有事のドル買いとは、戦争や紛争、政変、大規模なテロといった有事の際に、資産を安全な米ドルに換えようとする動きのことです。
国際情勢が不安定になった時には、外国為替市場で「流動性が高い(流通量の多く取引が活発な)通貨へと資産を換えておこう」という動きが見られます。
ドルは安全通貨と呼ばれ、その背景には強い国力(経済力や政治的安定性)の存在があります。
ですから、日本円も有事の際に買われやすい傾向がありますし、同様の理由から永世中立国であるスイスの通貨スイスフランも買われやすくなっています。特に湾岸戦争を経て911テロ以降は、アメリカの強さにも疑問が持たれるようになったこともあり、有事の際に買われる通貨が何になるのかは不透明になってきているといえます。
現在では、有事が起こった際には必ずしもドル買いとはならず、それがアメリカにどの程度影響を及ぼすかによって「ドル買い」になるか、または反対に「ドル売り」になるのかが分かれてきています。
ですから、有事の際に安易に米ドルが強くなるとは思わないこと(闇雲に買わないこと)が賢明ですし、あくまでも相場の変化に合わせて対応していくことが大切です。
以上、FX専門用語「有事のドル買い」の意味と解説についてお伝えしました。