裁量トレードの再現性について。FXをギャンブルにしないために

裁量トレードの再現性 FXに役立つ話

「FXで勝つには、トレードの再現性を高めることが必要だ」──真面目にFXに取り組んでいるあなたなら、こんな言葉を目にしたことがあるはずです。

  • トレードの再現性とは?
  • 再現性を高めるにはどうすればいいのか?

今回はそんな疑問に答えていきながら、安定した勝ち組トレーダーになるための重要ポイントである「トレードの再現性についての検証方法」に迫っていきます。

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トレードの再現性とは?

トレードの世界で『再現性』といった場合、いくつかの意味がありますが、ここではFXの裁量トレードの手法(ルール)にまつわる再現性について解説していきます。

この場合のトレードの再現性とは、あるトレード手法について、それをどれだけ忠実に実践し繰り返せているか(再現できているか)を表したものです。

あなたが何かトレード手法をもっていたとして、日々のFXトレードでその手法通りに淡々と繰り返せているなら、あなたのトレードの再現性は高いといえます。

反対に、ルール通りにトレード出来ていない実感があるのなら、あなたのトレードの再現性は低いということになります。

つまり、どれだけ優位性のある優秀なトレード手法を持っていたとしても、あなたの裁量トレードの再現性が低ければ、残念ながらその手法からは期待したような利益は生まれません。

再現性が低いということは、トレードルール通りにトレードしていないという意味です。

ですから極端にいうと「いつもデタラメなエントリーと決済をしている」ということになり、勝つか負けるか分からないギャンブルを続けていることに等しいのです。

完全に自動化されたシステムトレードでもない限り、FXでの結果を左右する重要な要素として「あなたのトレード執行能力」というものが関わっています。

トレード執行能力の優劣が「トレードの再現性」という形であらわれるのです。

トレード手法自体にも再現性の高さ・低さがある

そのトレード手法をあなたがどれだけ同じように繰り返せるか──それが再現性のひとつの意味です。

しかし、もうひとつ「トレード手法自体」にも再現性の高さ・低さという指標があります。

例えば、次のような裁量トレードのエントリールールがあるとしましょう。

上位足がトレンドだったとき、執行時間軸のレンジをトレンド方向へブレイクしたらエントリーする。

あなたがある程度FXを学んでいるなら、このルールの意味がイメージできると思います。

これは、大きな時間足のトレンド中の「一旦の停滞(レンジ相場)」から再度抜け出してトレンドが継続していく流れに従うという、シンプルで王道的なエントリールールのひとつです。

「例えば1時間足が上昇トレンドのときに、5分足でレンジが出来るのを待って、それを上にブレイクしたタイミングで買いエントリーすればいいんでしょ?」

はい、その通りです。

しかしこのエントリールールには、色々とぼんやりした点があることに気づきます。

  • “上位足”と“執行時間軸”は何足? 週足? 日足? 4時間足? 1時間足? 15分足? 5分足?
  • トレンドはどうやって判断する? 高値と安値の切り上げ・下げ? テクニカル指標を使う? 例えば移動平均線の傾き?(何期間のMAを使う?)
  • レンジはどうやって判断する? 見た目でいいの? 厳密に定義する?
  • レンジブレイクはどうやって判断する? 高値・安値抜けのタイミング? どの高値・安値抜けで判断する? 終値まで待つ?

他にもありますが、ざっと考えてみただけでもこれだけ不明瞭な要素があることが分かります。

あるトレードでは4時間足のトレンドを採用し、15分足で2回高値を付けたところをレンジと捉えて、高値を抜けた瞬間にロングエントリーしたとします。

でも次のトレードでは1時間足と20MA(20期間の移動平均線)の傾きでトレンドを判断してエントリーしたならば、これは果たして同じ手法によるトレードだといえるでしょうか?

このように「ぼんやりと不明瞭なトレードルール」は、どれだけ忠実に繰り返せるか(再現できるか)という意味では「再現性が低いトレード手法」ということになります。

再現性が低いトレード手法は、いくらあなた自身のトレード執行能力が高くても、同じトレードを繰り返すことは困難であり、そのトレードの結果は安定しません。

とはいえ完全自動化されたトレードではない裁量FXトレードにおいては、トレードルールを厳密化することには限度があり、ある程度の判断の余地が出ることは避けられません。

しかしその判断の余地を出来るだけ小さくして、トレードのブレを少なくしていくことは可能です。

判断の余地を小さくして再現性を高めたトレード手法を用いて検証し実践していくことが、安定感のある勝ち組トレードの実践には大切になってきます。

トレードの再現性を高める方法

ここまで見てきたように、「トレードの再現性を高める」といった場合、まずチャートの背景分析やエントリー、決済などの「トレードを執行する能力を高めてルール通りに繰り返せるようにしていく」というアプローチがあります。

そしてもう一つ、「トレード手法自体の曖昧さを減らして繰り返しやすくしていく」というアプローチがあることが分かります。

FXでトレードの再現性を高めるには?

  1. トレードの執行能力を高める。
    (正しくチャート分析をして売買行為を繰り返す力を高める)
  2. トレード手法の内容を、迷いなく繰り返しやすいものにする。

とはいえ二つは密接に関係していますので、闇雲にどちらかを進めていっても上手くいきません。

ここからはテクニカル分析による裁量トレード手法を用いることを前提に、再現性を高める方法(再現性を検証する方法)について解説していきます。

トレード手法の再現性を検証するための準備

あなたの自作のトレード手法であれ、ネット上で無料で入手したり、商材を購入したりした手法であれ、まず最初はそのトレード手法の再現性を確かめる(検証する)ことから始めることをお勧めします。

用意するものは、ある程度以上の期間の値動きデータ(チャート)です。

デイトレードの手法なら、最低でも一年分の5分足~日足のデータは欲しいところです。

出来れば5年から10年分の値動きデータがあれば、多様な状況をもとに再現性を確かめられるので好ましいです。

トレードルールの再現性の検証にはMT4を使うのが一番シンプルで簡単ですので、もしMT4をもっていないなら、この機会に入手して使えるようにしましょう。

詳しくは下のページで解説していますので、よく読んで環境を整えてください。

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過去チャート上にエントリーと決済をプロットする

MT4等のチャートソフトでまとまったサイズの過去チャートが準備できたら、そこにエントリーと決済(利益確定と損切り)のポイントをプロット(マーキング)していきましょう。

チャート内のツールには各種記号(丸印や矢印など)を入力する機能がありますので、それを使ってトレードルールに従ったエントリー&決済ポイントに印をつけていきましょう。

実はこの作業自体が、あなたのトレード手法の再現性の高低をあぶり出す役目を果たしています。

もし過去チャートを前にしたとき判断に迷ったり分からなくなったりしたならば、それはつまり「その手法の再現性が低い可能性」を示していることになるわけです。

判断に迷いが生じる場合は、その相場状況を特定し、できるだけ明瞭な執行判断が可能になるように、トレードルールの条件を具体的に明確化したり細分化したりします。

例えば──

  • (前提条件が揃ったら)前回高値のブレイクで買いエントリー。

──というルールを、下記のように明確化&細分化することが考えられます。

  • (前提条件が揃ったら)確定した15分足の終値が0.1Pipsでも前回高値を抜けたのを確認したら即、買いエントリー。

このように明確にすることで、エントリー時の判断の迷いがグッと少なくなるのが分かります。

手法に優位性はあるはずだが自分の理解が乏しい場合

真の原因が、手元のトレード手法に対するあなたの理解の乏しさというケースがあります。

この場合はトレード手法自体の再現性には問題がない可能性があります。

しかし現時点において「トレードルールを繰り返しにくい=再現性が低い状態である」という事実には変わりありません。

いずれにせよ、時間が刻々と経過するなかで瞬間的な判断を伴うリアルトレードではなく、時間が止まっている上に未来の値動きが全て明らかになっている過去チャートでさえ判断に迷うようなら、今の状態のままでそのトレード手法を使って資金をリスクにさらすのは誤った選択といえるでしょう。

まずトレードルールの不明瞭さが原因なら、できるだけルールを具体的に明確化していくことです。

もし自分の手法への理解の乏しさが原因なら、理解不足を補うための勉強や練習をおこなうか、もしくは他のトレード手法に変更することを検討してみます。

プロットした結果で統計を出してみる

さて、手元のトレードルール通りに過去チャート上にエントリーと決済のポイントをプロットできたら、次にそのトレード結果を使って統計を出してみましょう。

各トレードの損益Pipsを集計し、勝率やプロフィット・ファクターなどを出してみます。

トレードの数は最低でも30回分は欲しいところです。それを異なる期間で何回か繰り返すことで信頼できる統計結果が得られるようになります(例えば30回×5期間など)。

プロフィット・ファクターとは?
一定数のトレード結果の「総利益」と「総損失」の比率のことで、トータルプラスなら数値は「1.0以上」になります。プロフィット・ファクターが大きいほど、安定した優秀なトレード手法だといえます。

なお、何度繰り返しても損益結果がトータルでプラスにならなかったり、プロフィット・ファクターが1.1とか1.2といった「かろうじてプラス」程度にとどまる場合は、そのトレード手法を使うのを諦めて別の手法に換えることも必要でしょう。

「プラスになるのだからいいじゃないか」と思うかもしれませんが、FXのリアルトレードでは心理的プレッシャーから来る様々なミスが起こり得ます。

現実の損益結果は、事前のチャート検証での損益成績よりも落ちることはもちろんのこと、デモトレードやトレード練習の結果よりも落ちるはずです。

FXのリアルトレードで常に優れた成績を出すことは、まず不可能だと思っておいて丁度いいのです。

ですから止まった過去チャート上での成績が微妙だと、実際にはトータルマイナスの損益結果になる確率が高いと考えられるのです。

あなたのトレード執行能力をチェックする

トレード手法自体の再現性に問題がないことが確かめられたら、いよいよその手法を正しく実践できるのか、正しく繰り返す力があるのか(トレード執行の再現性があるか)を確認していきます。

トレード執行能力を確かめるには、デモトレードを行うか、『ForexTester』や『MT4裁量トレード練習君』といったFX練習ソフトを利用することになります。

まず、もっとも簡単で時間短縮にもなる方法としては、MT4のF12キーを使って「ローソク足のコマ送り」をしながら簡易的な模擬トレードをするやり方があります。

まずはMT4での簡単な方法を使いつつ、将来的には本格的なFX練習ソフトを導入することをおすすめします。

FX練習ソフトについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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準備ができたら早速トレードルール通りに模擬トレードをおこなってみましょう。

始めのうちは、一回エントリーして決済した時点でそのトレードを振り返るようにします。

本当に手法通りにエントリーと決済ができたのか、丁寧にチェックしましょう。

今のあなたに求められているのは、トレードルール通りに執行すること、ただそれだけです。

過去チャート上でルール通りにプロットしていたときには苦もなく出来ていたことも、模擬トレードとしてその場その場で判断を求められるようになると、途端に同じことが出来なくなるものです。

過去チャート上では利益が積み重なっていくことが明らかだったのに、自分でトレードしてみるとマイナスが重なっていってしまう──これがあなたのトレードの再現性の現実の姿であり、これを改善していかなければリアルトレードで利益を出し続けることは出来ません。

例えコマ送りのチャートでの模擬トレードだったとしても、チャートの右側(未来)が見えない状態で判断を迫られると、多くの人はたちまちプレッシャーに襲われ冷静な判断ができなくなります。

FXの心理的プレッシャーを克服してトレードの再現性(正しく繰り返す力)を高めるには、トレードルールを自らの血肉とするくらいのトレード練習が求められます。

このステップで大切なのは「丁寧におこなうこと」です。

模擬トレードの数ばかりをこなそうとしても、雑なエントリーや決済が繰り返されるばかりで、決してあなたのトレードの再現性は高まりません。

あくまでも丁寧にトレード手法通りに執行することが重要です。

バスケットボールの伝説的プレイヤーであるマイケル・ジョーダンは、こう述べています──
『毎日8時間シュートの練習をしたとしても、間違ったやり方で練習を続けたら、間違ったシュートが上達するだけだ』

トレード手法自体の統計と模擬トレードの結果を比較する

ある程度、模擬トレードでトレードルール通りに執行できるようになってきたら、過去チャート上にプロットして出した統計データと模擬トレードでの結果を比較して、あなたのトレードの再現性(正しく繰り返す力)をチェックしましょう。

大きくかけ離れておらずトータルプラスになっていれば問題ありません。

そのまま練習を重ねていき、デモやリアルトレードでの経験も積みながら、好ましい上達の循環を続けていって下さい。

もしトレード結果に大きな乖離が見られるならば、あなたのトレード執行能力に問題がある可能性があります。

「どんな条件やルールが明文化されていればトレードしやすくなるのか?」を改めて考えてみることが必要です。

模擬トレードを繰り返していれば、実際にエントリーや決済の判断をする際に迷う要素や、必要なテクニカル情報があぶり出されてくるはずです。

ぜひそういった「自分がチャートに求める情報」に敏感になって改善点を探してみて下さい。

改善の具体例としては──
テクニカル指標(オシレーター)を判断材料にする際に、必ずローソク足が確定した時点の状態を判断に用いるようにすると、確定前にピコピコ上下に動き続けるラインに惑わされることが無くなるメリットがあります。
もちろんこれによって逃すチャンスもありますが、トータルで見て安定するか(再現性が高まるか)どうかを考えて、統計を出しながら判断して下さい。

改善点を元にトレードルールをよりあなたにフィットしたものに改良していくことで、そのトレード手法はあなたのトレードを律するものでありながらも、まるで自らの手足のように自在に扱えるものとして感じられるようになっていくことでしょう。

裁量FXトレードである限りは、判断に迷ったりブレたりする状況が完全に消えてなくなることはありません。

しかしそれでも、止まったチャートでの模擬練習やリアルトレードの実践を重ねていくことで、徐々に心理的な安定感(執行能力がある自分と優位性のあるトレード手法への信頼)が生まれてくるものです。

それは、今まで不明瞭で微妙な迷いを生じていた部分が、経験に裏付けられた「判断のゆとり・臨機応変な微調整」へと変化していくからです。

もしあなたが自動車を運転しているなら、「判断のゆとり・微調整」とはハンドルの遊びのような感覚だと思ってもらえばいいです。

こうしたビジョンを持ちながら、ぜひあなたも目の前の課題に向き合ってトレードの再現性を高めていって欲しいと思います。

裁量トレードの再現性について~まとめ

裁量トレードにおけるトレードの再現性とは、あるトレード手法について、それをどれだけルール通りに執行して繰り返せているか(再現できているか)のことです。

トレードの再現性を高めるには、トレードを執行する能力を高めてルール通りに繰り返せるようにしていくというアプローチと、トレード手法自体の曖昧さを減らして繰り返しやすくしていくアプローチの二つがあります。

それら二つのアプローチは密接に関係し合っています。

まずはトレード手法自体の再現性を過去チャート上で確認した上で、そのトレードルールを正しく繰り返せるかどうかを確かめつつ、トレード練習を重ねていきましょう。

以上、裁量トレードの再現性について。FXをギャンブルにしないために──についてお伝えしました。

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