両建てとは、ひとつの通貨ペアで「買い」と「売り」両方のポジションを同時に持つことです。
例えば為替取引(FX)において、ドル円の買いポジションと売りポジションを同時に持った場合は、「ドル円の両建てをした」といいます。
売り買い両方のポジションの損益が相殺されるため、実質的にはその通貨ペアのポジションをもっていないのと同じことになります。
そのため、FX会社によっては両建てが出来ない(禁止されている)場合があります。
厳密には、エントリー時のスプレッドとその後のスワップポイントによって手数料が発生しているため、両建てには常時コストが掛かっていますから、損益的にはマイナスになります。
FXでは両建てをトレード手法として用いることもある
このように、一見すると無意味に見えるFXトレードでの両建てですが、これを角度を変えて捉えることでトレード手法として有効活用する道も見えてきます。
例えば、ある通貨ペアのポジションをもっているときに「行き過ぎた為替レートの動き」が生じたとします。
そこで反対側のポジションをエントリーして両建てにすることで、そこから調整の動きになって戻ってくる値幅を利益に換えることも可能になります。
具体的には、上昇トレンドで買いポジションをもっていた場合に、ボリンジャーバンドの3シグマにタッチするような行き過ぎた値動きになったとき、そこで売りポジションでエントリーして両建てにします。
その後に調整の動きになって1シグマまで反転してきたところで、売りポジションだけ決済します(これを「両建てを外す」といいます)。
こうすることによって調整の値動きを利益に換えることが出来るわけですが、当然そのまま3シグマをバンドウォークしていって更に上昇を続ける可能性もありますので、両建てのために追加した売りポジションの損切りについて、しっかりとルール化しておく必要があります。
このようなタイプの両建ては、いうなれば「異なる時間軸でのトレードを同じ通貨ペアで行っている」ということになります。
つまり、元のトレンドフォロー・トレードの中で「短い時間軸での逆張りトレード」を同時に行っている──というわけです。
このように「両建てによって何をしようとしているのか」をしっかりと自覚・把握した上でならば、両建てにもトレード手法としてのメリットがあると言えるでしょう。
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以上、FX専門用語「両建て」の意味と解説についてお伝えしました。