- FX用語「あ」相対取引、アベレージコスト、安全通貨、青天井…の意味
- FX用語「い」維持証拠金、行って来い、移動平均線、イフダン注文(IFD)…の意味
- FX用語「う」薄商い、埋める、売り値、売りポジション、上値抵抗線…の意味
- FX用語「え」FX取引、エマージング通貨、円売り介入、エンベロープ…の意味
- FX用語「お」追証、往復ビンタ、オーバーシュート、押し目買い…の意味
アービトラージ取引
アービトラージとは、相場の値鞘(ねざや=価格差のこと)を利用して利益を得る取引のことです。
日本語では裁定取引(さいていとりひき)といい、単に「さや取り」とも言われます。
異なる市場のあいだで、同一の銘柄(株式や商品や通貨など)が異なる価格をつけているとき、安い市場で買って、高い市場で売ることで利益を得ることができ、これをアービトラージといいます。
具体例としては、「現物市場で取引されている為替レート」と「先物市場で取引されている為替レート」の価格差を利用した取引や、最近では、仮想通貨の取引所ごとの価格差を利用した取引があげられます。
IFO(アイエフオー)注文
IFO(アイエフオー)注文とは、IFD(イフダン)注文とOCO(オーシーオー)注文を組み合わせた注文方法です。「イフオーシーオー注文」とも呼ばれます。
最初のエントリー注文が約定した後に、自動的に決済用のOCO注文が発動される仕組みです。
IFO注文は、IFD注文の2つ目の注文をOCOでおこなう仕組みで、エントリーから利益確定や損切りまでの取引の流れを、すべて自動でできる注文方法のことです。
IFD注文では、決済注文は1つしか発注できませんが、OCO注文では一度に2つの決済注文が可能です。
この両者を組み合わせることによって、「エントリー」「利益確定」「損切り」の3つの注文を自動的に行うことが可能になるため、とても重宝する注文方式のひとつです。
具体的な利用法としては、スキャルピングや短い時間足のデイトレードといった、素早い対応が必要なトレードスタイルでの利用が考えられます。事前に決めておいた利益確定Pipsと損切りPipsでIFO注文を設定しておくことで、あとはエントリータイミングを見計らって注文を出すだけという、シンプルなトレードが可能になるわけです。
関連用語 IFD(イフダン)注文、OCO(オーシーオー)注文、指値注文、成行注文
アウトライト取引
アウトライト取引とは、「売り」あるいは「買い」といった、片方だけの取引のことをいい、「マーケットの動く方向を予想して売買し、利益を得ようとする取引手法」を意味する用語です。
相場の方向性に賭けないアービトラージ(裁定取引)取引の対比として使われたりします。
アゲインスト
アゲインストとは、保有しているポジションの評価額が損失になっている状態のことです。
現在、自分の相場の読みとは異なる「逆風」が吹いて、不利な状態になっている──つまり「含み損」を抱えている状況を指します。
アゲインストとは含み損の状態のことなので、まだ損失が確定されたわけではなく、あくまで評価損の状態を指します。
反対に含み益になっている状態のことをフェイバーといいます。
この用語は、主にインターバンク市場に参加しているディーラーが使う用語です。
また別のアゲインストの用法としては、エントリーしようとする方向とトレンド方向とが反対になっている状態のことを「アゲインスト」と呼んだり、いわゆる逆張りトレードのことを指して「アゲインストのトレード」と呼ぶケースもあります。
アジア通貨危機
1997年7月、タイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨の下落現象のことで、東アジア、東南アジアの各国経済に大きな悪影響を及ぼしました。
このとき、ヘッジファンドがアジア各国の通貨への巨大な空売りを仕掛け、買い支える事が出来ない各国の為替レートが、変動相場制を導入せざるを得ない状況に追い込まれました。
その結果、通貨価値が急激に下落し、経済危機へと追い込まれることになったのです。
ちなみに、ヘッジファンドによる売り仕掛けという点では、ジョージ・ソロスによる「ポンド売り」と同じ構図といえます。
このアジア通貨危機について、ある人物の破滅を中心に解説した記事がありますので参考にして下さい。
アスク(Ask)
アスクとは、FX会社やマーケットメイカーが提示する通貨ペアの売り値のことです。
提示された側(トレーダー)は、その価格(レート)で買うことになります。
逆に、買い値のことをBid(ビッド)といいます。FXでは、売り値と買い値の両方が同時に提示され(これをツー・ウェイ・プライスという)、この売り値と買い値の差がスプレッドと呼ばれます。
語源は、トレーダーがマーケットメイカーへ「いくらで売ってくれるんだい?」と価格をたずねるという意味で、「アスク(Ask=たずねる)」という言葉がつかわれるようになった、という説があります。
アナリスト
アナリストとは、為替相場や株価などの動きを分析して、トレーダーや資産運用者に対して情報を提供する人のことです。
大きく分けると、チャート分析を用いてテクニカル分析をおこなう「テクニカルアナリスト」と、世界情勢をはじめ、各国の経済統計や企業の経営実態などのファンダメンタル要因を元に分析する「ファンダメンタルアナリスト」がいます。
アナリストによる予測は、多くの場合その通りにはならないことから、その存在意義が疑問視されがちですが、これは相場における「逆・自己達成予言」のようなものと言え、多くのアナリストたちが予測したこと以外のことが現実化されるという意味では「逆指標」といえるかもしれません。
また、トレーダーの間では、アナリストのことを「後付け講釈師」といって揶揄する傾向が見られますが、多くの投資家たちの「この値動きが起きた理由が知りたい」という強いニーズを満たす役割を果たしていることは否めません。
アベレージ・コスト
アベレージ・コストとは、同一の通貨を複数回に渡って買った(売った)場合の、ポジション全体の平均レートのことを指します。
例えば、ドル円を100円で10万通貨、110円で10万通貨買った場合、アベレージコストは105円ということになります。
ちなみに、ナンピン買い(売り)は、このアベレージコストを操作して損失を回避、もしくは利益を得ようとする手法です。
参考記事 『ナンピン』とは?その意味を理解して戦術的にエントリーする方法
アマウント
アマウントとは、FXの取引単位や取引量、取引金額のことを指します。
1,000通貨単位や10,000通貨単位といった数字が、アマウントにあたります。
安全通貨
経済危機や通貨危機、戦争などの危機が起こった際に買われやすい通貨のことです。
主にその危機とは関係のない国の通貨が選ばれやすく、避難通貨とも呼ばれます。
日本円は、その代表的な通貨のひとつで、「有事の金」と並んで「有事の円」として買われるケースが目立ちます。
2017年の北朝鮮ミサイル問題では、日本に地政学的リスクがあったにもかかわらず、円買いの動きが見られました。
これは、日本は純対外資産(世界中にある日本人の純資産)が世界一多い国であるということから、これが円への信用につながって、円が安全通貨とみなされているからだと考えられています。
関連用語 基軸通貨、日本円、スイスフラン、メジャー通貨、マイナー通貨
青天井
相場が上昇している状態が続いていて、どこまでも上がっていきそうな状況のことです。
近年で言えば、アベノミクスによる円安相場が印象的な例です。
下のチャートは、2012年末に野田政権が倒れて安倍政権が始まった時期から、現在までの、ドル円の週足チャートです。
※クリックすると拡大します。
明らかな上昇トレンドとなった結果「まだ上がるのか!?」「どこまで上がる!?」と、市場参加者たちも熱くなり、「乗り遅れるな!」というムードが醸成されていきました。
永遠に続く青天井がありえない以上、いずれもみ合い、レンジ相場を経ながら天井をつけていきます。
アベノミスク相場のときも、2013年の半ばに最初のピークをつけ、一年ほど横ばいを続けましたが、その後、もう一段大きく上昇したあと、天井をつけて反転することになりました。
関連用語 バイーン
相対取引(あいたいとりひき)
相対取引とは、取引所などの市場を通さずに、売り手と買い手が、当事者同士で価格や売買数量などを決めて行う取引のことです。「OTC(Over the counter)取引」とも呼ばれます。
外国為替市場(FX相場)では、株式市場の証券取引所のような「特定の場所」での取引は行なわれておらず、当事者同士が売り手と買い手になって、「相対(一対一)」で値段や数量や決済方法などを決めて取引しています。
私たちトレーダーがFX会社で取引をする場合が、この相対取引にあたります。
例えば、通貨を買うときはFX会社から買うことになり、いうなれば「FX会社の言い値で買う」わけです。そのため、FX会社の都合(リスクヘッジ)によってスプレッドが広がるなど、不利なレートで約定させられる可能性がある点に注意が必要です。
ちなみに、くりっく365FXは取引所での取引となるため、相対取引ではありません。
関連用語 FX取引
アイザーウェイ
アイザーウェイ(Either Way)とは、FX取引において、売り値(オファーもしくはアスク)と買い値(ビッド)が同じレートとなる状態のことをいいます。
このことを、別名でチョイス(Choice)ともいいます。
例えば、買い値が1ドル100円のときに、売り値も同じく1ドル100円の状態のことを指します。
しかし、FXにおいてはFX会社が手数料としてスプレッドを設定していますから、売り値と買い値が同じレートになるということは、まず無いといっていいでしょう。
ただし、ノーディーリングデスク(NDD方式)と呼ばれる、FX会社によるレート提示を用いない取引方式の場合は、買い値と売り値が逆転する「マイナススプレッド」という現象が発生することがあります。
頭打ち
上昇基調が続いた相場の勢いが鈍り、伸び悩んできた状態を指します。
相場が大天井に達して、これ以上の上昇が期待できない場合と、もちあい状態(レンジ・横ばい)で新たな材料が出ることで、再び上昇基調になる場合があります。
天井になって下落してくるのか、それとも再び上昇しはじめるのか、それを事前に察知することは不可能です。
トレード戦略としては、実際の動きを見極めてからトレードするのがセオリーといえます。
下のチャートは、2012年末に野田政権が倒れて安倍政権が始まった時期から、現在までの、ドル円の週足チャートです。
※クリックすると拡大します。
最初の大きな上昇のあと、一旦、横ばいの状態に入りましたが、これが最初の「頭打ち」です。
そこから反転して下落していくのか、再び上昇するのかは、この時点では誰にもわかりませんので、次の動きを待つべき状況といえます。
その後、高値を更新して再び大きな上昇をはじめ、それから同じように横ばいを形成し、二度目の「頭打ち」となりました。
今度は、そこを天井として下落を始めていき、2018年現在に至ります。
アベノミクス
アベノミクスとは、2012年末に始まった第2次安倍政権において、安倍晋三首相が表明した、「3本の矢」を柱とするデフレ脱却に向けた経済政策のことです。
アベノミクスという名称は、安倍首相の苗字にエコノミクス(経済)を合わせた造語で、これは1980年代、アメリカのレーガン大統領が取った「レーガノミクス」という経済政策の名前に倣ってつけられたものです。
このアベノミクスでは、最大目標を経済回復と位置づけ──
- 「大胆な金融政策」
デフレ脱却を目指し、2%のインフレ目標が達成できるまで無期限の量的緩和を行うこと。 - 「機動的な財政出動」
東日本大震災からの復興、安全性向上や地域活性化、再生医療の実用化支援などに充てるため、大規模な予算編成を行うこと。 - 「民間投資を喚起する成長戦略」
成長産業や雇用の創出を目指し、各種規制緩和を行い、投資を誘引すること。
──という「3本の矢」によって、日本経済を立て直そうという計画です。
アベノミクスは継続中
その後も、2015年の第3次安倍内閣では、アベノミクスの第2ステージとして「一億総活躍プラン」を推進すると発表しました。
さらに2017年の第4次安倍内閣では、アベノミクスの加速を目指して「生産性革命」と「人づくり革命」、少子高齢化を克服するための「新しい経済政策パッケージ」を発表し、2018年現在も制度改革を進めています。
アルゴリズム取引
アルゴリズム取引とは、コンピュータが自動的に売買の注文を出す取引のことです。
コンピュータ・プログラムの仕組みやその手順のことを「アルゴリズム」というため、コンピュータを使った取引のことをアルゴリズム取引と呼んでいます。
アルゴリズム取引では、テクニカル分析や出来高が主に判断材料として扱われ、さらには、市場で流れるニュースや情報のキーワードなどに反応するシステムが組み込まれていることもあります。
アルゴリズム取引は、リーマンショックの要因の一つにもなった
あらかじめ決められたプログラムによって、自動的に売買をおこなうため、想定外のできごとが起こったときには、思わぬ結果を招く可能性があります。
例えば、2008年にアメリカで起こったリーマンショックでは、機関投資家たちが運用していたアルゴリズムによって「売りが売りを呼ぶ展開」に陥り、大暴落を招きました。
これは、アルゴリズム取引の仕組みである「フィードバック・ループ」が暴走状態となってしまったためです。
フィードバック・ループとは、自分の注文によって、市場でどういう反応が起きたのかという情報を踏まえて次の取引行動を判断する仕組みのことで、リーマンショックでは、この仕組みのために、アルゴリズムが「売った反応がこうなら、売り続けるしかない!」と判断してしまった、ということです。
関連用語 ハイ・フリーケンシー・トレーディング(HFT)、自動売買