- 「プライスアクションをつかってトレードすると勝ちやすい」
- 「プライスアクションをつかうことで、精度の高いエントリーと決済ができる」
そんな意見を目にして、プライスアクショントレードの手法を学ぼうとしているあなたに、おすすめの本があります。
『FX 5分足スキャルピング』をしっかりと読むことで、値動きの基本と原則を知ることが出来ます。
そして「プライスアクションとは何なのか」「ローソク足チャートをつかったプライスアクショントレードはどうやって行うのか」について、具体的かつ実践的な形で理解できるでしょう。
ボブ・ボルマン『FX 5分足スキャルピング』―プライスアクションの基本と原則
(Kindle版あり)
- 著者:ボブ・ボルマン
大げさに聞こえるかもしれませんが、『FX 5分足スキャルピング』は、値動きの基本と原則について語られたものであり、ここに書かれていることを知らずにチャートを見ることは、手ぶらで戦場へいくようなものです。
タイトルには「5分足スキャルピング」とありますが、この本はスキャルピングの本ではなく、タイトな損切りを想定したプライスアクションのデイトレードについて書かれたものです。
一本のローソク足のかたちや、複数のローソク足で出来たパターンに注目し、その値動きを利用してエントリー&エグジットをおこなうトレードのこと。
テクニカル指標に頼るのではなく、ローソク足チャートそのものを重視する。
また、値動きの基本と原則を理解することで、15分足や1時間足、4時間足などのトレードにも応用が可能です。
『FX 5分足スキャルピング』の内容は、相場の値動きの原則の解説からはじまり、ローソク足一本ずつの微細な動きに注目していき、具体的なエントリーポイントとエグジットを示していく、とても実践的なものです。
『FX 5分足スキャルピング』を読むことで「エントリーの迷い」が解消される
エントリーするためには、そこでエントリーする根拠・理由が必要です。
「なぜ、そこでエントリーするのか?」──これがあいまいだと、トレード結果をふまえた検証も精度が上がらないですし、そもそも検証のしようがない事態にも陥ります。
エントリーの理由(根拠)として一般によく用いられるのが、「何らかの意味のある高値・安値をブレイクアウトしたから」というものです。
例えば、注目されていたレジスタンス・ラインをブレイクしたから買いエントリーするのが、シンプルなケースです。
「でも、そんな程度の理由でエントリーしてたら、いくらでも逆行するし損切りにもなるよ……」
確かにそうです。そこでトレーダーはみんな、色々なチャート分析を用いて多種多様なトレード手法を編み出しているわけです。
プライスアクションをエントリーの根拠にするメリット
ボブ・ボルマンの『FX 5分足スキャルピング』では、エントリーの根拠として、ローソク足のプライスアクションをつかっていきます。
あなたは「このラインを抜けたら買いだな」と想定しながらチャートを見て、「よし、ブレイクした!……でも、ダマシかもしれないなあ」と、エントリーをためらったことはありませんか?
その後、「あ、また押して戻ってきたぞ。このあたりでエントリーしておこうかな、どうしようか……」と悩み、そして「ああ!やっぱりエントリーしておけば……」という結果になってしまっていたのではありませんか?
もしそうなら、ひとつの解決策があります。
エントリーがシンプルになる
それは、ローソク足のプライスアクションをエントリーの根拠とすることです。そうすることでエントリーはとてもシンプルになり、見送りの判断も明快になってきます。
なぜなら、プライスアクションを理解することで、相場参加者たちが本当に注目しているレートやライン、ゾーンが想定できるようになってくるからです。
ですから、これまでとは違ったエントリーポイントやタイミングに気づけるようになってきますし、そのエントリーを自分なりの自信をもって行えるようにもなります。
「このパターンになってきたということは、高値をブレイクする前に○○になったらエントリーできるな」と、小さな変化を利用して先回りすることが可能になってくるのです。
“いま、この瞬間の値動き”に対応したトレードができる
テクニカル指標をつかったトレードで、よく問題として上げられるのが、「サインが出たタイミングだと値動きに乗り遅れてしまう」ケースです。
典型的なケースだと、移動平均線のクロスでエントリーするとき、そのタイミングだと上昇もしくは下降し切った状況でエントリーすることになってしまって、どうしてもその後の押しや戻りを耐えなくてはいけなくなるのです。
そもそも、テクニカル指標とは「過去のローソク足の終値などをもとに計算されたもの」です。
ならば、いっそローソク足そのものを判断の要素としてつかうことで、今の相場状況に応じた機敏な判断が可能になると考えられます。プライスアクショントレードは、こうした考え方に則って組み立てられています。
例えば──
「今の状況を分析すると、一本前のローソク足の高値をブレイクすることが重要な意味を持つことがわかる。だから、一本前のローソク足をブレイクした瞬間にエントリーする」
──と、なります。
これだと、まさに「今この瞬間の値動き」に対応してトレード判断をすることになりますから、迷いが減ることが実感できるでしょう。
関連記事 FXのプライスアクションと関連用語の意味と解説まとめ
コンビ足という優れたコンセプト
私が『FX 5分足スキャルピング』から学んだことのなかで、トレード手法への影響が最も大きかったものは、コンビ足の考え方でした。
何やら聞きなれない単語ですが、これは酒田五法のローソク足パターンでいうと「はらみ足」や「包み足」と呼ばれるもののバリエーションに当たります。
江戸時代の相場師、本間宗久によって考案されたテクニカル分析手法。
ローソク足の並び方によって相場の状況を判断し、売買行動を立てる。
例えば、小さな陰線のローソク足の次に大きな陽線の足ができることを「包み足」と呼んだり、大きな陽線の次に小さな陰線ができることを「はらみ足」と呼ぶなど、いくつものパターンがあり、それらを売買の判断に役立てていく。用語解説 酒田五法
単にパターンとして認識するのではなく、その数本のローソク足のなかで、どのような売り買いの攻防がくり広げられたのかに着目し、その決着のサインをトレード判断に使おうというものです。
コンビ足には、さまざまなバリエーションがありますが、考え方は共通していて、それらを理解することで優位性のあるプライスアクションを柔軟に把握できるようになります。
例えば、長いヒゲのあるローソク足(いわゆるピンバー)が組み合わさったコンビ足なら、そこに「下位時間軸でのダブルトップ・ダブルボトム」が形成されていることがイメージ出来るようになります。
ですから、「そのコンビ足の高安値を抜けること=ネックライン抜けによる決着」が想定でき、エントリーの根拠として活用できるのです。
参考記事 『ダブルトップ・ダブルボトム』の意味とトレード方法とは?相場心理を読む
この考え方を理解することで、あなたのマルチタイムフレーム分析の理解も深まりますし、時間軸が異なるチャート同士の関係がフラクタル構造になっていることも、よくわかってくるはずです。
大きな全体の一部を拡大していくと、そこにまた全体と同じ姿があらわれる構造のこと。
例えば、日足チャートでダブルトップを形成している部分を15分足にしてみると、そこにも、いくつものダブルトップが見られる。
以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。解説記事 『フラクタル構造』とは?FXで複数時間足チャートを使いこなす方法
数本のローソク足の動きを見たあなたは、「ここで、もみ合いになったから、一つ前の足の高値を抜けるかどうか要注目だな」と自然に分かるようになるので、これまでよりもずっと落ちついたチャート監視ができるようになるでしょう。
要約:『FX 5分足スキャルピング』から得られるもの
プライスアクションの基本と原則について理解できる
- レートが大きく動きはじめる理由(背景となる状況)が分かるようになるので、様子をみるべき場面と、仕掛ける価値のある場面が見分けられるようになります。
- ブレイクにも種類があることが分かるので、ダマシになりやすいブレイクを見送る判断ができるようになります。
- 一見ありふれたような高値と安値にもダマシがあることが理解できるので、それを優位性の判断につかうことができるようになります。
- 「天井」のコンセプトを知ることで、プルバック(押し・戻り)からのトレードを柔軟におこなえるようになります。
- こうしたことを理論だけではなく、実戦的なチャートを通じて学ぶことができます。
- さらに、こうしたプライスアクションの原則がチャートにあらわれる様子を、132日間連続する約400枚もの5分足チャートによって見ることができます。
基本と原則をふまえたシンプルなセットアップが手に入る
- フラッグや三角保ち合いからのブレイクや、ブレイク後のプルバックといった、シンプルなチャートパターンによるトレード手法が、これまでとは違った視点で理解できます。
- コンビ足を知ることによって、これまではチャンスに見えなかった場面の価値が分かるようになるため、損切りの幅を小さくしたり、早めにエントリーして対応する選択肢が手に入ります。
- また、ブレイクが本物かどうかに惑わされるのではなく、ブレイクが失敗した(ダマシになった)ことを利用した、優位性の高いトレードについて知ることができます。
- 「勝ち続けるためには無用な負けをつくらない考え方」の実践例を見ることができ、そこから学ぶことで、見送るべき状況を判断するスキルが身につけられます。
- そして、ポジションをどういう判断基準によってエグジット(利確か損切り)するかについて、基本と原則をふまえた解説とその実践例によって、詳しく理解することができます。
しかしデメリットもあります
本書で解説されているトレード手法は、ローソク足チャートにわずかなテクニカル指標を加えただけの手法ですので、これまで様々なインジケーターを活用してきた人にとっては、その簡素さに対して、すぐには受け入れがたい心理的抵抗を感じる可能性があります。
プライスアクショントレードでは、1本~数本のローソク足から値動きを読み取っていきますが、これが近視眼的な判断をしてしまう要因になる可能性は指摘しておきます。
とはいえ「木を見て森を見ず」ではなく、木を見る力を得て森を見られるようになれば、自在なチャート観察力を身につけられるわけなので、これを習得する価値は十分あります。
あと、こうしたテクニカル分析やトレード手法に関する翻訳書の常として、日本語が分かり辛いところも散見されますので、読み進めるのが困難に感じることもあるでしょう。
また、ページ数が膨大(約500ページ弱)ですので、読破するのも時間が掛かります。
チャートが多数掲載されていて、具体的なローソク足をもとに理解を深めていけますが、チャートに振られている番号と解説を照らし合わせながら読むのは、なかなかの苦労です。
こうしたデメリットも考慮して納得がいくなら、ぜひ一度『FX 5分足スキャルピング』を手に取ってみて下さい。
『FX 5分足スキャルピング――プライスアクションの基本と原則』~まとめ
プライスアクショントレードについて学びたいのであれば、ボブ・ボルマンの『FX 5分足スキャルピング』を手に入れることをおすすめします。
読んでもらえれば実感すると思いますが、たくさんのチャートを前にしながら、著者から個人レッスンを受けているような印象を受けると思います。それは、まるでチャートの中での「売り買いの攻防の物語」を体験しているかのように感じられることでしょう。
その物語をじっくりと味わい学ぶことで、あなたはいつの間にかチャートから読み取れるものが変化していることに気づくでしょう。それはきっと、トレードで勝つために大切な基本と原則が理解できたサインです。
(Kindle版あり)
- 著者:ボブ・ボルマン
以上、『FX 5分足スキャルピング』プライスアクショントレードの手法が分かる本について、お伝えしました。
こちらの本もおすすめです
(Kindle版あり)
- 著者:ボブ・ボルマン
- ボブ・ボルマンのもう一冊のプライスアクション本。心構えやメンタル面の解説が充実
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- 著者:ロレンツィオ・ダミール
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