「押し・押し目買い」とは?
押しとは、上昇トレンド中のレートが一時的に下落している値動きのことです。
押し目買いとは、その値動きのなかでタイミングを見計らい、買いエントリーをすることです。
為替レートは波を描いて動いていくので、上昇トレンド中でも一時的にレートが下落する状況があらわれます。
この相場状況を「調整」と呼び、下落してくる値動きのことを「押し」や「押している」と表現します。
この相場状況でタイミングよく押し目買いをして買いポジションをもつことが、上昇トレンドで利益を上げるための大切なポイントになります。
トレンド状態で押し目買いをすることは、トレンドフォロー手法の基本となります。
押し目買いの想定エントリーポイント
どこで押しが終わって再上昇するかは誰にも分かりませんが、テクニカル分析によってそのポイントを想定しておくことは可能です。
一般的に知られているものとしては、前回高値や押し安値、移動平均線、フィボナッチ・リトレースメント(38.2%や61.8%まで押したポイント)などがあります。
他にも、前回安値で反転上昇する際に形成されたダブルボトムの「ネックライン付近」が、押し目買いの好ましいエントリーポイントになる可能性があります。
相場に「絶対」はありませんから、確率的に優位性のあるポイントでエントリーして、損切りを駆使しながら、トータルで利益を上げていくことが正攻法だといえるでしょう。
また、一回のエントリーで押し目買いを成功させようとするのではなく、何段階かに分けて分割でエントリーするというトレード手法もあります。
想定する「最も浅い押し目」で最初の買いポジションをエントリーし、順に段階を追ってナンピン買いのように買い下がっていくという方法です。
このエントリー手法については、下の記事をご覧ください。
関連記事 『FXのナンピン』とは?その意味を理解して戦術的にエントリーする方法
「押し目待ちに押し目なし」という相場格言
トレンドに乗ろうと、押し目買いのタイミングを待っていても、グングン上昇を続けていってしまったり、あと少しで自分のエントリーポイントだというところで反転上昇していったりして、ポジションをもてないケースもよくあります。
こうした状況を表した格言に「押し目待ちに押し目なし」というものがあります。
あまりに押し目買いがうまくいかないと、押しを待たずに高値を追っていく、いわゆる「積極的なブレイクアウトエントリー」をするようになるFXトレーダーも多く見られます。
押しを待ってエントリーするのか、それとも高値を更新していくタイミングでエントリーするのかは、各トレーダーのトレード戦略次第です。
トレード戦略の成否は、各自の過去チャート検証に裏付けられた判断が重要になってきます。
「戻り・戻り売り」とは?
戻りとは、下降トレンドにおいて、為替レートが一時的に上昇している値動きのことです。
戻り売りとは、その値動きのなかでタイミングを見計らい、売りのエントリーをすることを指します。
為替相場のレートは波を描いて動いていくので、下降トレンド中でも一時的に上昇する値動きが現れます。
こうした「トレンドとは反対方向への一時的な値動き」のことを「調整」と呼び、上昇する調整の値動きのことを「戻り」や「戻している」などと表現します。
下降トレンドの相場状況では、戻りの値動きの中でタイミングよく売りポジションをもつことが、利益を上げやすいトレード方法として広く認識されています。
トレンド状態では戻り売りを狙うこと──これはトレンドフォローの基本のひとつです。
戻り売りの想定エントリーポイント
どこで戻りが終わって再下降するかは誰にも分かりませんが、テクニカル分析によってそのポイントを想定しておくことは可能です。
一般的に知られているものとしては、前回高値や戻り高値、移動平均線、フィボナッチ・リトレースメント(38.2%や61.8%まで戻しポイント)などがあります。
例えば、下降トレンドが始まる(再開する)際に抜けてきたレンジの安値は、レートが戻してきたときには強く意識されるチャートポイントといえます。
同様に、前回の戻り高値を構成するダブルトップがあった場合は、そのネックラインの安値ラインは意識されやすい傾向があります。
このように「前回攻防があったゾーンの下限に近付いたら値動きに注意」といえる傾向があります。
相場に「絶対」はありませんから、確率的に優位性のあるポイントでエントリーして、損切りを駆使しながらトータルで利益を上げていくことが正攻法になります。
「戻り待ちに戻りなし」という相場格言
為替相場の下降トレンドに乗ろうと思って戻り売りのタイミングを待っていても、思い通りの相場展開になるとは限りませんし、むしろ意に反する値動きに翻弄されることばかりでしょう。
目立った調整の戻りも無くグイグイ下落していったり、あと少し上昇すれば自分のエントリーポイントだというところでクルリと反転下降してちゃんを逃したりなど、売りエントリーができずに指をくわえたままのこともよく起こります。
こうした悔しい状態を指す言葉として「戻り待ちに戻りなし」という格言があります。
あまりに戻り売りが上手くいかない相場が続くと、自分のトレードルール通りに戻りを待たずに、下げるレートを追って売りエントリーを重ねていってしまうケースも多く見られます。
この場合「相場は波を描くように上下に振幅する」という法則通り、ポジションを持ったレートが目先の最安値となってしまうことも目立ってきます。
いわゆる「安値づかみ」になりやすいのです。
戻りを待ってエントリーするのか、それとも安値を更新していくタイミングでエントリーするのかは、各トレーダーのトレード戦略次第であり、各自の検証に裏付けられたトレード判断こそが重要になってきます。
「押し安値・戻り高値」とは?
押し安値とは、上昇トレンド中の最高値の1つ前の安値のことです。
言い換えるなら「最高値と前回高値の間にある安値」が「押し安値」です。
反対に、下降トレンド中の最安値の1つ前の高値のことを「戻り高値」といいます。
同じくこれも「最安値と前回安値の間にある高値」が「戻り高値」です。
押し安値は、高値更新に至るまでに売り勢力によって押し下げられた安値であり、高値更新前の高値(前回高値)との間における最安値です。
つまり「これ以上はレートが下がらなかった」と相場参加者たちが認めたレートになりますから、今後、押し安値はとても注目されるチャートポイントになります。
戻り高値の場合はこの逆になります。
押し安値・戻り高値付近でのトレードについて
上昇トレンドで買いポジションを持っているトレーダーは、損切りや利食いの逆指値注文を、押し安値のすぐ下に置くのが一般的なセオリーのひとつとされています。
また、もし押し安値まで為替レートが下落してきた場合、この押し安値を背にして買いエントリーをしてくるトレーダーたちが現れ、押し安値付近から再度上昇する可能性もあります。
押し安値でダブルボトムやレクタングルといったチャートパターンが形成されていた場合は、特に相場参加者から意識されやすく、何らかの反応が見られたり激しい攻防の値動きが起きる可能性があります。
例えば、ダブルボトムのネックラインやレクタングルの上端で攻防が起きやすい傾向が見られます。
もちろん「そんなところに押し安値なんてあったの?」という程、何の抵抗もなく一気にレートが下落して抜けていく(下抜け)ケースもあります。
しかし、それはそれで「現在の為替相場は売り勢力がとても強い」という相場からの重要なメッセージになり得ます。
戻り高値の場合も同様で、その場合は上記の意味が反対になります。
下降トレンドで売りポジションを持つトレーダーは、戻り高値の上に損切りや利食いの注文を置くのがセオリーとされていますし、戻り高値付近では売り買いの攻防が起きやすい傾向があります。
「調整」とは?
調整とは、為替相場の値動きが鈍化して、それまでとは反対の方向へ一時的にレートが動く状況のことです。
調整の値動きのことを「プルバック」ともいいます。
上昇、下落、どちらの値動きでも、それまでとは反対方向へ値が動くことを調整といいますが、一般的には、上昇トレンドにあった相場状況の値動きが鈍化して一時的に下落している状況を調整と呼ぶケースが多いです。
相場は波を描いて動くため(エリオット波動理論)、レートは一方向へ動き続けることはなく、いずれ反対方向へと一時的に反転することになります。
別の言い方をすると、調整とは「上昇トレンド中の押し」「下降トレンド中の戻り」の値動きということになります。
調整がどこまで進むかを判断する方法
一般的に調整の値動きは、トレンドの相場状況におけるトレードチャンスになり得るものです。
世の中のトレード手法には、この調整の動きから再びトレンド方向へ値動きが再始動するタイミングを捉えようとしたものが多く見られます。
さて、調整の値動きがどこまで進むのかは誰にも分かりませんが、注目されているであろうチャートポイントや、黄金分割比を元にしたフィボナッチ・リトレースメントの数値を考慮する方法などがあります。
最もシンプルで多くの市場参加者に注目されているチャートポイントは、何度も意識されて反転・反落をした「高値と安値」──つまり上値抵抗線(レジスタンスライン)と下値支持線(サポートライン)だといえるでしょう。
次に注目されているであろうチャートポイントは、ダブルボトムやダブルトップといったチャートパターンを構成する「高値と安値」だと考えられます。
例えば、ダブルボトムが形成される値動きのプロセスを考慮すれば、ネックラインの高値ラインや、右側のボトムの安値には注目が集まっている可能性があります。
他にも色々なチャートポイントがありますが、大切なのは事前に過去チャート検証をおこなって、どのポイントでトレードをするのかをルール化しておくことです。
リアルトレードの現場では、動き続ける為替レートを前にすると、どこもかしこもエントリーチャンスに見えてしまい兼ねません。
「プルバック」とは?
プルバックとは、為替レートの「押し」や「戻り」といった調整の値動きを指した言葉です。
「プル(Pull)バック(Back)」という言葉の通り「引っ張られて戻る」という意味を表しており、順行していた為替レートが引っ張られるように戻る(調整する)ことを指しています。
大きな視点では、トレンド中の押しや戻りの値動きのことをプルバックと呼びます。
小さな視点では、重要なレートやサポート・レジスタンスライン、トレンドラインなど、相場参加者から意識されたチャートポイントをブレイクした際、その直後に見られる「小さな押しや戻り」のことをプルバックと呼びます。
「半値押し・半値戻し」とは?
半値押しとは、上昇していたレートが反転して、「上昇の起点となったレート」と「反転し始めた高値」までの値幅の、約半分の位置まで下落した状況のことです。
半値戻しは、その反対の状況のことです。
相場参加者たちの心理として、半値押しや半値戻しになった状況は、「もう十分に調整しただろうから、そろそろ反転し始めるんじゃないか?」と思い始めるタイミングとされています。
視覚的にも、波を描く相場の値動きの傾向と合致するイメージがあるため、ちょうどいい押し目買いや戻り売りのポイントとして見られる傾向があり、ここで売り買いの攻防が起こる可能性があります。
他に注目される押しや戻りのポイントとして「1/3」「2/3」がありますが、これは一般にFXでは、フィボナッチ・リトレースメントのレート水準として扱われる傾向があります。
関連用語 調整、全値押し・全値戻し、行って来い、フィボナッチ・リトレースメント
「全値押し・全値戻し(全モ)」とは?
全値押しとは、上昇していたレートが下降に転じ、それまで上昇していた値幅の分だけ下落してしまった状況をいいます。全値戻しはその逆です。
全値押しと全値戻しのことを、ネットスラング(俗語)では「全モ」と呼びます。
※チャートをクリックすると拡大します。
関連用語 行って来い、半値押し・半値戻し、フィボナッチ・リトレースメント
「行って来い(往って来い)」とは?
行って来いとは、相場が大きく上昇または下降したものの、再びおなじ価格帯にレートが戻ってきた状態をいいます。
下のチャートは、行って来いの例です。
大きな陽線のローソク足によって、急上昇を見せましたが、すぐにまた同じように大きな陰線があらわれて、同じ価格帯に戻ってきた様子がわかります。
通常、行って来いと呼ぶ場合、相場参加者たちが「これはトレンドが始まったのではないか?」と思うほどの急騰や急落といった、目立つ値動きによって始まるケースが多く見られます。
それくらいの「トレーダーたちの期待」が生じたにも関わらず、何らかの理由でレートが元に戻ってきてしまう訳ですから、行って来いの値動きはトレンドを期待したトレーダーには印象的な値動きといえます。
また、行って来いの値動きが出来上がる背景には、それ以上高い(安い)レートをどうしても付けさせたくない大口トレーダーの存在も予想されます。
関連用語 全値押し(戻し)・全モ
「リバウンド(リバ取り)」とは?
リバウンドとは、FX相場が急騰や急落した際に、行き過ぎた為替レートが一旦反転してくる値動きのことです。
急激に一気に動いたレートは、どこかの時点で決済注文や新規の注文が入ることによって、壁にぶつかって跳ね返されるように反転する傾向があります。
文字通り値動きに「リバウンド」が見られるわけです。
リバ取りとは、こうした為替レートの値動きの傾向を利用したトレード手法のひとつであり、行き過ぎたレートが近いうちに反転することを想定して逆張りを行うものです。
為替相場のレートは波を描くように動きますので、一方向へ為替レートが動いたら反対方向へ戻っていく動きが生じます。
しかしいずれレートが反転するとはいえ、エントリーの時点ではまだまだ急騰や急落が続いている状況なので、大きな含み損を抱えて損切りに至るという「潜在的なリスク」は極めて大きいといえます。
だからこそ、狙いが正しければ大きな利益になる可能性があるわけですが、当然そのハイリターンの反対側には大きな損失可能性が存在しています。
FXのトレード手法としてリバ取りを検証し、その上で練習を重ねて実践するのであればともかく、単なる値頃感で「そろそろ反転するだろう」といって急騰・急落に対して逆張りをするのは、単なる無謀なトレードに過ぎませんので注意しましょう。
以上、押し目買い・戻り売りの値動き関連FX用語の意味と解説──についてお伝えしました。