FXの「流動性(リクイディティ)」とは?
流動性とは、外国為替市場で取引されている「通貨の量(取引額)」や「取引頻度」のことを指す相場用語です。
英語ではリクイディティ(Liquidity)と呼ばれます。
為替市場の参加者が多く、取引される通貨の量や取引頻度が多い状態を「流動性が高い(ある)」といいます。
反対に市場参加者が乏しく閑散相場になっていて、通貨の取引額や取引頻度が少ない状態を「流動性が低い(無い・乏しい)」といいます。
流動性が高ければ通貨の交換(取引)が容易になり(売買注文が通りやすくなり)、低ければ取引がしにくくなるため、為替通貨の流動性の状況とその把握は、FXトレードにおいて重要なポイントのひとつになります。
流動性の高い通貨は、基軸通貨である米ドルに関わるものが中心になります。
具体的には、米ドル、ユーロ、日本円が関わる通貨ペアは流動性が高いです。
ちなみに日本ではポピュラーなポンド円は、世界的に見れば流動性はそれほど高くありません。
一般に外国為替市場の流動性は、機関投資家や大口トレーダーといった投機筋による「為替差益を目的とした取引」によってもたらされています。
「企業などによる外貨両替」といった実需筋の取引は、為替市場においては約1割程度といわれており、約9割は投機筋による取引によって占められているのです。
FXの「流動性リスク(リクイディティ・リスク)」とは?
流動性リスクとは、FX市場の流動性が低くなることによって、取引しようとしてもすぐに売買できなかったり、希望するレートで約定できなかったりするリスクのことです。
英語では「リクイディティ・リスク」と呼びます。
流動性は、為替市場の参加者の数とその通貨取引量や取引頻度によって上下します。
為替通貨の流動性が低くなる要因には主に次のようなものがあります。
- マイナーな通貨ペアのため、そもそも売買取引をしている市場参加者と取引額が少ない。
- 季節要因(夏休みやクリスマス休暇)などで市場参加者が少なくなっている(閑散相場になっている)。
- 突発的な事件や自然災害、政変などによって売買がどちらか一方に偏ってしまい、為替市場で売買が成立しなくなっている。
こうした要因によって流動性リスクが発生すると、為替ポジションの決済が思ったように出来なくなります。
そのため思わぬ不利な為替レートでのポジション決済を強いられたり(過大なスリッページ)、新規ポジションのエントリーが出来なかったり(約定拒否)してしまいます。
そのため、FXトレーダーは流動性リスクについて事前に考慮し、しっかりとリスクマネジメントをしておくことが大切です。
具体的には、トレードする通貨ペアの選定や、トレードを避ける時間帯の設定などをしておきます。
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「マーケット・インパクト」とは?
マーケット・インパクトとは、自分自身の取引によって市場の為替レートに変動を与えてしまうことです。
マーケット・インパクトは、大口注文(大量の売買を一気に行うこと)や、そもそも市場の流動性が低いことが原因で起こります。
例えば、ある通貨ペアで大きなロットの買い注文を出したとします。
しかし為替市場には、その買い注文を受けられるだけの売り勢力(売りを狙うトレーダー)がおらず、買い注文のロットの内、半分しか執行されませんでした。
残りの注文は希望よりも高いレートでしか執行できないため(今よりも高いレートでしか売ってくれない売り勢力しかいないため)、想定よりも高い為替レートで買いポジションをもつことになってしまいました。
為替レートとは、そのとき成立可能な売買レートのことですから、結果として為替レートは上昇することになり、こうしてマーケット・インパクトが生じることになるわけです。
以上、流動性(リクイディティ)とそのリスクの意味&解説──についてお伝えしました。
「チョッピー」とは?
チョッピーとは、値動きの方向が移ろいやすく、方向感が見られず、不規則に為替レートが動く状況のことです。
チョッピーな値動きが見られる相場状況においては、一般的に相場参加者は少なく、活発な売買が見られず流動性が低下している傾向があります。
その結果、レンジ状態になっているケースが多く見られます。
クリスマス休暇に入った為替相場は、こうしたチョッピーな相場状況になる典型的な例です。
下のチャートは、クリスマス休暇に入った12月26日の、ユーロドルの5分足チャートです(クリックすると拡大します)。
ローソク足の上下に長いヒゲが多く見られ、始値で大きく値が飛んだり、不安的な値動きが見て取れます。
本来であれば、通貨ペアのなかでも最大の取引量を誇るユーロドルでは、始値で大きく値が飛ぶようなことはあり得ないことです。
しかし、機関投資家や大口トレーダーを始めとした市場参加者が軒並み休暇に入るクリスマス時期には、このような不自然な値動きが発生しやすいのです。
ブレイクアウトしても、そこから大きく動き出すこともなく、下降フラッグのダマシや、高値ブレイクのダマシが見られます。
ブレイクアウトが成功し辛い背景には、大口の市場参加者たちはクリスマス休暇などの前にポジションを整理(決済)してしまっていて、通常であればレンジの外側にある損切り注文も取り消されている可能性が考えられます。
ですからブレイクアウトしても、そこには執行される損切り注文も無ければ、値動きに追随しようとする大口トレーダーもいないため、波が引くように元のレンジに戻ってしまう傾向があるといえるでしょう。
チョッピーな相場状況では、不規則でフワフワとした値動きになるため、翻弄されて思わぬ損失を出してしまう可能性が高いため、基本的に様子見することをおすすめします。
「決してエントリーしない」というルールを自分自身に課した上で、相場経験を積むという理由でチョッピーな値動きをじっくり観察してみることは、相場状況の判断力を高めるために大いに役立つと思います。
リアルな値動きに対しての判断力は、大量の値動きを経験することによってしか育まれないものです。
ですから「決してエントリーしない」ルールを設定した上で、日本時間の明け方の値動きや、欧米のホリデー期間の値動きを、一度じっくりと観察してみることをおすすめします。
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FX相場での「薄商い」とは?
薄商いとは、FX市場での通貨取引量が少なく流動性が低下し、相場参加者も乏しく閑散としている状態のことです。
例えば、米雇用統計や各国中央銀行の政策金利発表、米小売売上高など、重要指標発表イベントの結果待ちの状況では材料不足のため薄商いが生じやすく、「様子見ムード」「模様眺め」「閑散相場」などといわれることもあります。
また、夏休み時期(欧米のサマーホリデー期間)や年末(クリスマス休暇)などには、機関投資家(大口トレーダー)たちの多くが休暇に入るため、相場参加者と為替取引高は減少する結果、薄商いになりやすくなります。
市場参加者が少なく取引量が全体的にとぼしい(流動性が低下する)と、わずかな売りや買い注文でレートが一方向に大きく動くことがあるため、薄商いの状況でトレードする際には注意が必要です。
薄商いによる突発的な為替レート変動の様子は、クリスマスから年末~年越しに掛けて顕著に見られます。
FX会社によっては年末の為替取引を実質的に停止しているところもあります。