クロスとは、為替取引(FX)のテクニカル分析で用いられるインジケータが出すサインのひとつで、インジケータのライン同士が交差することを指します。
有名なものとしては、移動平均線(MA)のクロスがあげられます。
この場合、期間の異なる移動平均線が交差することをクロスと呼びます。
下のユーロドル1時間足チャートでは、20期間と200期間の移動平均線がクロスする様子が見て取れます。
このクロスはゴールデンクロスと呼ばれます(水色の丸)。
※チャートをクリックすると拡大します。
このチャートの場合、移動平均線のクロスのサインによって、下降トレンドから上昇トレンドへのトレンドが転換した可能性を見て取ることができます。
他には、MACD(マックディー)のシグナルラインのクロス、DMI(ディレクショナル・ムーブメント・インデックス)の+DIと-DIのクロスなどがあります。
トレードで移動平均線のクロスを使う際の注意
テクニカル分析で移動平均線のクロスを使用する場合、移動平均線が過去の為替レートを平均化した数値であることに注意が必要です。
つまり、現在のレート位置(チャート右端のローソク足)とクロスの関係を考慮していない場合は、非常に不利なポイントでポジションを持つ結果になり兼ねません。
例えば、先程の20期間と200期間の移動平均線のクロスの場合、クロスを確認してトレンド転換だと判断し、そこで買いエントリーをしてポジションを持つとします。
そのタイミングだと、チャート右端の現在のローソク足が移動平均線から乖離した位置にある場合があり、その場合いわゆる「高値づかみ」をしてしまう結果となります。
その後、運よく上昇が継続していくのだとしても、一旦は調整の押しの下落につかまってしまい、しばらくの間、含み損の状態を耐えなくてはならなくなります。
クロスに用いる移動平均線の期間設定を大きなものにすればするほど、現在レートとの乖離が生じやすくなり、不利なタイミングでポジションを持ってしまう可能性が高まります。
言い換えると、使用する移動平均線の期間設定が大きい程、移動平均線の挙動は緩やかになり、値動きに対する反応が鈍くなる傾向があるということです。
こうした傾向が見られることから、移動平均線のクロスを用いる際には、そのクロスのサインをセットアップのひとつとして使用するに留め、エントリータイミング(トリガー)としては用いないという判断も有益でしょう。
関連用語 移動平均線(MA)、加重移動平均線(WMA)
以上、FX専門用語「クロス」の意味と解説についてお伝えしました。