FXでの悩みといえば、「ポジポジ病」や「損切りできない病」をはじめとした、「メンタルの悩み」が筆頭にあげられるでしょう。
メンタルの悩みを解決する方法は、すでに色々なところで紹介されていますが、それらの方法が効果を発揮するためには、まずあなた自身が「自分を観察する注意力」を身につけておく必要があります。
その「自分を観察する注意力」を身につけて高めていくためには、「マインドフルネス瞑想」がとても役に立つのです。
今回は、マインドフルネス瞑想の方法とその効果について、お伝えしていきます。
マインドフルネス瞑想とはなにか?
瞑想という言葉を聞くと、なにやら宗教的でスピリチュアルな感じがするかもしれません。
座禅を組んでジッと座り続ける姿は、非日常的な雰囲気があって、自分には関係のない世界のようにも思えてきます。
しかし現代では、瞑想が科学的な研究対象になっていて、脳科学や神経科学を中心に、その驚くべき効果が次々と証明されてきているのです。
例えば、瞑想をおこなうことで、感覚処理と注意力に関連する大脳新皮質が増大することや、免疫機能が増大することが明らかになっています。
こうした研究の結果、瞑想の重要なエッセンスが明らかになり、それを日常の中で実践して効果を上げることが可能になっています。
マインドフルネス瞑想とは、そうした科学に裏付けられた、だれもが実践できる「カジュアルな瞑想」です。具体的な方法をすぐに知りたい場合は、この記事の「マインドフルネス瞑想の方法」からご覧ください。
マインドフルネス瞑想がFXにもたらす効果は?
ここからは、「マインドフルネス瞑想がもたらす効果は、FXにどう役に立つのか?」という疑問に答えていきましょう。
あなたがFXで失敗するのは、「ダメな行動をしようとする自分」を自覚できていないから
- 「また、飛びつきエントリーをしてしまった……」
- 「損切りしなきゃダメだって思ってたのに……」
こうした失敗をしてしまうのは、ダメな行動をしようとする”その瞬間”、我を忘れてしまって、自分の心と体の状態を自覚できなくなっているからだと考えられます。
問題を起こしてしまってから、ハッと我に返って「やっちまった……」と後悔する──こういうことを繰り返していては、メンタルの悩みの解決などいつまで経ってもおぼつきません。
「自分を観察する注意力」があれば、FXで失敗を防ぎやすくなる
もし「ダメな行動をしようとする自分」を、その瞬間ちゃんと自覚できていたら、どうでしょう?
仮に、あなたがチャートを見ていて、大きくググッ!とブレイクアウトしたのを見たとき、激しく「エントリーしたい!」と感じたとしましょう。
そのとき、もしあなたに「自分を観察する注意力」があったなら、どうでしょう?
心のなかで「あ、いま自分は興奮しているぞ」と自覚することができて、その結果、感情的に注文ボタンをクリックすることを避けられる可能性が高まるのです。
こうして自分の感情に気づけることで、感情的に反応しそうになる自分に対して「まった!」をかけるチャンスが生まれるわけです。
この、ほんの少しの違いが、FXの決定的な結果の差となってあらわれるのです。
その瞬間、自分が感情的になっていることに気づく必要がある
FXでの失敗の多くは、チャート上のできごとに対して、感情的な反応をとってしまうことで起こります。
そうした感情的な反応を防ぐためには、その瞬間、自分が感情的になってしまっている事実に気づくことが、まず必要です。
例えば、怒っているひとに「怒ってる?」と聞くと、「怒ってないよ!」と怒られますが、本人には怒っている自覚がなかったりするものです。
自分の感情にしっかりと気づくためには、「自分を観察する注意力」というスキルが重要になってきます。
マインドフルネス瞑想によって「自分を観察する注意力」を効果的に鍛えられる
神経画像研究者らの研究によって、興味深い事実が明らかになっています。
それは、瞑想に長い時間を掛けてきた人ほど、脳の扁桃体と呼ばれる「生存の脅威を感じとるセンサー」が暴走しにくいという事実です。
つまり、瞑想をおこなっている人は、目の前のできごとに対して、脳が「ヤバイ!」と慌てふためくことが少なかったり、おだやかだったりする傾向があるのです。
そのため、ピンチの状況のなかでも、理性的な判断ができる余地が多くなると言えるわけで、つまり「自分を観察する注意力」を発揮しやすくなるということでもあります。
また、最初のほうでお話したように、「瞑想をおこなうことで、感覚処理と注意力に関連する大脳新皮質が増大する」という研究結果があります。
こうしたことから、マインドフルネス瞑想には「自分を観察する注意力」を向上させる効果があるとともに、そもそも感情的なパニックに陥りづらくなると考えられるのです。
「ダメな行動」の瞬間を自覚して対応できるようになる
ここまででお分かりのように、マインドフルネス瞑想によって「自分を観察する注意力」が向上することで、感情的なパニックに陥りづらくなります。
つまり、マインドフルネス瞑想をすることで、自分が「ダメな行動」をしようとする瞬間に気づきやすくなり、自分のちからで行動を変えられる可能性が生まれる、ということなのです。
これが、マインドフルネス瞑想がFXにもたらす効果です。
ぜひマインドフルネス瞑想をおこなって、あなたの「自分を観察する注意力」を向上させて、FXでのダメな行動パターンを克服していってください。
マインドフルネス瞑想の方法
マインドフルネス瞑想のもっとも簡単な方法は、次の通りです。
マインドフルネス瞑想の方法
- その場で目を閉じて、静かに呼吸をする。
- 呼吸に注意を向ける。
- 呼吸から注意がそれたら、また呼吸に注意を向けなおす。
- これを数分~数十分ほど続ける。
静かにジッとできる場所なら、イスに座っても、床に座っても、どちらでもかまいません。
方法2番目の「呼吸に注意を向ける」というのは、具体的には、鼻を抜ける空気の感じや、おなかや胸が動く感じに注意を向けるということです。
注意を向ける場所は、「自分の体の状態」にするのがポイントです。
これを繰り返していると、すぐに注意がそれて、いろいろな考えごと(問題や悩みを思い浮かべること)を始めたり、周囲の音に反応してしまったりすると思います。
注意がそれていたことに気づいたら、その時点で、またそっと注意を呼吸に向けなおします。
すると、また色々なことに気がそれるでしょうから、ふたたび注意を呼吸に向けなおし、これをひたすら繰り返していくのです。
こうやって一定時間おだやかに一点に注意を向けて過ごすのが、マインドフルネス瞑想の基本的な方法です。
この方法で、最初は1分間だけやってみよう
最初は1分もジッとしていられないかもしれませんが、それだけ今までは注意力が低かったり、注意散漫だったということでもあります。
しかしその分、伸びしろが大きいともいえますので、やりがいがある状況です。
私も最初のときは、数十秒ほどで顔がかゆくなってポリポリとかいてしまい、「あ、勝手にうごいてしまってる……!」とショックだったのを覚えています。
もし瞑想中に体がかゆくなったりしたら、そのときは「かゆみを感じている……」というふうに、ジッとしたまま「かゆみを感じている自分」を観察するようにして、また呼吸に注意を向けなおします。
その後は、2分、3分と徐々に瞑想時間を伸ばしていきましょう。
この方法で効果があらわれるのは、いつ?
マインドフルネス瞑想の効果があらわれ始める時期は、個人差がありますが、早ければ瞑想のトータル時間が数時間を超えたあたりで、自分の感情の変化を自覚できるようになる可能性があります。
遅くても2~3週間もすれば、今の自分の感情について「穏やかだ」とか「ザワザワしている」と気づく瞬間が、明らかに増えてくると思います。
私も、この方法で瞑想を始めてから数週間したあたりで、目の前の出来事に「イラッ!」と感情的になりかけたときに、「あ、これはダメな感じだ」と気づくケースがあらわれ始めました。
そのまま、ダメな行動をしてしまうことも当然ありましたが、踏みとどまったり「自分は怒ってるぞ!」と自覚するようになっていきました。
こうした変化は言葉ではなかなか伝わりづらいので、ぜひ実際に体験してほしいところです。
マインドフルネス瞑想の方法と効果~まとめ
メンタルの悩みを解決するためには、今の自分の感情に気づく注意力(観察力)が必要です。
マインドフルネス瞑想には、「自分を観察する注意力」を高める効果があるので、マインドフルネス瞑想の方法をマスターすることで、FXトレード中に自分の感情に気づくスキルが身につきます。
その結果、感情的な行動をしたりパニックになる可能性が低くなるので、トレード結果の向上につながり、メンタルの悩みが解決に向かいます。
マインドフルネス瞑想の基本的な方法は、静かに目を閉じて、呼吸などの「自分の体の状態」に注意を向け続けることです。
マインドフルネス瞑想の詳しい方法が分かる、おすすめの本
マインドフルネス瞑想について、さらに詳しい方法や、さまざまな応用例については、以下の本がおすすめです。
(Kindle版あり)
- チャディー・メン・タン
- グーグルの効果的な社員研修の秘密がわかる。
- 藤井 英雄
- 日常のあらゆる場面での実践方法を紹介している。
『サーチ・インサイド・ユアセルフ』については、以下の記事でも紹介していますので、参考にしてください。
以上、マインドフルネス瞑想の方法と効果とは?FXのメンタルの悩みを解消する方法、についてお伝えしました。
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