協調介入とは、政府当局による為替介入(莫大な通貨の売買によるレート操作の実力行使)のひとつです。
複数の国の中央銀行が協力して、為替介入対象の通貨に対して為替相場に「大量の売りもしくは買い注文を出すこと」によって介入することをいいます。
ひとつの国の中央銀行だけの介入よりも、その規模が大きく、介入タイミングも介入各国間の時差を利用して幅広く設定できるため、国際為替市場へのインパクトが大きくなる傾向があります。
例えば、日本銀行による日本円への為替介入の場合、EU各国の協力によって日本時間深夜から早朝に、機関投資家などの大口トレーダーたち相場関係者の不意打ちを狙うように行われるケースがあります。
協調介入の実例のひとつとしては、東日本大震災時があった2011年3月のケースがあります。
震災後に日本円に対して仕掛けられた売り浴びせにより、3月17日早朝、ドル円は76円台にまで暴落(円が高騰)したのです。
この急な円高に対して為替介入によるレートの正常化を目論んだ日本政府は、G7に働き掛けて協調介入の合意を取り付けて為替介入を実施します。
その結果、ドル円は81円台にまで値を戻したのでした。
しかし実際にはこのように上手くいくケースばかりではなく、各国の利害や思惑が交錯する結果、足並みがそろわず介入の効果が発揮されないというケースも見られるようです。
委託介入について
介入方式には「委託介入」というものがあります。
委託介入とは、為替介入をしようとする中央銀行が、他国の中央銀行に介入を代行してもらうことです。
例えば、日本銀行が為替介入を行う場合だと、夜間や深夜にヨーロッパやアメリカ市場に直接介入できませんから、各国の中央銀行に頼んで介入をしてもらうわけです。
日銀が主に介入を委託する先は、欧州市場ではECB、ロンドン市場ではBOE、ニューヨーク市場ではFEDになります。
反対に日本銀行が、諸外国の銀行の委託を受けて為替介入をする場合もあり、これを「逆委託介入」と呼ぶこともあります。
各国の経済的な思惑を踏まえながら足並みをそろえる必要のある「協調介入」とは異なり、あくまでも為替市場の開場時間に応じた介入の委託だとされています。
とはいえ、そこには各国間の事情が絡んでくることは否めませんので、協調介入の時ほどではないにせよ、我々には知り得ないやり取りや駆け引きがあるのかもしれません。
関連用語 為替介入
以上、FX専門用語「協調介入」の意味と解説についてお伝えしました。
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