「コツコツドカン」とは?
コツコツドカンとは、為替取引(FX)で小さい利益を積み重ねながらも、一回の大きな負けトレードの損失によってそれまでの利益を失ってしまうことです。
コツコツと利益を積み重ねても、ドカン!と負けて証拠金を失ってしまう様子を表しています。
コツコツドカンの背景には、利益は少しでも早く確定したいという心理と、損失はできるだけ確定させず先送りしたいという心理があります。
この心理的な特徴はプロスペクト理論(行動ファイナンス理論)として知られているものです。
FXでは感情に任せてトレードすると、人間である以上、必ずコツコツドカンになってしまう傾向がありますので、その対策をおこなうことが重要になってきます。
明確なトレード手法をもって、それに従って行動し続けるというのは、コツコツドカンを回避するための有効なアプローチなのです。
別のコツコツドカンもある
為替取引(FX)でコツコツドカンというと、このようにマイナスイメージをもつものですが、まったく逆の意味も含んでいます。
つまり、コツコツ小さく損切りをして負け続けながらも、ドカン!と勝って、トータルでプラスの利益を得るという意味です。
これは、1回のトレード当たりの利益と損失の比率(リスクリワード比)が大きい──損失pips(ピップス)よりも利益pipsが大きいことによって可能になります。
具体的には、-10pipsの小さな損切りをくり返しながら、利益を伸ばせる状況では値動きについていって、+30~50pipsといった大き目の利益確定を目指すトレードスタイルです。
トレンドフォロー系のトレードスタイルには、こうしたコツコツドカン型のものが多く見られます。
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FXの「感情トレード」とは?
感情トレードとは、FXトレーダーが感情に基づいて取引を行い、冷静な判断を欠いたり、計画外の行動をとったりすることです。
感情トレードは、主に以下のような状況で起こります。
- 『恐怖によるトレード』
これは、為替相場の急落や損失の経験など、FXトレーダーが恐怖心を抱いた際に、感情的な反応によってトレードを行ってしまうことです。
恐怖心から、損失を最小限にするために早期に利益を確定させたり、逆に損失を抱えたままポジションを保持したりしてしまいます。 - 『欲望によるトレード』
これは、高い利益や成功体験を得たいという欲望から、冷静なチャート分析やトレード計画を無視して取引を行ってしまうことを指します。
欲望によるトレードは、急激な為替レートの変動や一時的な利益の期待によって引き起こされることがあります。
感情トレードの影響は深刻です。以下にその影響について列挙します。
- 不合理な判断
感情に基づいたFX取引は、冷静なトレード判断を妨げます。恐怖や欲望によって感情的な状態に陥ると、為替市場の現実を正しく分析・評価することが難しくなります。
結果として、誤ったトレード判断や不合理な取引を行う可能性が高まります。 - 過度のリスク
感情トレードは、リスク管理を犠牲にしてしまう傾向があります。
例えば、恐怖によって早期に利益確定することで、良い取引チャンスを逃してしまうことがあります。
逆に、欲望によって損失(含み損)を抱えたままポジションを保持し続けてしまうこともあります。 - 継続的な損失
感情トレードは、短期的には一時的な利益をもたらすこともありますが、長期的には持続的な損失(トータルでのマイナス)を招く傾向があります。
感情的な判断に基づいたFX取引はランダムな結果になりやすく、そこには統計的なエッジ(優位性)やトレード戦略の基盤が欠けています。
FXで感情トレードを避けるためには、以下のようなアプローチが有効です。
- 自己認識とメンタルトレーニング
自分自身の感情や心理的な傾向を理解し、それらに対処するためのメンタルトレーニングを行います。
冷静なトレード判断を保つためのテクニックやリラックス法などを学ぶことが重要です。 - トレードプラン(ルール)の策定
トレードプランを立て、事前にエントリーポイント、ストップロス(損切)、利益確定ポイントなどを明確に設定します。
トレードプランは感情に左右されずに行動するための指針となります。 - リスク管理の重要性: リスク管理はトレードの基本です。適切なポジションサイズやリスクリワード比率を考慮し、損失を最小限に抑える方法を確立します。
感情トレードはFXトレーダーにとって大きな課題ですが、自己反省と継続的な努力によって克服できる可能性があります。
FXトレードを行う際には、常に冷静な判断と客観的な視点を持つことが重要です。
FXの「イナゴ トレーダー」とは?
為替取引(FX)におけるイナゴトレーダーとは、大きな値動きを見てから為替ポジションをもった、一般大衆FXトレーダーの集団のことです。
バブル相場に踊らされ、欲の赴くまま感情的に為替相場でポジションをもつFXトレーダーたちの姿を、農作物にむらがる大量のイナゴの群れに例えて名付けられた、ネットスラング(俗語)のひとつです。
イナゴと呼ばれるFXトレーダーたちの多くは、高値づかみなどの結果に終わってしまい、そのトレード結果が利益につながることは少ないです。
彼らイナゴトレーダーが「もっと上がるはず!」「エントリーしないと損!」と感じたとき、その時こそが相場の天井であるという、為替相場の皮肉な現象が日々くり返されているといえるでしょう。
ちなみにイナゴというスラングは、もとは株式相場で使われていた用語です。
経済ニュースで取り上げられたり人気化した銘柄に、イナゴの群れようにワッと飛びかかって、すぐに利食いしたり、高値づかみになって塩漬けや損切りを強いられるという、そんな大衆投資家の行動を指したものです。
そのようにして出来上がった行って来いのチャートは、イナゴタワーと呼ばれます。
自分がイナゴFXトレーダーにならないために
イナゴFXトレーダーの特徴は、無計画であること、目先の値動きに翻弄されること等です。
驚くべきことに、経験の浅いFXトレーダーの多くはトレード手法(トレードルール)を持ちません。
さらに、過去チャート検証という言葉は聞いたことがあっても、自分の手を動かして検証作業をしたことはありません。
こうした背景が彼らをイナゴFXトレーダーにしてしまうのかもしれません。
そうであるならば、自分がイナゴにならないために大切なのは、まず計画的に行動することだといえます。
初心に帰って、FXトレーダーとして為替相場の世界で生き残って利益を得るにはどうすればいいのか、立ち止まって考えることが必要です。
現実世界のイナゴは、集団で飛び回っていても食料にありつける可能性はありますが、相場の世界のイナゴFXトレーダーの場合、悪くするとただ証拠金を失うだけに終わってしまいます。
「勝ち組トレーダーは1割」といわれる理由を改めて頭に描いて、彼ら勝ち組トレーダーが何をしていて、そして何を「していない」のかを理解していくことが、イナゴFXトレーダーにならないための最善の道です。
関連用語 雷同買い・雷同売り
FX取引での「雷同買い・雷同売り」とは?
雷同買い・雷同売りとは、自分の相場予測や相場判断をもたずに、アナリストの意見や他のトレーダーたちの動き(人気や評判)に追随してトレードすることです。
いわゆる「長い物には巻かれろ」の姿勢に近いものがあり、追随トレードとも呼ばれます。
為替取引(FXトレード)において、雷同買い・売りでポジションをもって利益を得られればいいですが、含み損を抱えたり損失になったりしたら、その原因と責任をアナリストや他のFXトレーダーに求めてしまい、他人のせいにして終わってしまう可能性があります。
FXの結果を他人任せにしてしまっては次のトレードに生かせませんし、また同じ過ちを繰り返すことにもなりかねません。
雷同買い・雷同売りの最たるものは、バブル相場で見ることが出来ます。
バブル相場になった為替市場では、「買わなければ(売らなければ)損だ!」という過熱感が蔓延しており、安易な追随トレードが多く行われます。
現代の雷同買い&雷同売りはSNSで多く見られる
インターネットでFXや株取引が出来るようになって、雷同買い・雷同売りはリアルタイム性の高いトレードに姿を変えたと言えるでしょう。
インターネット掲示板では有象無象の取引情報(通貨の値動き予想や仕手情報など)が飛び交い、小型株や新興株などはそうしたネット情報によって大きく値が動くようなことも起こりました。
現在ではツイッターを始めとしたSNS上で、数多くのトレーダーたちが情報発信を行い、その取引情報を元に多くの大衆トレーダーたちが雷同買い・雷同売りを繰り広げています。
勝ち馬に乗って自分も余禄に預かりたいという気持ちは十分理解できますし、そうできるなら一番楽にお金を得られるのかもしれません。
しかし現実には、あらゆるトレード上の出来事を自分の責任として受け入れるトレーダーしか、勝ち組にはなれないといっても過言ではありません。
FX取引は「当てもの」ではなく、確率的な傾向に従ってトータルで損益プラスを目指すものです。
雷同買い・雷同売りを繰り返している内は、勝ち馬トレーダーを当てようとしているだけだということに気づく必要があります。
確率を味方につけたトレーディングのために必要な準備は数多くありますが、それを乗り越えるだけの価値がFX取引にはありますので、ぜひ頑張ってください。
FX相場の「曲がり屋」とは?
曲がり屋とは、為替相場の予想を外したり負け続けたりしているFXトレーダーのことです。
予想した為替レートの値動きの予想を外すことを「曲がる」といい、常に曲げてしまうことから「曲がり屋」と呼ばれます。
曲がり屋とは反対に、勝ち続けて相場の波に乗れているFXトレーダーのことを「当たり屋」といいます。
相場の格言には「当たり屋に乗れ」「曲がり屋へ向かえ」というものがあり、それぞれ勝ち馬への便乗の有用性と、裏目指標としての活用を指しています。
自分自身が曲がり屋だった場合、自分のトレード判断を裏目指標として活用したいと思うものですが、こうした欲が絡むことでいつもの判断で為替取引ができなくなり、結局は正しい判断につながらず「結局いつもと同じ負けトレード」だけを招くことになりがちです。
FXの「ラッキートレード」とは?
ラッキートレードとは、エントリー当初は想定もしていなかったような利益を、幸運な形で偶然に得ることが出来たトレードのことです。
為替取引(FXトレード)でのラッキートレードの例としては、次のようなものがあります。
- ポジションを持っていたら、経済指標の発表や突然のニュースによって一気に大きくレートが動き、思わぬ利益を得られた。
- 負けトレードが続いていたので、一気に取り戻そうと大きなポジションサイズでエントリーしたところ、予想が的中して莫大な利益になった。
- 「もうそろそろトレンド転換するだろう」と思って逆張りでエントリーしてみたら、ピタリと天底を当てることが出来て利益になった。
ラッキーという言葉とは裏腹に、相場の世界でのラッキートレードは「単純に喜んではいけないもの」として扱う必要があります。
「1」のラッキートレードの場合、突然の値動きで利益になるということは、反対に損失にもなり得るのだということを忘れてはいけません。
もし損切りの逆指値注文を入れていなければ、こうした値動きによって一発で大きな証拠金を失う可能性があります。
「2」のトレードの場合、たまたま予想が当たったから良かったものの、その大きなポジションサイズのまま損切り決済になった可能性も十分あったはずです。
もし損切りになっていれば、連敗という痛みだけでなく、過大なポジションサイズによる傷口の拡大という苦痛も味わうことになっていたでしょう。
「3」の場合、単なる当て物トレード(ギャンブルトレード)が当たっただけに過ぎません。
ギャンブルトレードのように射幸心を煽る結果で一喜一憂することが習慣化してしまうと、見境なく無謀なエントリーを繰り返すようになってしまいます。
FXトレードでは「ラッキートレードは未来からの借金」という気持ちで考えておくことです。
規律のあるエントリーと決済を重ねやすくなりますし、アンラッキーに思えるトレードも「確率的に起こり得る当然のもの」として受け入れやすくなるでしょう。
関連用語 悪い癖
以上、FXで問題のあるトレードスタイルの解説まとめ──についてお伝えしました。