「移動平均線(MA)」とは?グランビルの法則など関連用語解説

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「移動平均線(MA)」とは?

移動平均線とは、インジケーターのひとつで、過去のローソク足の「一定期間の価格(多くは終値)」を平均して、線でつなげたものです。

ちなみに英語で「Moving Average(移動平均)」といい、その頭文字を取って「MA」と呼びます。

例えば、1つ目の終値が100円、2つ目が200円の場合、これら終値の平均値は150円になります。

このような平均値の計算を順番に行っていき、それら平均値をラインでつないだものが、移動平均線です。

下のチャートは、一般的な「20期間の移動平均線」を表示させたもので、各ローソク足から過去20本分の終値を平均してラインにしています。

移動平均線

テクニカル分析のなかでは、最も一般的なものの一つであり、トレンドの状態を判断したり、エントリーやエグジットのタイミングを図るために、よく用いられています。

移動平均線と為替レートの位置関係から見えてくるもの

米国のジョセフ・グランビルが、移動平均線と価格の位置関係に着目し、売買のポイントをまとめた「グランビルの法則」を考案したことにより、移動平均線は急速に普及しました。

また、シンプルに「移動平均線と為替レートの位置関係」を見ることで、現在の相場状況を分析することも可能です。

移動平均線の上に為替レートがある状態を「レートがブルの位置にある」といい、移動平均線の設定期間の間にポジションを持ったFXトレーダーの内、買いポジションをもったトレーダーの過半数が含み益になっていることを示しています。

そして、その移動平均線の状況のとき、売りポジションを持ったトレーダーの過半数は含み損になっているということです。

為替レートがベアの位置にある場合は、この逆になります。

この判断を用いる際の注意点は、移動平均線のパラメータ(何期間の平均レートを用いるか)によって、ブルかベアかの判断は変わってくるので、余程コンセンサス(共通認識)が得られている移動平均線でなければ意味がないともいえます(例えば200日移動平均線など)。

移動平均線を水平に移動させてみると見えてくるもの

FX取引チャートの機能によっては、移動平均線の表示を横方向へずらすことが可能なので、その場合の見え方をチェックしてみると、移動平均線の新たな使い方のアイデアが出てくるかもしれません。

一目均衡表の「先行スパン」などは、こうしたコンセプトで用いられているものと言えます。

下のチャートのオレンジのラインが、20期間の移動平均線を未来方向へ10期間ずらしたものです。

移動平均線をずらす例

関連用語 グランビルの法則ゴールデンクロス、デッドクロス、クロス加重移動平均線(WMA)

「グランビルの法則」とは?

グランビルの法則とは、移動平均線とレートの位置関係から値動きを判断するための法則です。

アメリカの金融記者だった、ジョセフ・グランビルが提唱したもので、当人は「法則」という表現はしていなかったようです。

グランビルが唱えた戦略(日本では法則と呼ばれる)は8つあり、それぞれ以下のようなものです。

グランビルの法則

  1. 長期間下落、もしくは横ばいになっていた移動平均線を、レートが上抜けてきたら、重要な買いのサイン
  2. 移動平均線が上昇中ならば、レートが下降してきて移動平均線を一旦下抜けても、一時的な調整の可能性があるため、反転上昇し始めたら押し目買いのサイン
  3. レートが下降しても、上昇中の移動平均線まで届かずに反転上昇したら、さらなる上昇の可能性があると判断できるため、押し目買いのサイン
  4. 移動平均線が下降中で、レートが移動平均線から大きく乖離している場合、移動平均線へとレートが収束する可能性があると判断できるため、買いのサイン
  5. 長期間上昇、もしくは横ばいになっていた移動平均線を、レートが下抜けてきたら、重要な売りのサイン
  6. 移動平均線が下降中ならば、レートが上昇してきて移動平均線を一旦上抜けても、一時的な調整の可能性があるため、反転下降し始めたら戻り売りのサイン
  7. レートが上昇しても、下降中の移動平均線まで届かずに反転下降したら、さらなる下落の可能性があると判断できるため、戻り売りのサイン
  8. 移動平均線が下降中で、レートが移動平均線から大きく乖離している場合、移動平均線へとレートが収束する可能性があると判断できるため、売りのサイン

もちろん、相場に「絶対」ということはありませんので、そのままトレードに用いるわけにはいきません。

しかしトレード戦略を考える上では、値動きの傾向についての大切な示唆を与えてくれるものとして、今でも有用といえます。

「ゴールデンクロス」とは?

ゴールデンクロスとは、設定期間の異なる移動平均線同士がチャート上で交差することを指します。

特にゴールデンクロスという場合は、長期の移動平均線を、短期の移動平均線が、下から上へ交差することを指します。

下のチャートは、100期間と20期間の移動平均線がゴールデンクロスした様子です。

※クリックすると拡大します。

これは、相場の流れが下降~横ばいから、上昇へ転じた可能性を示すサインとして用いられています。

しかし相場に絶対はありませんから、あくまでも相場参加者の思惑を読み取るサインのひとつとして利用することをおすすめします。

用いる移動平均線の期間や種類(単純移動平均線や加重移動平均線、指数平滑移動平均線)の違いによっても、ゴールデンクロスが発生するタイミングは異なってきます。

また、短期移動平均線の期間を短く設定すればする程、その平均ラインの動きはローソク足の値動きそのものと同一になってきますので、短期移動平均線を用いる必要性が低下していきます。

移動平均線の種類の選択としては、200期間の単純移動平均線を長期線として用いるFXトレーダーが目立つ印象です。

期間の数値自体に何かマジックナンバーがあるわけではないですが、200や100といったキリのいい数値はよく見掛ける数値ですし、21や55、89といったフィボナッチ数列を用いるトレーダーがいるのも興味深い点です。

ともあれ、その値動きを平均化した上で何を読み取ろうとしているのかを明確にしておくことが大切でしょう。

ちなみに、ゴールデンクロスは移動平均線だけでなく、MACDやストキャスティクスなどを使ったテクニカル分析でも取り入れられています。

関連用語 移動平均線、デッドクロス、クロス

「乖離率(かいりりつ)」とは?

乖離率とは、FXでは一般的には、「レートが移動平均線からどのくらい離れているか」を示した数値のことを指します。

正確には、移動平均乖離率といい、テクニカル分析手法のひとつです。

この数値を見ることで、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断しようとするもので、そのためのインジケータとしては、エンベロープやボリンジャーバンドなどがよく知られています。

乖離率を利用したトレード方法としては、移動平均線からの乖離が大きくなった状況で、「レートが平均に収束する」という傾向を利用して、移動平均線の方向へトレードするものがあります。

詳しくは、エンベロープの項目を参照して下さい。

「加重移動平均線(WMA)」とは?

加重移動平均線(WMA)とは、テクニカル分析で使用されるテクニカル・インジケーターのひとつで、直近の価格に比重を置いて計算された移動平均線のことです。

ちなみに、一般的な移動平均線(MA)は、単純に一定期間の終値の平均値をもとにして計算されているため、これを「単純移動平均線(SMA)」と呼ぶことがあります。

加重移動平均線では、「現在に近い終値ほど、相場参加者たちに注目されていて重要である」という考え方から、その価値を「加重」して計算しています。

その結果、加重移動平均線は、単純移動平均線と比べて敏感な動きを見せるようになります。

下のチャートは、青いラインが単純移動平均線、赤いラインが加重移動平均線で、どちらも設定は25期間になっています。

加重移動平均線のFXチャート

比べてみると分かるように、加重移動平均線(WMA)のほうが、同じ設定期間にもかかわらず、為替レートの動きに敏感に反応して近づいていく様子が見て取れます。

移動平均線は、トレンドの状態を把握するための補助として利用できますが、加重移動平均線をつかうと、その「レートに対する敏感な反応」によってフライングエントリーの要因となる可能性も出てきます。

こうした特徴を理解して、過去チャート検証をふまえた上で利用するようにしましょう。

関連用語 指数平滑移動平均線

「エンベロープ」とは?

エンベロープとは、テクニカル分析で用いられるインジケータの一つで、移動平均線の上下に一定の幅で引かれたラインを指します。

基準となる移動平均線から、どれだけ上下に離れたところにラインを引くかを「乖離率」といいます。

エンベロープが考案された背景には、「平均から乖離したレートは、いずれ平均に収束してくる」という考え方があり、これがエンベロープの使い方の基本となります。

つまり、レートが移動平均線から離れてエンベロープに近づいたら、また移動平均線へと収束していくことを想定して逆張りのエントリーをおこなう、というものです。

下のチャートは、20期間の移動平均線(20MA)に、偏差0.1%のエンベロープを表示させたものです。

※チャートをクリックすると拡大します。

エンベロープ

エンベロープにレートが接したところで、内側へポジションをもつというのが、エンベロープをつかった逆張りトレードです。

ご覧のように、トレンドが発生している状況では、大きな含み損をかかえる可能性が高く、安易な逆張りトレードはおすすめできません。

ちなみに、有名なインジケータのひとつである「ボリンジャーバンド」も、エンベロープの一種です。

関連記事 ボリンジャーバンドの意外な使い方とは?FXのレートの勢いを判断する方法

関連用語 移動平均線テクニカル分析インジケータトレンド系テクニカル指標

以上、「移動平均線(MA)」とは?グランビルの法則など関連用語解説──についてお伝えしました。

執筆者プロフィール

fx-monoロゴ名前:mono(モノ)
FX歴13年の為替トレーダー。

FXトレードで収益を上げながらIT系の事業経営もしています。20年以上取り組んできた心理学と脳科学の専門知識(アドラー心理学、NLPなど)を活かして《トレード技術の上達法》を研究し実践してきました。

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