定、早々に損切りになってしまいます。
しかし彼は気にするでもなく、サッサと次のエントリーをします。
「はい、次は買いエントリー」
それを見た私は、「だったら最初から買いでエントリーすればいいのに」と思いました。しかし、その考え方こそが「未来を当てようとして目先の利益を追うダメな思考」なのだと、今ではよく分かります。
彼がしていたのは、その正反対の、確率思考に則った「トータルで利益を積み上げていくトレード」そのものだったのです。
トレードを終えて
「こうやってトレードしていれば、FXでは何とかなるものだよ」
結果、トータルで若干の利益となった口座履歴を表示させながら、彼はそういいました。
「こうやってトレードすれば利益が出せる」──まさに、それを実演して見せてくれたわけです。
「今回は、即席で決めたルールだったから、それほど利益は出なかったけど、要するに、こういうことなんだよ」
当時の私はあまりに経験が乏しく、彼のことばの真意を理解することができませんでした。しかし今では、それらがFXで勝つための本質をついたものなのだと、よく分かります。
その後、私は時を経て、彼のメッセージを理解して実践していくことになります。
最後に
こうして、実際に勝っているトレーダーが身近にいたのは、本当にラッキーなことだったと思います。
私がもう少し素直で理解力が高ければ、FXで結果を出すのも、もう少し早まったかもしれませんが、まあ、過ぎたことです。
何はともあれ、勝っているトレーダーがどういうふうにチャートを見て、判断し、トレードしているのか──その様子を見ながら本人から教えてもらう経験は、FXで成功するための大きなアドバンテージになるものだと、強く感じた一件でした。
以上、昔、友人が見せてくれたトレードの話。FXで勝つための本質はシンプルについて、お伝えしました。
こちらの記事もおすすめです
こちらの本もおすすめです
勝っているトレーダーのトレードスタイルや手法、考え方など、その本当の姿を知ることができる、おすすめの本を紹介します。これを読んで、あなたの「勝てるトレーダーのイメージ」を正しいものにしてください。
- 著者:ジャック・D・シュワッガー
- 一流トレーダーたちの金言集。本当に強いトレーダーの本質に迫る一冊。
- 著者:マイク・ベラフィオーレ
- 強いトレーダーと退場していくトレーダーの違いが分かる、迫真のルポルタージュ。
- 著者:ティム・ブールキン, ニコラス・マンゴー, ジョン・ボリンジャー
- アプローチ方法とテクニック、輝かしい成功例と手痛い失敗例など、本音が凝縮された一冊。