FXのトレード手法はシンプルにした方がいい理由とは?ルールが複雑だと困る理由

複雑なトレード手法のイメージ画像 FXに役立つ話

「さっきのタイミングがチャンスだったのに、見逃した……」

あなたはFXをするとき、いつもトレード手法を書いたメモやルール表を見ていませんか? もしかすると、それが、トレードが上手くいかない理由のひとつかもしれません。

今回は、FXのデイトレード(特に裁量トレード)において、トレード手法が複雑な場合のデメリットと、トレード手法をシンプルにすることのメリットについて解説していきます。

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FXのトレード手法を別のものに例えてみる

FXにおける「トレード手法」とは、シンプルにいえば、為替レートが上下に動き続けるなかで、うまくエントリーと決済をおこなっていくためのツールだと言えます。

FXのことを「波乗り(サーフィン)」に例えるひとは多いですが、これは上手にFXの特徴をとらえた、うまい例えだと思います。

とはいえ、実際にサーフィンをやったことがある人はそんなに多くないと思うので、ちょっと別のものでFXのデイトレードを例えてみようと思います。

「高速道路を横断して渡り切るゲーム」への招待

高速道路の写真

ここに、東名高速やドイツのアウトバーンのように、すごいスピードでビュンビュン自動車が走っている道路があるとします。

あなたは、その道路を横断して渡り切ることで多額の賞金がもらえます。

シンプルですね。

しかし当然、途中で自動車にはねられると大怪我をしてしまいます(なんだか『カイジ』に出てきそうな状況です)。

このとき、あなたは2つあるヒントのうち、どちらかひとつだけ、教えてもらうことができます。

さて、あなたはどちらのヒントを教えてもらいますか?

どちらのヒントを選ぶ?

  1. この通りにやれば高確率で渡り切れる(と言われた)「大量のマニュアル」
  2. 注意すべきポイントがシンプルに書かれた「短いリスト」

1番のヒントを教えてもらった挑戦者は、どうなったか?

「この通りにやれば、高確率で高速道路を渡りきれる」と言われて、「じゃあ、1番のヒントがいい!」と選んだ、とある挑戦者がいました。

その挑戦者は早速、分厚いマニュアルを読みはじめます。

彼の頭の中は、これから手に入る「多額の賞金」のことで一杯で、ソワソワしながらマニュアルに目を通しています。

マニュアルには色々なことが書かれています──

「道路に引かれた白線のことを『インデュレネーション・ライン』と呼ぶ。その意味は云々……」

「赤い(オレンジでもピンクでもない)自動車が、『ケンペロン・ゾーン』に『3ドドン』だけ侵入したのを確認したら、右足に体重を移すが、自動車の速度が110キロより高ければ、さらに距離をチェックして云々……」

──ムチャクチャ細かく状況を分析して、それをもとに行動をルール化しているようですね。

専門用語もバンバンありますから、理解するのも一苦労でしょう。

道路上で右往左往する挑戦者

お、彼はさっそく道路の横断に挑戦するようです。

右手には先程の分厚いマニュアルを持っていますが、まさかマニュアルを読みながら横断しようというのでしょうか?

ああ、その「まさか」をやっています!

「これがケンペロン・ゾーンだから、あの車が3ドドン手前にきたら……って、あの車は赤いのか?いやオレンジ?……おっと、危ねえ!」

「あの3台の車の列が速度を落としたら『ヘッド・プッシュ・クロス』なのか? どうなんだ!? もしそうなら一歩踏み出して、ええっと、体を左にひねらないとダメなんだけど……うわ!」

──危なっかしくて、とても見ていられません……。

そしてついにリタイアしたようですが、命が助かっただけ良かったと思います。

そして、あなたは2番のヒントを教えてもらった

その様子を見ていたあなたは、2番のヒントをもらうことにしました。それは、注意すべきポイントがシンプルに書かれた「短いリスト」です。

そこには、こう書かれていました──

  1. 白線ギリギリに立って、まず通過する車の速度に目を慣らすこと。最低でも300台は見ること。
  2. いける!と思ったら『3歩だけ』進んで、すぐに白線内まで引き返すこと。これを繰り返して『本当にいける!』という感覚をつかめ。
  3. 難しく考えるな。シンプルに行動しろ。

──たった、これだけです。

とにかく、ヒントの通りにシンプルに行動してみた

あなたはビュンビュン自動車が行き交う道路の、白線ギリギリに立ちました。

目の前を猛スピードで車が通り過ぎていきます。

しかし白線の手前に立っている限りは、車にぶつかることはないことが分かります。

そこに立って、ヒントの通りシンプルに行動しようと考え、とにかく通過していく車を目で追って、そのスピードに慣れようとしました。

最初はビクビクしながら見ていましたが、白線の内側にいる限りはぶつかりませんし、その内に、運転席に座る人の姿がハッキリ見えるようにもなってきたのです。

そうして何百台かの自動車を見届けたあと、いよいよ次のステップに進むことにしました。

徐々に自分の感覚を磨いていくべし

ヒントには、こう書かれていました。

いける!と思ったら『3歩だけ』進んで、すぐに白線内まで引き返すこと。これを繰り返して『本当にいける!』という感覚をつかめ。

あなたはすぐに白線の内側へ戻る前提で、「このタイミングなら渡れるかな?」と思ったところで、実際に「3歩だけ」前へ進んでみます。

今のあなたは、やってくる車の速度が感覚的につかめるようになっているので、このまま渡り切れるのかどうか、なんとなく分かりはじめます。

しかし実際に車道へ入ってみて、迫りくる自動車と向き合うと、これまでとはまったく違った感覚──激しい恐怖に襲われます。

「いや、やっぱり無理だ……」

白線の内側に戻ったあなたは、大きくため息をつきました。

これを繰り返して『本当にいける!』という感覚をつかめ

勇気をだすイメージ画像

あなたは、ヒントを思い返します。

すでにあなたは「自動車の速度感覚」は身についてきていること、そして「3歩だけ車道に入ること」は今の自分には問題ないこと、これらが実感として分かっています。

なので、あとはヒントに従って繰り返していけば、「本当にいける!」という、自分なりの確信がつかめるはずなのです。

難しく考えず「シンプルに行動しよう」と勇気をふりしぼり、再び白線から車道へと「3歩だけ」入っていきます。

そして、ぶれない判断ができるようになった

それから何回、車道へ入っては戻ることを繰り返したでしょうか。

ついにあなたは「こういう感じの車間距離になったら、いけるはずだ!」という、自分なりの判断基準が固まったのです。

ここまでくれば、もうあとは運を天に任せて自分を信じて実行あるのみ。

──そして、ついにあなたは道路を渡り切って、多額の賞金を手にしたのでした。

この話から得られるFXの教訓

相場の世界も、この「道路横断ゲーム」の迫りくる自動車の列と同じく、常に変化し続けています。

特にFXの裁量トレードでは、相場状況に応じた瞬間的な判断が求められます。

「えーっと、この場合はどっちだ?」などとマニュアルやメモを見ながら、のんきなことを考えているヒマはないのです。

そもそも、仮にトレード手法が頭に入っていたとしても、状況に応じた瞬間的な判断ができなければ、迷ってしまって動けなくなるか、パニックになってダメな行動をとってしまうでしょう。

瞬間的に判断するにはシンプルなトレード手法が望ましい

FXのデイトレードにつかうトレード手法は、できるだけシンプルなものが望ましいです。そうしておくことで瞬間的な判断が容易になります。

注意すべき点は、シンプルといっても決して「簡単」なのではなく、いうなれば「判断基準が明瞭」なのです。

道路横断ゲームでいうと、「3歩進んで、すぐ戻る」のは、判断基準がハッキリしています。しかし、だからといって簡単ではないわけです。

シンプルな手法を「ものさし」にして相場感覚を磨いていく

トレード手法をシンプルにしておくと、それを同じように繰り返すことが簡単になります。

繰り返すことが簡単だと、正しく何度も実行できるので、そのトレード手法を使うことに慣れていきますし、どんどん相場の経験を積むことができます。

その結果、そのトレード手法を基準とした、あなたなりの「チャートの見方」が出来上がっていくのです。

そうなってくると、判断に迷いや躊躇いが減っていき、判断が素早くなっていき、さらには、あなたなりの感覚で「これはやめておいた方がいいレートの動きだ」とか、「これは高確率だ。負けても本望!」という判断がつくようになってきます。

これは、決して「感覚的にトレードしている」のではありません。

シンプルなトレード手法を続けるなかで身についた、「経験に裏付けられた判断力」すなわち直感なのです。

いうなれば、まずシンプルなトレード手法を「相場の判断基準」として身につけ、それを「ものさし」にして、自分なりに相場の値動きを計りつづけた結果、そうした判断力が身についたのです。

安定して勝ち続けているFXトレーダーには、大なり小なり、こうした判断力が備わっているものです。

シンプルなFXのトレード手法とは?

どんなトレード手法がシンプルなものなのか、それはトレーダーごとに異なるとしか言えません。

しかし、それがシンプルなトレード手法かどうかを見極める、大切なポイントがあります。

シンプルなトレード手法のポイント

  1. トレード手法の内容が、すべて暗記できるボリュームである。
  2. 慣れたら、エントリーや決済の判断が瞬間的(5秒以内)にできる。

チャート分析やエントリーごとに毎回マニュアルを開いて、あれこれ調べないとエントリーできないようなトレードルールは、とてもシンプルとはいえず、FXのデイトレードには複雑過ぎます。

トレードルールの全体を覚えていられることは、FXのシンプルなトレード手法において必須の条件です。

また、トレード手法が覚えられていたとしても、実際のトレード判断に何分もかかるようでは、これもまたシンプルとはいえず複雑過ぎます。

こうしたトレード手法を使っていては「道路を横断できずに車にひかれてしまう」でしょう。

トレードルールを最初からシンプルにできなくても大丈夫

とはいえ実際には、たいていのトレード手法は、ForexTester4やMT4でトレード手法の練習を重ねていくことで徐々に覚えられて、最終的には瞬間的に判断できるようになっていくものです。

逆にいえば、あなたがそのトレード手法を徹底的に練習することによって、そのトレード手法は「あなたにとってのシンプルなトレード手法」になる可能性があります。

つまり、自分でトレード手法を作るにせよ、教材から学ぶにせよ、その手法に慣れ親しんで瞬間的に判断できるようになることが重要なのです。

そのためには、やはり最初はトレード手法を小さくコンパクトにして、シンプルにしておくのがおすすめです。

初心者向けのアドバイスとしてよく見られる、「最初はトレンド相場だけでトレードしよう」というものは、そういう意味でも正しいアプローチだといえるのです。

FXのトレード手法をシンプルにしておく理由~まとめ

FXのデイトレードで結果を出していくためには、瞬間的な判断力が必要です。

そのためには、トレード手法に習熟していることと、その経験を通じた「自分なりの相場判断の感覚」を身につけていくが求められます。

そこで、シンプルなトレード手法を繰り返し使うことで、瞬間的な判断力を身につけやすくなります。

シンプルなトレード手法のポイントは、「すべて暗記できるボリュームであること」「エントリーや決済の判断が、瞬間的(5秒以内)にできること」です。

そして、何よりも「繰り返しトレードすること」が大切なので、リアルチャートやデモトレードだけではなく、ForexTester5などで大量にトレード練習することをおすすめします。

トレード練習のためのFX練習ソフトについては、以下の記事で解説しています。

解説記事 FX練習ソフトおすすめ6選/検証の定番&無料ソフト【2024年版】

以上、FXのトレード手法はシンプルにした方がいい理由とは?ルールが複雑だと困る理由について、お伝えしました。

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